くらしとバイオプラザ21

ニュース

サイエンスアゴラ2024「機能性表示食品と上手に付き合う~まずは毎日の食事をみなおしてみよう」

2024年10月27日、サイエンスアゴラ2024でセッション「機能性表示食品と上手に付きあう~まずは毎日の食事をみなおしてみよう」(後援 東洋大学生命科学研究科、日本食品安全協会)を開きました。本セッションでは、紅麹を用いた機能性表示食品による健康被害が起こったことをきっかけに、機能性表示食品の利用も含めて、私たちの食事について考えることにしました。消費者庁で食品表示を担当されている消費者庁食品表示課保健表示室 食品表示調査官の田中健さんの話題提供をもとに皆で話し合い、考えました。

総合司会のガイドでまずはアイスブレーク

総合司会のガイドでまずはアイスブレーク

田中健さん

田中健さん

話題提供「食品表示制度~特に保健機能食品の概要について」

表示の基本ルール

生鮮食品には、名称、原産地を容器包装や売り場に表示しなくてはならない義務がある。加工食品の方は、名称、原材料、添加物、内容量、消費期限または賞味期限など、10数項目を表示しなくてはならない。

いわゆる健康食品と保健機能食品

私たちが健康食品と呼んでいるもの(いわゆる健康食品)には、国がルールを決めている保健機能食品とそうでないものがある。保健機能食品には特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品の3種類がある。トクホは、安全性と効果について国の審査を受けて許可されたもので、マークを付けることができる。機能性表示食品は安全性と効果に関する根拠を事業者が届け出る。栄養機能食品は国が定めた対象成分を基準量含んでいるもので、国の許可や国への届け出は不要。

機能性表示食品

機能性表示食品の中で届出の多い成分には、高血圧緩和やストレス軽減のGABA、おなかの調子を整える難消化性デキストリン、眼の疲労軽減や睡眠の質向上のルテインやゼアキサンチン、中性脂肪を下げるDHAやEPAなどがある。
機能性表示食品の届出情報は公開されていて、だれでも見られる。

機能性表示食品制度の見直し

紅麹関連製品によって健康被害が起こったことから、制度の信頼性を高めるために次のようなことが決まった。

  • 医師等からの健康被害情報を保健所等に提供することの要件化
  • 天然抽出物を原材料とする錠剤、カプセル剤などの機能性表示食品へのGMP(適正製造規範)要件化
  • 表示方法の見直し(「機能性表示食品」と製品の主要面上部に書き、その近接した箇所に届出番号も記載する、医薬品ではないことを明確に表示するなど)

保健機能食品を利用する際のポイント

キャッチコピーより、機能性の内容や成分、一日当たりの摂取目安量や「摂取する上での注意事項」などをよく確認して購入してほしい。
また、最も大切なことは「食生活は主食、主菜、副菜を基本にした食事のバランス」である。

田中さんもグループを回って話し合いに加わりました。

田中さんもグループを回って話し合いに加わりました。

4名のファシリテーターのリードで話し合いがスムーズに進みました。

4名のファシリテーターのリードで話し合いがスムーズに進みました。

質疑応答

(〇はグループから出た質問で、はスピーカーの回答

話題提供をうけて、各グループではファシリテーターがリードしながら質問を考えて、グループごとに発表し、質疑応答の内容を全員で共有しました。

  • トクホや機能性表示食品の根拠データは誰がとるのか?国か?
    事業者がデータを提出する。国は適切なデータかどうかを審査する。
  • 表示違反はだれが監視するのか
    国や各自治体の保健所等が行っている。
  • 店頭ではラベルがあり表示をみられるが、市場では貼っていなかったと思う
    どういった市場に行かれたのかにもよるが、業務用生鮮食品を見られたのかもしれない。業務用も名称や産地は記載することになるが、一瞥して表示が分かるような状況ではなかったのではないかと思われる。
  • 機能性表示食品とトクホで求められるヒト試験はどう違うのか
    前提として、トクホは最終製品でのヒト試験が必須であり、国がその結果を審査する。機能性表示食品は届出制であり、大半が機能性関与成分によるシステマティックレビューを根拠としているが、機能性表示食品も最終製品でヒト試験を実施した結果を学術雑誌に投稿すれば、当該論文を根拠とすることもできる。その場合のヒト試験自体のやり方には特段の違い設けていない。
  • 食事のバランスがとれていて、病気のときは薬を使うような人は、どんなときに機能性表示食品などの健康食品を使うのだろうか。
    使うかどうかは個々人の判断だが、いわゆる健康食品は健康な人が更なる健康を求めて使用されるものではないかと思っている。

グループワークとメッセージカード記入

グループでは、自分の食事のこと、サプリの利用のことを話し合ってから、メッセージカードを書きました。

食事に関すること

  • 頭ではわかるけれど、実際にバランスのとれた食事は難しい。
  • 牛乳・乳製品の摂取を心がけよう。
  • できるだけ普段の食事から気を付ける。
  • 好き嫌いをしない。

表示に関すること

  • 気を付けて食品表示を見る。
  • 健康機能食品の種類を確認しようと思う。

健康機能食品に関すること

  • 機能性表示食品は買って試す。
  • 保健機能食品と医薬品は別物!
  • 機能性表示食品の成分を気にして買おうと思う。

ちなみに、25枚のメッセージカードの中で、機能性表示食品を「積極的に利用」が2人、「時々使う」が22名、「使わない」が1名でした。

みんなのメッセージカードの紹介

みんなのメッセージカードの紹介

メッセージカード

メッセージカード

お疲れさまでした

お疲れさまでした