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「外食での食品ロス削減に向けた意見交換会」開かれる

2025年1月28日、食の安全安心財団・日本フードサービス協会共催「外食での食品ロス削減に向けた意見交換会~食べ残し持ち帰り促進ガイドラインの運用を中心に~」が開かれました。冒頭、食の安全安心財団 副理事長 道野 英司さんより「今日は、2024年12月に取りまとめられた『食べ残し持ち帰り促進ガイドライン』と実践的な活動事例を紹介するので社内検討に活かしてほしい。」と、開会の言葉がありました。

「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン策定のポイント」
消費者庁消費者教育推進課 課長補佐 杉田 育子さん

日本では食べられる食物が472万トン捨てられており、4分の1が外食産業から。そのうちの食べ残しは5分の1。2000年を基準として2030年までに半減させる目標が立てられている。ガイドラインでは事業者と消費者が留意しなくてはならないこと、それぞれに求められる行動について記載されている。
法律を整理し、リスクの低減を図り、事業者・消費者が持ち帰り、衛生的に消費できるような仕組みづくりをした。対象はレストラン、ホテルなどの一般食堂で病院などの給食、自宅で食べることを前提としたテイクアウトは対象外となる。
基本は「その場で食べられる量を注文して消費者が食べきる」こと。事業者も食べ切れる小盛にするなど、メニューなどを工夫する。
製造物責任法が及ぶのは店内での提供時までで、食べ残し持ち帰り後は本法の対象外になる。食品ロス削減は省庁横断的に「食の環」として進める。

質問 飲み残しのアルコールの持ち帰りはどうか?
QAで補完したい。

杉田 育子さん

杉田 育子さん

「食べ残し 食品衛生ガイドライン」
厚生労働省監視安全課HACCP推進室 室長補佐 高橋 亨さん

ガイドラインの第5章「消費者および事業者に向けた食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン」は厚労省が担当したので説明する。
レストランでの食べ残し後は消費者の主体的な行動となる。対象はレストラン等。テイクアウトや集団給食は除外。
持ち帰りによる食中毒防止、持ち帰り後の自己責任感の醸成を目指し、事業者と消費者の行動変容につなげる。
事業者が用意した容器を用いる。気温の高い季節はやめてもよい。異なる店の食べ残しを一つの容器に入れない(食中毒のトレースバックができるように)。持ち帰れるのは常温保存できて水分が少ない食品とする。消費者も持ち帰り時間を考慮する。

「わが社のmottECO」
康正産業 代表取締役 肥田木 康正さん 

九州で回転ずしと和食レストランを経営している。
持ち帰りは、以前からそれぞれが包んでいたので、容器が統一されたのは衛生的になってよかったと思う。
食品ロス月間のポスターなど、チラシによる相互理解効果も感じている。
「もったいないをなくしたい」をモットーに、mottECO箱の注文にはお礼をいうことを従業員で共有している。廃棄物については水きりを励行して量を減らしている。

「食からつながるSDGs」
(株)アレフ SDGs推進部 部長 高田 あかねさん

びっくりドンキーを全国で経営している。工場と店舗からの食品廃棄物は1,914トンある。行っている取り組みを紹介したい。

  • 廃棄量が多かったのは炊き立てライスを出すためのライスの廃棄だった。小型炊飯器を導入し、お客さんの少ない時間帯やお客さんの少ない日に利用している。
  • 小盛メニューも工夫。
  • 「モグチャレ」といって、お皿が空っぽになったら賞状、デザートチケットを出す。
  • 仕入れを低減し、フードバンクに寄附(食中毒の不安、転売されないか不安あり)。寄附先は冷蔵庫があるかなどが確認できた団体と提携する。
  • 食品ロスを減らすために、肥料化して循環させる取り組みもしている。
開場風景

開場風景

パネルディスカッション

(〇は参加者、はパネリストの発言

  • 食べきりを進めるために、他にも取り組みはあるか。
    メニューの中で分量がわかるようにする。注文時に量について店員から説明する。
  • 自社でガイドラインをつくろうとすると、法律が複雑だったので、国がガイドラインを策定してくれてよかった。4年間、持ち帰りを奨励しているがトラブルはなかった。パートが増え、指導が難しいので、マニュアルとご案内チラシ(利用規約と持ち帰りの注意点)があるのは運用しやすくて助かっている。
  • 酔っているお客さんに持ち帰りの説明するのは難しいのではないか。
    ファミリー対象の店では、そんなにお酒を飲む人はいないようだが、今後の課題としたい。
  • インバウンドのお客さんのためにチラシの多言語化はしないのか。
    検討したい。
  • 自分の食べ残しには責任感もあるが、宴会での食べ残しが問題だと思う。
    宴会であっても、ガイドラインの基本的な考え方として、持ち帰り以後は「次の契約」である。持ち帰り時の合意形成にあたっては現場対応が重要なので従業員教育も重要。
  • 持ち帰った後の調査をしてほしい。捨てる場所が店から家庭になっていないか。
    帰宅後の喫食率は調べていない。帰宅後のことも要検討だと思う。
  • 消費者教育が必要。
    消費者に分かりやすい啓発資料を作成したい。
  • 食べきるのが基本。捨てるのならば持って帰りたいという人は多い。それが言える勇気があったりなかったりしたので、そういう気持ちがガイドラインに表されてよかった。消費者と事業者の両方の理解が大事だと思う。