ゲノム編集食材を使ったランチの会
2025年12月1日、ゲノム編集食材を使ったランチの会をエノテカドオーロ平河町店(東京)で開きました(主催 くらしとバイオプラザ21)。メディア、消費者団体、流通、研究・開発者、約40名が参加しました。
提供された食材は、届け出られているトマト、マダイ、トラフグ、ヒラメ、ジャガイモです。ジャガイモは日本で販売される予定はありませんが、特別に分けていただきました。下の図の星印が使われた食材です。
プログラム
主催者挨拶の後、開発者・関係者から情報提供を行い、試食・歓談となりました。
サナテックライフサイエンス(株)江面浩氏
リラックス効果などがあるアミノ酸であるGABAを多く蓄積したトマトをゲノム編集技術で作りました。普通のトマトの12倍のGABAが含まれており、日本初の4つの機能を持つ機能性表示食品として届け出をしました。
リージョナルフィッシュ(株) 寺内康雄氏
本日は、肉厚のマダイと、成長の早いトラフグおよびヒラメを提供しました。ゲノム編集技術を用いることで、従来の品種改良よりも短期間で、目的に沿った魚を作出することが可能となりました。
これらの魚は、同じ量の飼料でも効率よく成長するため、食品ロスの削減にも貢献できると考えられます。 現在は、温暖化による高水温に耐性を持つサバなどの研究にも取り組んでいます。
アグリシーズ(株)山根精一郎氏
調理時間が短い一口サイズのジャガイモが、1株あたりに多くできるように、ゲノム編集技術で品種改良しました。今はアメリカだけで外食産業向けに販売されています。
大阪大学大学院工学研究科安本周平氏
ジャガイモは日に当ったり、芽が出たりするとソラニンなどの有毒代謝物ができ、食中毒被害が後を絶ちません。ゲノム編集技術によりソラニンを低減したり、芽が出にくくしたりしたジャガイモを作出しました。まだ基礎研究の段階ですが、今は、病害に強いジャガイモ、モチモチしたジャガイモを開発しています。
江面浩氏
寺内康雄氏
山根精一郎氏
安本周平氏
シェフによるお料理の説明には、参加者全員が立ち上がって聞き入りました。このように複数種のゲノム編集食材を使った料理が一度に試食でき、その料理の説明が行われたことは初めてのことです。
魚について:トラフグはフリッターに、マダイとヒラメは冷たいカルパッチョと温かいアクアパッツアにし、皮目もおいしかったので、それを活かして調理したそうです。
トマトについて:パスタとピザだけでなく、魚の料理にも利用されていました。
ジャガイモについて:おいしい味がついて冷凍されていたので、そのままローストして提供されました。
タイのカルパッチョ
ヒラメのカルパッチョ
ジャガイモのローストとトラフグのフリッター
トマトのピザ
トマトのパスタ
タイのアクアパッツア
ヒラメのアクアパッツア
参加者は多様なステークホルダーとともにゲノム編集食品を使ったおいしい料理を食べ、意見交換もスムーズに進みました。今回のランチの会のニュースはいくつかの新聞などでも報道されました。消費者団体からはこのような、食事を伴う情報提供を消費者も巻き込んで行ってみたいといわれました。
日本は遺伝子組換え原料を大量に輸入・消費しているにも拘わらず、遺伝子組換えを避けたいと思う消費者がいたり、戦略として遺伝子組換え原料を使っていないことをセールスポイントにする食品企業があったりして、遺伝子組換え食品を使ってみんなでおいしく食べるような機会はほとんど設けられていません。
ゲノム編集食品において、このようなイベントを行えた背景には、ゲノム編集食品については、日本が実用化、関連するルールの策定、リスクコミュニケーションでトップランナーであることも関係しているといえるでしょう。今回、調理に用いたゲノム編集食品は日本の大学で開発されており、これを応援しようとする消費者の心情も感じられ、遺伝子組換え食品を取り巻く状況とはずいぶん異っています。一方、ゲノム編集食品のことを知らない消費者も多く、表示を求める消費者団体の声も聞こえてきます。
アンケート結果をみると、多様なステークホルダーの参加、復数種のゲノム編集を一度に試食できたことなど、とても好評でした。このような機会をまた持ってほしいという意見が多くありました。
シェフによる料理の説明
シェフの説明には参加者も総立ち
にぎやかな会場
初めての人の会話も進む
ジャガイモはシンプルなローストに
