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  • 「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会」開かれる

    2021年5月31日、第2回食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会がオンラインで開かれました。この検討会は2020年3月に公開された「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」の中で提案された、「無添加」「○○不使用」という表示は消費者をミスリードするという問題を解決すべく設置されたものです。第2回にあたる今回は、消費者の立場から4名、事業者の立場から4名が意見を述べる機会を与えられました。くらしとバイオプラザ21は消費者の立場から意見を述べさせていただきました。8名の意見の概要をご報告します。

    食のコミュニケーション円卓会議

    食品安全委員会をはじめとするあらゆる関係者の努力によって食品添加物をめぐるリスクコミュニケーションが行われているが、アンケート調査を見ると、なかなか不安は払しょくされないことがわかる。この背景には、無添加、不使用という表示を見ることで、食品添加物はよくないと思う人がネガティブなり、それが他の人にも影響を与えてループしてしまっている現実がある。このループを脱するためには、無添加、不使用表示を廃止することが必須であると思う。

    くらしとバイオプラザ21

    食品表示は消費者に対して、最も高頻度で行われる食品に関する情報提供であり、消費者教育の一翼を担うものと考えている。食品添加物だけでなく、遺伝子組換えや農薬についても、科学的根拠のもと安全性が確認されているのに、〇〇不使用という表示を度々みるたびに、○○を危ないものと認識している消費者は少なくないことはアンケート調査で明らかになっている。不使用表示は廃止し、消費者の食のリテラシーを醸成するような消費者教育の推進をお願いしたい。

    パルシステム生活協同組合連合会

    消費者の賢い選択が世の中を変えると考える。しかし、消費者からは食の現場が見えにくく、食品添加物の過去の事故の記憶、後から問題が発覚するケースへの不安を抱える消費者もいる。優良誤認を誘導しなようにするのであれば、丁寧にメリット・デメリットを説明していきたいと思う。パルシステムでは一律の無添加表示はしていない。むしろ、使っているか使っていないか、なぜ使うかを詳細に書いており、消費者からのフィードバックも得ている。

    東都生活協同組合

    無添加や不使用の表示は根拠、対象が不明瞭で安易な無添加や不使用表示をやめることに賛成。加工助剤やキャリーオーバーとなる添加物を使っている場合に「無添加」と書くことには制限が必要。公正競争規約で無添加を表示できることになっている商品があるので、ガイドラインを策定するにあたっては、バランスをとってほしいと思う。
    例えば、ハム・ソーセージの発色剤不使用表示は、チラシにおいても行わない。豆腐の消泡材不使用では、同類項の商品で使用実態に合っている製品のみを扱う。一方で食品添加物を使用している食品では、調味料(アミノ酸等)使用と表示している商品を扱う。今の表示のルールは中途半端なので、今回のガイドライン検討に期待している。

    日本香料工業会

    食品の香りは数百の多成分で構成されている。香料は、食物から作られ、本当の香りを再現するには使用量に限界があるなどの特徴がある。香料は、香りがないものに香りをつけたり、食品の香りを強めたり、好ましくない香りを矯正したりする目的で使われている。
    香料を使用する必要がない食品、他の添加物を使っている食品などに、香料不使用、香料無添加の表示が見受けられる。このような表示は、「香料は使わない方がいい」と誤認させるので、行うべきでない。パッケージ、新聞、WEBにおける、香料不使用などの表現はやめてほしい。誤った選択基準を刷り込み、食品添加物である香料への風評被害を産む可能性がある。
    そして、啓発活動が重要であることも強調したい。また、食品表示QA 加工-90の見直しをお願いしたい。

    全国清涼飲料連合会

    会員にアンケートを実施したところ、24社から回答があり、その約3分の2が不使用表示食品を出していた。具体的には、香料、着色料、保存料の順で、コーヒー、野菜・野菜ミックスなどだった。
    食品添加物不使用表示は消費者の添加物に対する誤認を招く恐れがあり、食品添加物の安全性を否定するような表現や不安を煽るような表現は避けるべきであるが、「余計なものは極力摂取したくない」という消費者ニーズに対し、安心して飲用してもらうための情報提供と、不使用表示を位置付けてとらえている。
    コーヒー飲料では長年の研究成果で香料を使わないで製品化できたので、これはアピールしたい。「●●ゼロ」「●●フリー」の表示も「不使用、無添加」と同義としてガイドラインに含めてほしい。消費者ニーズに応えるための企業姿勢、品質へのこだわり、企業努力は否定しないでほしい。

    味の素(株)

    美味しく食べて健康づくりを目指す創業者の意思を継ぎ、食品添加物としては、うま味調味料事業と甘味料事業を行っている。食品添加物の安全性に疑問を持たせてしまう無添加表示はしていない。
    お客様相談センターへの問合せ内容から、食品添加物に不安を感じている人がおられ、うま味調味料協会アンケートから「無添加」と表示された食品を買う人は約半数で、化学調味料の理解は曖昧であることなどがわかった。
    食品添加物の安全性に不安を感じ、無添加は安全で健康によいと思っている消費者は多い。添加物の安全性に疑念を抱き不安を感じさせるような不使用表示の禁止、人工、合成、化学の用語を使った不使用表示の禁止、化学調味料不使用表示の禁止をお願いしたい。

    全国味噌工業協同組合連合会

    昭和60年、味噌の無添加表現が問題になり、無添加表示を原則禁止と採択したが、一部に無添加表示をもめとめる声もあり、無添加表示の業界試案を作成するなどしてきた。現在、無添加と表示している味噌は全体の約1割。
    私たちの無添加の定義は、大豆、穀類、食塩、タネ麹菌、種麹菌、発酵菌のみで製造し、製造過程においても食品添加物を用いない味噌のみ無添加表示を認めている。これは販売量全体の10%にあたる。
    味噌の表示に関する公正競争規約では「無添加」の記載がある。みそ事業者は、この定義のもとで適正な無添加表示を遵守している。消費者には味噌の無添加表示への正しい知識を普及・啓発していく。

    このほかに、検討会委員を通じて、パン、ワイン、梅酒について、事業者から以下の意見が提出されました。

    • パン工業会:イーストフードと乳化剤不使用という表示を自粛する自主基準を策定した。
    • 日本ワイナリー協会:酸化防止剤を使わない技術を開発したので、書きたい 
    • 日本洋酒酒造組合:本格梅酒の自主基準に従って製造している商品への無添加不使用表示を認めてほしい。

    それぞれのヒヤリングの後に、検討会委員から、「『無添加』と書いてある方が食品添加物を避けたい消費者にとっては分かりやすいかもしれないが、科学的でない議論にならないようにしましょう」「食品添加物を使わなくてよい技術を開発したのなら、不使用の表示をするよりも、研究技術開発の成果を強調すればいいのではないか」などの質問や意見が述べられました。
    食品の表示は私たちにとても身近な情報源です。この検討会の議論に注目していきたいと思います。

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