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  • 「不使用表示関するガイドライン検討会に参加して~伝えたいこと、考えたいこと」

    2021年12月10日、コンシューマーズカフェ「不使用表示関するガイドライン検討会に参加して~伝えたいこと、考えたいこと」を開催しました。スピーカーには消費生活アドバイザー 戸部依子さんをお招きしました。戸部さんは相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタントで構成されるNACSで活動し、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインの検討会委員をされています。

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    戸部依子さん

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    くらしとバイオプラザ21より配信中

    主なお話の内容

    はじめに

    自分の立場はNACSの活動をしたりしているが、おいしく楽しく食べられれば満足と思っている消費者でもある。検討会にはあまり参加できていないが、消費者として、また、消費者と事業者をつなぐ橋としての立場から意見を提出している。

    検討会

    検討会の前提は、食品添加物表示制度に関する検討会報告書の中の今後の整理の方向性としてあげられた「表示禁止事項を明確化するため、『無添加表示に関するガイドライン』を策定」について検討すること。前の検討会の報告書で「合成・人工」の用語を削除することが述べられ、これは対応が済んでいる。
    本ガイドライン検討会では、食品の表示を類型化して食品表示基準に抵触していないかを検討してきた。まとめられた類型は10になった。
    行われた7回の検討会は以下のとおり。
    第2回、第3回 消費者、流通事業者からのヒヤリング
    第4回 大量のサンプルをもとにどんな不使用表示がおこなわれているか、類型化
    第6回 誤認の可能性はないか、食品表示基準第9条に抵触していないかを検討。
    昨日の12月9日に開催された7回目でとりまとめられた。

    類型とは

    現在、流通している食品を大量に集めて表示を分類したところ、以下のようなグループ分けができた。

    (1)
    単なる無添加
    (2)
    食品表示基準に規定されていない用語が無添加や不使用とともに使われている(すでに書かなくことになった人工、合成のことばの利用)。
    (3)
    仕様が法令上認められていない添加物(使うはずがない添加物)の不使用表示がある。
    (4)
    一切の添加物の不使用を想起させる。
    (5)
    同一機能・類似機能を持つ他の添加物を使用している。
    (6)
    同一機能・類似機能を持つ原材料を使用している。
    (7)
    健康・安全と関連付ける。
    (8)
    健康、安全以外の内容(おいしさ、保存料不使用だから早く食べてほしいなど)と関連付ける。
    (9)
    添加物の使用が予期されていない。
    (10)
    強調(過度に強調した無添加の横に小文字で書く)
    (11)
    加工助剤、キャリーオーバー(最終製品に残っていないはず物)

    以上の11の類型が挙げられたが、(4)と(10)は合わせることになり、結果的に10類型となった。
    これからパブリックコメントの募集が始まると思う。10の類型をみても、具体的な写真がないとイメージしにくいと思うが、写真を出すとイメージが固定されるので、このような10類型でコメントを頂くことになった(12月22日から1月21日まで募集された 事務局加筆)。

    私の心配、課題 その1「健康危害の発生 可能性(安全性)、経済的損失にどの程度の影響があるのか」

    現在の食品表示には課題がある。消費者の期待と科学的・客観的実態のずれをどう考えるか。
    ガイドラインをつくってルールを決め、誤認をないようにするわけだが、ルールを決めると、ルールとルールの隙間(ルールを回避した新たな表現、課題)が出てくることが懸念される。この科学的事実との隙間をなんとかできないか。
    ニーズ、期待、使い方、求められるサービス、これらは変化していくことを前提にしていることと、表示の実態に問題があると思ったときに戻って考えられる場所(メルクマール)が必要ではないか。検討しながら、難しい議論だと感じていた。みんなが同意できる最低限の原則、原点が必要。その原点、原則を明確にしておくべきで、原則のような「基地」が必要だと思う。
    そこで、私の考えるひとつめの課題は「消費者への安全性.健康被害への影響」。安全性、経済的損失に関わる部分に影響がないようにする。そのためにはリスクを基本に考え、リスクに見合った対応を考えなくてはならない。

