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  • 「科学と科学コミュニケーションの未来を語るオンライントーク」

    2022年10月11日、「科学と科学コミュニケーションの未来を語るオンライントーク」が開かれました。これは日本科学振興協会(JAAS)、日本サイエンスコミュニケーション協会(JASC)、日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)の3つの団体が共催で開きました。3団体に属する研究、教育、サイエンスコミュニケーション、メディアなどから71名の事前参加登録があり、関心の高さが感じられました。
    初めにJAAS理事 馬場基彰さんから開催趣旨の説明がありました。

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    代表トーク(3団体の代表とファシリテーター)

    代表トーク

    3つの団体の代表、渡辺政隆さん(JASC会長)、北原秀治さん(JAAS代表理事)、室山哲也さん(JASTJ会長)が、それぞれの団体の紹介、最近の傾向、課題などを3分ずつ話しました。ファシリテーターは菊池結貴子氏です。
    JASC:2011年設立。年会や研究会を開催し、協会誌を発行している。3年前から始めたJASC認定サイエンスコミュニケーター資格への関心が高く、サイエンスコミュニケーションやサイエンスコミュニケーターが注目されていることを感じる。
    JAAS:2022年設立。アメリカのアメリカ科学振興協会(AAAS)の日本版を目指している。年会や研究会を行っており、いろいろやりたいことはあるが、歩み始めたばかりなので、他の団体と連携をしていきたい。
    JASTJ:1994年設立。会員のほとんどはメディアだが、テレビ、新聞、フリーランスと様々で、最近は大学や企業の広報に関わる人も会員になっている。例会の開催、会報の発行、JASC賞の選考と贈呈、JASC塾による人材育成に努めている。会員は科学の専門家とは限らず、「知らないことが武器」と考えて取材したり、情報発信したりしている。
    このように3つの団体の活動は重なり合う部分もありますが、対象や科学コミュニケーションへの認識は少しずつ異なっていることもわかりました。また研究者にとっては、研究と科学コミュニケーションの両立が難しいという意見に対しては、科学コミュニケーションのとらえ方次第、向かっているところは同じではないかなどの意見がでました。

    グループディスカッション

    代表トークを踏まえ、8つのグループに分かれて話し合いをしました。ファシリテーターはJAASの有志が担当し、終了時に各グループの話し合いの結果が報告されました。テーマは以下の3つです。

    • 一般の人の科学への関心をどうあげるか?
    • 科学者にむけられがちな偏見(例えば、科学者は好きなことを、税金を使ってやって社会を顧みない)をどうすれば取り除けるか?
    • サイエンスコミュニケーションに対して科学者がもっと関心や熱意を持ってくれるようにするにはどうしたらいいか?

    全体討論

    3つの団体は今後、どのように連携したらいいのか、連携しなくてもいいという選択肢も意識しながら、皆で考えました。今回、よくわかったことは互いの違いであり、それを尊重することが大切だということでした。まずお互いの活動を知る機会があるといい、全く一緒に活動する必要はなく互いの求めあうことが合致するときに共同開催するといい、互いの活動をのぞきに行かれるような関係性がいいなど、「ゆるい連携」から始めるのがよさそうです。
    また、「科学コミュニケーション」とは何かという課題についても共に考える必要があるという意見もあり、共感した方もあったようです。
    まずは、このような機会を次回も持てることを期待して、お開きとなりました。

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