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  • バイオカフェ@くらしき 第1部
    「おいしいメロンの祖先を遺伝子から訪ねる」

     2017年9月16日(土)、倉敷市芸文館においてバイオカフェ@くらしきを開きました。
    今回のカフェは内閣府の支援を受けて開催、これから実用化が進むであろうゲノム編集技術やその応用作物、食品を消費者である私たちはどのように受け止めていけば良いのか、考える土台となる話題を、お2人の講師の方にお話いただきました。
     第1部は岡山大学大学院環境生命科学研究科の加藤鎌司さんによる「おいしいメロンの祖先を遺伝子から訪ねる」、第2部は食の安全・安心財団 評議員、コープこうべ 元理事の伊藤潤子さんに「遺伝子組換え食品との出会いから20余年〜振り返り学んだこと〜」と題してお話いただきました。
     第1部、加藤先生のお話の前に、会場となった倉敷市芸文館とわたしたちをつなげてくださった岡山大学の武田穣先生のご挨拶がありました。続いて河野宏さんの講師紹介の後、加藤さんの話が始まりました。

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    武田先生のご挨拶
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    河野さんの講師紹介

    主なお話の内容

    メロンの今昔
     名前に「瓜」がつく果菜類としては、胡瓜(キュウリ)、南瓜(カボチャ)、西瓜(スイカ)、糸瓜(ヘチマ)など様々である。メロンには漢字はないが、古来から歌に詠まれたりしている瓜は甜瓜であり現在のメロンの祖先であることから、メロンは瓜の代表だったのかもしれない。
     メロンは本来成熟すると果皮が色付くものであったが、店頭で色が変わると売れなくなるため、果皮色が変わらないよう品種改良されてきた。四角いメロンも作られており、種の入り方も四角くカットメロンには適している。これは品種改良ではなく栽培方法によるものだが、形をコントロールする遺伝子を利用して、遺伝子組換えで作ることもできるかもしれない。
     
    日本のメロン
     日本では茨城、北海道、熊本がメロンの3大生産地である。静岡ではアールスメロンやマスクメロンといったメルティング質(実が柔らかい)のメロンが栽培されている。床がコンクリートのガラス温室でこまめに管理し大切に栽培されており高品質なメロンができあがる。一般にマスクメロンは網目が細かく均一できれいなものが良いと言われるが、網目は果皮が割れることによりそこにコルク質の組織ができるためであり、これには水の管理が重要であることから、しっかりと管理されているという証拠が網目に出るという理由である。
     アールスメロンは伯爵(Earl)のために品種改良されたメロンである。季節によって生育の差がでて果実の大きさが変わってしまうが、果実が肥大する春には小さい果実の品種、果実があまり肥大しない冬には大きい果実の品種を利用することで、1年中同じ大きさの果実が生産できるように工夫されている。
     地床栽培されるアールス系メロンは高品質と作り易さを兼ね備えた品種であり、地這い栽培される夕張キングやアンデスメロンは作り易さを重視した品種である。なお、メロンは基本的にF1品種であり、メロン農家はF1の種を買って栽培する。
     網目のないノーネットメロンのうち、プリンスメロンは1962年に登場したが、これは今の天皇陛下がご結婚された年である。なお、ノーネットメロンはカリフォルニア産やメキシコ産のものが船で輸入される。ネット系メロンは輸送中に腐ってしまい、空輸するとコストがかかる。ノーネットメロンは貯蔵性がよく、これは成熟にかかわる植物ホルモンであるエチレンが作られない上に応答もしないためである。

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    加藤先生のお話
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    会場全体の様子

    日本古来のメロン
     日本ではデザートとしてマクワウリ、野菜や漬物としてシロウリというメロンが古くから食べられていた。奈良漬もシロウリである。また、雑草ウリと呼ばれる実の小さいものがあるが、これは野生種ではなく栽培化されたものが雑草化したものではないかということが遺伝解析から明らかになってきた。
     遺跡から出てきたメロンの種子からDNAを解析するという研究も行っている。八丈島では「ばば殺し」という粉っぽい果実のメロン(モモルディカメロン)もある。
     
    世界のメロン
     世界各地でメロンが栽培されており、キャンタロープメロンとフユメロンに分けられるが、起源は同じである。インドではスネークメロンやヘビウリを野菜として利用している。ヘビウリの花はカラスウリ様である。
     中国ではハミウリが輸送に適した固い果実のフユメロンとして栽培されている。
     メロンの起源はどこかという問については、葉緑体DNの解析から大きく3パターンに分かれる。解釈は複数あるが、おそらく3ヶ所で栽培化されたのではないかと考えられている。
     
    メロンの品種改良
     メロンにはつる割れ病というウイルスによる病気があり、抵抗性遺伝子も知られている。しかし新しいウイルスが現れると、それに抵抗性を持つメロンを探す必要がある。


    話し合い

  • は参加者、 → はスピーカーの発言

    • メロンの定義は?どこまでがメロンで、どこからがキュウリなのか。 → 完全に交配できるものがメロン。キュウリは同じ属だが種が違っており、交配できない。染色体数もメロンとキュウリで違う。現在のメロンは栽培化され、そこで変化が起こって多様化した。
    • 組織培養して新しいものはできるのか。 → メロンとキュウリは今のところできない。
    • 2000種ある遺伝資源の中には、野生のCucumisもあるのか。 → 含まれている。
    • 欧米系のメロンの選抜指標は甘さ、アジア系は野菜としての利用のようだが。 → そのようだ。メロンは成熟したら果実だが、未熟なものを野菜として食べる。
    • モモルディカは熟したら甘くなるのか。 → 甘くならない。自分たちでも栽培してみて甘くなく、栽培法が悪かったのかと思ったがそうではないようだった。
    • 販売されているメロンがほぼF1である理由は? → F1のほうが高品質。作り易さもある。F1の種の価格は高くなるが、そのぶん品質が高ければ高価で売れる。
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