    類型に関する検討例

    〇類型1(単なる無添加)
    何が無添加だと伝えたいのか。このような表示をみて消費者は事業者をどのように評価するのか。事業者への信頼に影響しないだろうか。みそのように公正競争規約にある場合は今後の議論の余地があるが。

    〇類型7、8(安全性に関わる表現)
    消費者が安全に食べるための情報「保存料を使っていないので早く食べてください」「開封後は冷蔵に保管」→これらの注意は保存料に関係なく当然ではないか(確かに、製品によっては、保存料を使用しないことによる、品質の低下や、食品安全上のリスクの増大スピードが高いものもあるようだが、消費段階における安全性確保のための注意喚起という点では、保存料の使用如何にかかわらず取扱いの原則は同じ)。

    〇類型9,3(仕様が認められていない添加物、使用が予想されない添加物に言及)
    添加物を使わない製法なのに、人工甘味料不使用、化学調味料不使用、無着色とわざわざ書く。

    私のイメージ

    消費者にとっての表示だけでなく、事業者との関係性における「表示」「宣伝」「お客様対応」の意味を考えてみた。
    製品を特に買わなくても、表示は消費者への広い情報提供であり、情報共有。表示は事業者の経営方針(企画、設計・開発、製造、品質保証活動、販売・提供)を伝えるもので、消費者への働きかけのひとつであろう。わかりづらい商品表示は、事業者による消費者に対する適切な情報提供の取り組みの基準や実態を反映していると言えるのではないか。表示を通じた事業者の活動に対する消費者視点での評価もありうるではないか。消費者はこのような評価を企業に伝えるべきだと思う。

    私の心配・課題 その2「表示をみたときの事業者への評価」

    表示は消費者だけでなく、事業者への信頼、事業者への評価も考慮しなくてはならない。
    例)無添加表示のある食品。
    この表示からは、何が無添加はわからない。
    しかし、表示で伝えきれない部分はホームページで食品安全の方針、経営理念を伝え、企業の公開している行動規範ではフェアネスを掲げていた。食品安全方針に掲げられた項目から、消費者は事業者を評価するができる。消費者も正しく知ろうとする行動が必要。また、消費者も食品のパッケージの表面だけでなく裏面の一括表示を見る習慣をつけましょう!消費者、事業者、相互の配慮や努力も必要と考える。

    まとめ

    1.
    表示だけでなく、表示ができてきた過程を共有し評価する。
    無添加と書いてある場合のリスクを評価すべき。必要な対応をするように消費者も確認し、消費者の誤認を回避する方法・必要な対応ができるようになっているかを評価する。そして、販売後も、消費者は声をあげること。
    2.
    表示のルールのあり方
    シンプルであるべき。表示法に消費者は追いついていくのが難しいので、分からないことを尋ねられるようにしたい。類型に事例が示されているか、ルールにあっているかだけでなく、コミュニケーションを行い、消費者も一括表示をみて調べるようにし、事業者もわかりやすい一括表示欄をつくってください。

    質疑応答(〇は参加者、→はスピーカーの発言)

