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  • 日本リスク学会年次大会 企画セッション「食品中の杞憂のリスクを議論する」

    2021年11月21日、日本リスク学会第34回年次大会 企画セッションB4「食品中の杞憂のリスクを議論する」に参加し、くらしとバイオプラザ21で取り組んでいるゲノム編集食品をめぐるリスクコミュニケーションの評価手法について報告しました。
    本セッションでは、トリチウム水、ゲノム編集食品、残留農薬、食品添加物のリスクコミュニケーションに関する話題提供、全体討論が行われました。

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    プログラム

    ① 「トリチウム水問題を「サウンドバイト」で語る実験」
    小島正美氏(食生活ジャーナリストの会)

    テレビの報道で紹介される専門家のコメントは、取材が20-30分でも数十秒に簡潔に短縮されることが多い。コメントと一緒に流れるテロップはさらに短く20文字くらい。サウンドとは情報を知らせること、バイトとはひと齧りを意味する。情報を発信する側も、サウンドバイトに資するような情報発信をしなくてはならないのではないか。
    福島のトリチウム水をサウンドバイトで取り上げるならば、世界の原子力施設から海へのトリチウム水放流が行われていることやその量を伝えることが、情報発信では重要だろう。

    ② 「ゲノム編集食品をめぐるリスクコミュニケーションへの心理モデルの活用」
    佐々義子(くらしとバイオプラザ21)、田中豊氏(大阪学院大学)

    ゲノム編集食品に関する情報を提供した後のグループディスカッションやアンケートから、ゲノム編集を記述する情報を抽出し、それらがゲノム編集食品のリスク・ベネフィット認知、信頼などの項目を構成しているかを示した先行研究をもとに、アンケートを作成した。このアンケートを生協の職員や組合員を対象としたワークショップの前後に実施し、どのような情報提供を行うと、どのような因子に変化をもたらすことができるかを調べた。今後、このアンケートを使って、介入の効果の測定、被験者の意識把握を試みつつ、アンケートやワークショップの改善を図っていきたい。

    ③ 「残留農薬のスマート・リスクコミュニケーション」
    大瀧直子氏、山﨑 毅氏(食の安全と安心を科学する会)、山口治子(愛知大学)

    スマート・リスクコミュニケーションとは、アンケート調査によって消費者の残留農薬の何がどのように心配なのかという不安要因を問いかけたうえで、専門家のどのような説明を聴いたら安心できるか、消費者の不安に寄り添ったリスクコミュニケーションを行うこと。その結果を分析し、どのようなポイントが残留農薬への理解を進めるのに有効か、どのような項目の間に相関関係がみられるかを統計的に整理した。
    その結果、100人中83名のリスク認知バイアスを補正することができ、全体として理解が進むと安心につながる傾向を見出すことができた。

    ④ 「食品添加物に関するリスクコミュニケーションの社会実装例」
    山﨑 毅氏(食の安全と安心を科学する会 SFSS)

    2018年、食品添加物に対して健康リスクを不安視する30-40代の女性にたいしてネット調査でスマート・リスクコミュニケーションを行い、79%のリスク認知バイアスの補正を確認した。そこで半年のうちに1万件以上のリスコミコンテンツをツイッターによって発信し、シンポジウムも開催してきた。
    また食のリスクにかかわる誤情報への対応も重要で、ファクトチェック活動においてレベルを示してフェイクニュースであることを指摘・公表したり、わかりやすい説明動画を公開したりしている。
    また自治体のリスクコミュニケーター養成講座においても、講師派遣や仮想グルプワークなどで食のリスコミの幅広い活動を展開している。

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