GABA高蓄積トマトをめぐるコミュニケーション 2
2021年9月、ゲノム編集技術でつくられたトマト「シシリアンルージュハイギャバ」のオンライン販売が始まりました。販売に際しては、ゲノム編集技術を用いて作られていることが表示されます。
このトマトは、γ-アミノ酪酸(GABA)というアミノ酸を多く含むように、ゲノム編集技術を使って品種改良されたものです。GABAは機能性表示食品の中で、443件(2021年2月時点)と最も多くの食品で扱われている成分で、高血圧の緩和、ストレス緩和、睡眠の改善などの効果があるとされています。
GABAは従来のトマト100gにも約20㎎くらい含まれている成分ですが、「シシリアンルージュハイギャバ」1粒(約15g)には、約15㎎のGABAが含まれており、一日1-2粒、摂取すると、健康への良い影響が現れると期待されています。
届出受理までの道のり
「シシリアンルージュハイギャバ」は筑波大学で研究開発され、くらしとバイオプラザ21のバイオカフェでもお話しいただいてきました。
バイオカフェ in 愛知県図書館 第一部「新しい品種改良技術により広がるトマトの可能性」 (life-bio.or.jp)
その後、事前相談が行われ、2020年12月11日に、届出が受理され、現在は、情報公開が行われています。
ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧 (mhlw.go.jp)
栽培モニターの活動
2021年5月からは全国の約4000人の栽培モニターによって、シシリアンルージュハイギャバの栽培が始まりました。ひとり4株ずつ、栽培の手引書、肥料が配布され、それぞれのモニターは露地、プランター、水耕といろいろな方法で栽培しました。生産者も家庭菜園のベテランもいれば、まったくの素人もいます。場所も畑、庭先、ビニールハウス、マンションのベランダ、家の周囲のコンクリートの上に置かれたプランダーと様々です。地域も北海道から沖縄まで、日照時間も気温も違います。台風の被害を受けた地域もありました。
モニターの有志、約1200名によるライングループでは、栽培指導、栽培相談、病虫害に関する相談、栽培方法や料理方法についての意見交換も行われました。オンラインセミナーでは、季節にあった栽培のコツが紹介されたり、活発な質疑応答が行われたりしました。
「GABA1グランプリ」
栽培モニターの活動のなかでも、3-4段から収穫した3粒を事務局に送ってGABAの含有量を測定する「GABA1グランプリ」では、予想をはるかにこえるGABAの含有量が報告されました。100gに換算したところ、最高値は408㎎と従来のトマトの20.4倍で、主催者も驚きを隠せませんでした。
全体的に露地栽培よりも、プランター栽培の方がGABAの含有量は多くなる傾向がみられました。今後はこれらのデータやアンケート結果を精査し、GABAの含有量や糖度は高く、硝酸値が低いトマトができるにはどのように栽培したらよいか今後の栽培サポートを通じて、栽培者の方々と探っていきたいそうです。