くらしとバイオプラザ21ロゴ
  • バイオカフェ
  • 第4回バイオカフェ評価委員会議事録(概要)

    2006年2月10日(金)前回の委員会から今までバイオカフェの開催状況を報告しました。次に中村委員のフランスのサイエンスカフェ視察報告や、今までバイオカフェで行ったアンケート集計結果をもとに、どのようにしたら快適な対話の場作ができるかについて話し合いました。主な内容は以下のとおりです。
    みなさんもお気づきの点、ご希望がありましたら、本サイト右下の「ご意見・お問い合わせ」からお知らせ下さい。

    【議題】これまでのバイオカフェの評価

    (1)島根大学健康長寿プロジェクトとの連携
     事務局より、島根大学健康長寿プロジェクトとの連携について説明があった。
    (真山)
    ・島根大学では大学全体の連携プロジェクトとして、健康長寿プロジェクトと呼ばれるものを実施しているが、今回、その一環でバイオカフェを行った。島根大学の整形外科の助教授がこのHPを見ていたことが今回のきっかけであった。
    ・医学部の内尾教授が同プロジェクトの中で骨スクリューの研究を行っており、内尾教授の講演とあわせてバイオカフェを開催した。骨スクリューというのは、運動選手では腱がよくはがれることがあるが、患部のごく近くから骨を取り、ネジでつけるという方法で拒絶反応もなく治る。
    ・バイオカフェは12月13日に開催し、約20名の参加を得た。出雲市からの出席者もいた。
    ・内尾教授の話は、骨はカルシウムの貯蔵庫という臓器としても考える必要があるという話だった。真山からくすりの飲み方・つきあい方を話した。

    (2)札幌ビズカフェ
    事務局より、札幌ビズカフェでのバイオカフェ開催結果について説明があった。
    (佐々)
    ・今回は外山さんが酵素の話をした。嶋野委員長からはバイオ政策の話(法律面)の講演が行われた。
    ・ビズカフェは北海道経済局や北海道のバイオ企業などが会員となっている組織であり、今回は、北海道経済局やHOBIA、北大を通じて参加者を集めた。
    ・2回とも関係者を含めて約30名の出席者となった。

    (3)茅場町バイオカフェの会場変更について
    事務局から、会場をこれまでの喫茶店リリーからサン茶房に変更することが報告された。

    (4)その他
    ・くらしとバイオのメンバーが武田財団のカフェ・デ・サイエンスを視察した。
    また、北大で開催されたサイエンスカフェに関するワークショップに招かれ、バイオカフェの活動報告をした。


    フランスのサイエンスカフェの視察結果

    (中村)
    ・パリではカフェを貸し切るのではなく、カフェの一部を使ってやっている。見学時はCO2貯蔵について3人のスピーカーが話をしていた。カフェの模様は録画され、インターネットで配信されている。
    ・パリのもう1件のサイエンスカフェでは、3名のゲストは科学者や文学者といった異なるバックグランドから構成されていた。
    フランスのカフェは講師による講演形式をとらないケースが多いが、パリ郊外での事例では、ITER(International thermonuclear Experimental Reactor国際熱核融合実験炉)という広く知られているわけではない話題をテーマにしていたため、例外的にプレゼンがあった。
    ・リヨンの放射性廃棄物に関するサイエンスカフェでは、ゲスト3名のうち賛成派2名、反対派が2名という構成であった。
    ・以上をまとめるとフランスのサイエンスカフェは次のように行われている。
    一般的に、普通のお客さんとカフェの参加者を特に区切らずにカフェを開催している。ゲストは3、4名である。色々な意見の違いがあることを浮き彫りにするため複数のゲストを招く。これは、実際の科学には論争もあり、教科書のように固まったものではないことを反映している。
     基本的にはプレゼンは行わない。講師は自己紹介をするだけで、プレゼン資料もない。ただし、ITERの場合は聴衆への説明のため、5枚程度のスライドがあった。
    ・聴衆からはどんな質問でも出される可能性があり、質問内容が全く想定できないため、複数のゲストを招いている。
    ・始めにレクチャーをすると議論の枠組みをはめてしまうので、講義(説明)はしないという考え方である。
    ・リヨンではサイエンスカフェの準備過程自体が教育プログラムに組み込まれており、博士課程の学生が開催に協力している。これにより学生の視野も広がる。
    ・食に関する話題では、妊娠すると酸っぱいものを食べたくなるのは何故かといった質問も出た。
    ・ほとんどの研究者は予定の許す限り引き受けてくれる。基本的に講師は無償で話を行う。
    ・リヨンのカフェでは他のカフェの宣伝ビラが会場に多数掲示されている。精神分析カフェ、地理学カフェ、メディア・カフェ、モード・カフェなどがあり、他のカフェの参加者がサイエンスカフェにも来ることもある。