    • ルールとルールの隙間とは?
      →白黒にしないガイドラインが必要だと思う。紛らわしい表示があったら、基準に抵触していないかをみる。それでイエス・ノーとはならなかったとき、意見を聞いてみたり、読み間違えたときのリスクを考えたり、グレーであると具合が悪いかみてみたり。すぐに回収するのではなく、危害が起こらないリスクを無理に白にせずに、議論の余地を残す。その中で消費者も読み間違いそうなところを見つけたら声をあげ、情報提供をして、予兆から学べる仕組みをつくる。
      行政としては難しいかもしれないし、はっきりしないと気持ち悪いかもしれないが、隙間をみんなで見ていきたい。
    • レトルト食品なのに保存料不使用などの表示をしている食品は問題外です。一方、安全性の問題ではなく、原料や製造にこだわって、チキンや魚介のエキスやだしで複雑な味をつくっているメーカーもある。うま味調味料とエキスでは10倍くらいの価格差になることもある。そういうメーカーはその努力をどうやって今後表現するのか難しい。
    • 家庭のプリンでしたら牛乳とたまごと砂糖でつくり、原材料の配合順も牛乳、たまご、砂糖です。牛乳を水に置き換えれば材料費が安くなりますがゲル化剤が必要になります。ゲル化剤を使わず加水もせず、しかも価格も上げないようにしている事業者は、そのことを今後、表示でどう伝えられるのか。
      →消費者が一括表示をみることが基本で、それを見れば何が入っているかがわかるようになっていればよいと思う。類型7では添加物は危険という考えが基になっているのではないか。
      →無添加だからおいしいなどは消費者の過度の期待を抱かせるが、問題ないとする意見も出ている。考え方を間違いとはいえない。着色料を使わない場合、光や時間によって色が劣化するのは事実なので、間違いではない。
    • 無添加と書きたいのは「無添加は健康に良い」という誤解を利用しているから。そこには考え方の整理が必要。子どもには無添加を食べさせるべきという条件付けは問題あるのではないか。どの食品添加物が子どもにリスクがあるのかは知らせるべきだと思う。
      →表示の健康に関わる部分は根拠を提出して説明を求める。食品添加物の安全性は国が評価している。国が評価した添加物を使っていないから健康に良いといいたいなら、客観的な視点での説明が必要。他の検討委員もこの点は同じ意見だと思う。
    • 国がリスク評価している添加物は安全だというのは、検討会の多くの委員の認識だが、コストをかけてでも食品添加物を使わないことにこだわる事業者の主張を代弁する委員もおられる。
    • ガイドラインに照らし合わせて外れたときに、いきなりレッドカードをだすのではなく、イエローカードにして、自分たちの表示は消費者をミスリードしていたかもしれないと思って、考えを改めるのがいいのではないか。
    • 今回の進め方はレッドカードまではいっていないのではないか。このガイドラインは事業者を取り締まるためのものではなく、消費者に正確な情報提供を行い、適切な情報共有のために活用するものであると思っている。
    • 無添加、○○無添加、○○不使用だけはやめようというシンプルなルールがいい。類型と照らしてはずれると違法というような進め方は複雑すぎて現実的でないと思う。
      →ガイドライン案は4ページくらいで、消費者には難しいかもしれないが、理解しやすくなるような勉強会などがあるといい。食品衛生法を勉強するのは大変だが、ガイドラインはエッセンスがうまくまとめられている。
    • 消費者への普及は重要。事業者の行動指針は3つくらいがいい。類型が多いと、不使用、無添加の逃げ道を作っているようにみえる。
    • 消費者と事業者がこのガイドラインを活用して「無添加や不使用」がなくなる方向に進むといい。
    • 加工業者の中からも、無添加・不使用表示がないほうがいいという声もある。
    • 不使用ガイドラインの策定は大きい業績だと思う。
      →消費者、事業者がリスクを理解していく方向性が出てくる方がいい。ガイドライン策定から普及活動をしていきたい。
    • 「無添加表示」は危険を煽るということだけではない。製造の工夫やこだわりの結果だったりするので、そこに新しい価値が生まれると思う。そういう商品の表示のありかたも考えたいと思う。
    • 食品添加物のリスコミに長く関わってきて、いい方向に進んでいることを感じている。食品添加物が安全であることが広く認識されるには時間がかかるだろう。
    • 食品にリスクが少しあっても、それを乗り越えていくような生き方も必要ではないか。
    • メディアの立場から。マイナスイオンのように科学を飛び越えて商法となっているものものあり、社会に情報をなげていくことは大事。いくつかの情報がまとまったときに発信してもらえるとジャーナリストも扱いやすい。決まった結果だけをだすのでなく、背景の考え方や手順、思想、真摯さを示すと、伝わっていくと思う。
    • パブリックコメントをできるだけ出しましょう。
    • アカデミー、市民団体からメディア向けの情報発信をしたらいいですね。

    最後に戸部さんから以下のまとめのことばがありました。
    「いろいろなご意見をきけてよかった。ガイドラインの作成はこれをきっかけに、消費者の理解をすすめ、不安にこたえ、事業者の努力を話し合う機会を増やしていくことが求められ、大事。ガイドラインはどうやってつかっていくか、育てていくかにかかっているのだと思う。また見直していくことも考えている」

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