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  • サイエンスカフェみたか「高齢社会と機能性食品〜口腔機能改善への応用ほか」

     2016年2月13日、三鷹ネットワーク大学でサイエンスカフェみたかを開きました。講師は株式会社 カネカ QOL事業部 機能性食品グループ 細江 和典さんです。昨年の「アンチエージングサイエンス~コエンザイムQ10の魅力と応用」が好評でしたので、今年はドライマウス、口腔ケアに焦点をあててお話いただきました。
    参考サイト https://www.life-bio.or.jp/topics/topics604.html


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    細江和典さん
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    会場風景

    主なお話

    背景
    超高齢社会で、健康寿命と寿命の差を縮め、QOL(Quality of Life  生活の質)を高めることが大事。私たちはエビデンスのある機能性食品が、この状況に貢献できるのではないかと思っている。
    厚労省による新オレンジプランなど、認知症を予防する施策も始まっている。1980年から健康増進運動を始めて、健康寿命を長くすることに成功したという長野県の事例もある。
    生活習慣病の予防は「1に運動 2に食事 3に禁煙 最後にくすり」(厚生労働省)
    野菜の栄養成分も一定とは限らないので、野菜を食べているから安心ともいえない。普段の食事で不足しがちなものを補うことが有効。強い抗酸化作用を持つコエンザイムQ10は、いわし、豚肉、牛肉、オリーブオイルなどの食品に多く含まれるが、それでも100mg(1日)とるには、いわし20匹、牛肉3Kg、ブロッコリー 12Kgとなり、食事だけからでは取りにくい。品質の良いサプリメントという選択肢がある。
     
    ミトコンドリア
    肌と体力の衰えは、エネルギーをつくる能力が低下することでもある。
    エネルギーをつくるのは、細胞の内部に存在するミトコンドリアという小器官。酸素と栄養素をミトコンドリア)で燃やして細胞が働くためのエネルギー(ATP)を得る。ATPが欠乏すると細胞は死ぬ。細胞には再生するものが多いが、心臓、脳の細胞は再生しないのでATP不足は他の組織よりも深刻な影響を与える。ミトコンドリアの量は加齢で減ってしまう。
    人の体重の10%はミトコンドリアともいわれ、心臓、腎臓などに多い。また、細胞が必要とするATPの95%はミトコンドリアで栄養素と酸素からつくられ、貯められない。ATPは必要な瞬間、瞬間につくられ、消費される。
    ミトコンドリアでのエネルギー生産の低下は、あらゆる臓器の機能低下を引き起こす。
    たとえば糖尿病患者では骨格筋におけるエネルギー産生能が低下し、筋肉のミトコンドリアの数も減少する。
    ミトコンドリアが不調だと活性酸素(排気ガスのようなもの)が多く発生してしまう。
     
    ミトコンドリアを増やすには
    少しだけ強めの有酸素運動を行うのがよい。
    例えば、30秒間小走りで走り、脈が整うまで歩き、30秒間小走りで走り、を繰り返す。
    よい姿勢をとることもよい。間食をせずおなかをすかせる、寒さを感じることでもミトコンドリアが増える。
    ミトコンドリアでATPを作る時にコエンザイムQ10が活躍する。ミトコンドリアを増やし、コエンザイムQ10を補えば、細胞の活性化につながる。
    コエンザイムQ10は体内でつくることができる唯一の脂溶性抗酸化物質。ビタミンEも抗酸化物質だが、これは体内ではつくれない。
    還元型コエンザイムQ10は、ミトコンドリアを活性酸素から守りながらエネルギー生産を支えている。
    適度な運動と腹八分目(カロリー制限)は長寿遺伝子を活性化する。長寿遺伝子はミトコンドリアの数と機能をアップさせる。コエンザイムQ10は長寿遺伝子も活性化させる。最近、よくいわれるアスタキサンチンも抗酸化物質で、同じ働きをする。
    健康によいといわれることは、すべてはミトコンドリアが増えてきちんと機能を発揮することにつながっているといえるだろう。
     
    認知症やロコモティブシンドロームの予防
    足踏みと計算の組み合わせが認知症予防に効果的。女性は50歳(閉経後)以降、骨密度がへり、ロコモティブシンドロームが増える。転倒→骨折→認知症とならないように。
    1日15分の運動で健康に効果が出たという報告がある。WHOは週150分の運動を推奨している。
     
    口腔機能
    全身運動と同じくらい口腔運動が大事。
    食べるとは、噛む、すりつぶす、飲み込む、味わうこと。
    口はこの他に話す、発音、歌う、感情表現(笑う 怒る)、呼吸するという役割がある。
    災いは口より出て、病(やまい)は口から入るというくらい重要。
    口腔機能が低下すると、栄養の偏り、エネルギー不足、免疫力低下、運動機能低下、コミュニケーションでの不具合(出無精)、認知症など、全身の問題につながる。。
    脳の仕事のうち約40%が口腔に関係しているといわれる(ペンフィールドの脳地図)。摂食・嚥下には脳の働きが重要で、舌、頬、食道、気管など各組織の微妙なバランスをとっている。
    食べ物が肺に入らないように、咽頭蓋(いんとうがい)が閉まるのも脳の働き。高齢者の死因の一番は肺炎。これも誤嚥から起こることが多く、高齢者の口腔ケアは特に大事。同時に、咀嚼するときには、頬の筋肉、下顎、唾液腺などがうまく働きあって、脳に刺激を与えている。胃瘻になっても口腔ケアを忘れずに。それは、口を使わないと口腔機能低下、食欲低下、体力低下、活力低下、人との交流が減る、脳機能の低下というネガティブスパイラルに陥るから。
    先ずは毎日実行できる口腔ケアとしてしっかり噛みましょう!
    弥生時代3990回噛んでいたが、今は620回。噛むことは口腔機能を向上させるので、カミング30という運動もある。
    口腔体操もいろいろあるので、心がけるとよい。
    ・たとえばドライマウス体操。「いー」「うー」を5秒ずついう。
    ・ほほの左右、唇の上下に空気を送り込む。
    ・舌をならす
     
    カロリー制限
    基礎代謝は加齢とともに低くなる。
    アカゲザルで25年間の試験をしたら、カロリー制限をした猿の方が死ぬ数が少なくなり、病気も防げた。
    ただし、人間はカロリー制限のバランスを間違えると骨密度が低下するので注意してください。
    歴史上、健康に長生きした人について調べると、これらのことに気を配ってきたことがわかる。徳川家康、貝原益軒など。貝原益軒の「養生訓」で述べられている『腹八分目』は現在では長寿遺伝子活性化とミトコンドリアの活性化につながることが明らかになっている。
     
    まとめ
    体内のコエンザイムQ10の量は、加齢、喫煙、コレステロール低下薬や骨粗しょう症の薬の服用、心不全、うつ病、繊維筋痛症、慢性疲労症候群など病気、コエンザイムQ10生合成関連遺伝子の突然変異など様々な原因で減少する。
    コエンザイムQ10が不足すると、疲れ易い、だるい、風邪をひき易くなるなど体調不良が起こる。
    アルツハイマー病の原因となるアミロイドベータの蓄積は、45歳くらいから始まり、認知機能の低下はそれから20年以上経ってから現れる。認知機能が低下してから治療しても効果は得られにくいので、もっと若いときから運動、口腔ケア、腹八分目、サプリの補充などを考えたらいいのではないか。


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