    哲学カフェ

    ・1992年から開始。見学した時には立ち見まで出てほぼ貸し切りの状態であった。哲学カフェはテーマすら事前に決まっていないスタイルで、民主主義と安全といったタイトルがその場で選ばれる。
    ・サイエンスカフェも最初はテーマを決めずにやっていたが、内容が専門的になることから、事前にテーマを決めるようになった。


    サイエンスカフェの運営状況

    (中村)
    ・サイエンスカフェは月曜、火曜日の夜などが多い。カフェの客が比較的少ない時期に開催しているようである。
    ・参加者は飲食代を払う。オーガナイザーは研究者や理科教員、市民、物理学会などである。
    (小島)
    ・講師にはいわゆる反対派的な人も呼ばれることがあるのか。
    (中村)
    ・グリーンピースなどはっきり反対派的な人を呼ぶことがある。
    (小島)
    ・オーガナイザーはいるのか。いるとしたら、どんな人がやっているのか。ボランティアなのか。
    (中村)
    ・オーガナイザーはいる。半年で70箇所のサイエンスカフェをオーガナイズするような半専従的な人もいる(多少は費用をもらっているらしい)。自治体からカフェをやって欲しいという要請が来ることもあり、助成をもらっているとのことである。
    ・オーガナイザーをやる目的は、ある主催者によればみんなに楽しんでもらいたいという動機でやっているとのことであった。
    ・質問が出ないこともあるので、オーガナイザーがサクラの質問をすることもある。
    (小林)
    ・自分が見学した印象では、パリの場合、オーガナイザーが非常にうまく、質問の拾い方や議論の進め方が巧みである。

    ・場合によっては3時、4時まで残って議論することがある。標準は90分程度である。
    (内野)
    ・参加者へアンケートをとって、カフェに参加して考え方が変わったとか、何かそうした参加者の意識変化を調べた研究はないか。
    (中村)
    ・アンケートはとっていない。参加者の意識の変化についても分からない。
    (小林)
    ・サイエンスカフェでは一般に講演がないということであるが、specificなテーマの場合は当然,ある程度の説明は必要になる。国立工芸学校(CNAM)で実施されているカフェや抽象的なテーマには説明がある。
    (嶋野)
    ・ITERは国家として重大な政策であり、理解してもらうためには当然説明がいる。
    (中村)
    ・ゲストが多いと説明だけで時間が終わってしまうということも説明を省略する理由のひとつであるかもしれない。
    ・カフェの途中で出ていく人はあまりいないようだ。
    (嶋野)
    ・サイエンスカフェでは、大型プロジェクトをやる研究者が、自分の研究について簡単に一般の人の話を聞くことができるので、その点で非常に意義がある。
    (小林)
    ・College de Franceは一般の人に対して講義をするのが業務とされている。
    ・またフランスでは大学ができるよりも先にこのようなカフェでの議論が行われてきた伝統がある。
    ・米国のサイエンスカフェはgrass rootsの取り組みとして行われており、キャパシティビルディングの一環として行われている。Pluralism(多元論)に根ざしたconversation caf?が行なわれている。
    (嶋野)
    ・国による文化の違いと各国のカフェの違いを分析してみると面白いのではないか。

    © 2002 Life & Bio plaza 21