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  • 第1回食と健康の未来フォーラム「食品添加物のこと、考えてみませんか~私たちはどうして無添加が気になるのだろう」

    2020年8月31日、標記オンラインフォーラムが味の素株式会社により行われました。2400名の参加が得られ、冒頭、味の素(株)取締役社長 西井孝明さんより「SNSなどでフェイクニュースが溢れ、不安について議論できる場の必要性を感じて開催に至った」と開会のことばがありました。
    フォーラムは第一部と第二部に分かれ、下村健一さん(元TBSキャスター、令和メディア研究所 主宰、インターネットメディア協会設立理事)がモデレーターを務めました。

    第一部

    登壇者はスザンヌさん(タレント、「食卓は楽しく、おいしく」をモットーにSNSで「スザ飯」を配信中)、二村睦子さん(日本生活協同組合) 、唐木英明さん(東大名誉教授)、西井孝明さん(味の素 代表取締役社長)。

    食品添加物へのイメージ

    初めに、スザンヌさんから「無添加には緩い方だが、ウィンナーソーセージが好きな小学一年生の息子について、食品添加物が入っているので毎日はよくないのではというママ友の意見が気になる。手作りだけおやつだけ与えるママも、市販のお菓子も使うママもいて、ママ友の中で温度差がある」と、子育て中のママたちの様子が伝えられました。
    二村さんからは「組合員からの問い合わせの中で添加物に関するものは減ってきているが5%くらいはある」とのことでした。
    唐木さんは「料理番組で「味の素」という固有名詞が使わないために化学調味料という呼び名が考案された当時、化学のイメージはポジティブだったが、サリドマイド薬害、化学物質による公害がきっかけでネガティブな印象になった。今は安全性審査が厳しく、安全性は高いがこのイメージは根強い」と化学物資への人々の意識について解説しました。

    人々の印象

    街の声を拾ったビデオが紹介されると、無添加を求める声が半数以上でした。
    2017年度 食品安全委員会のアンケート調査によると、無添加を買う人は5割、気にしない人は5割。確信をもって買う人が1割、確信をもって買わない人が1割、その間に8割の人がいたる。「合成、人工は安全でない」「自然でない」を、選ばない理由に挙げている人は少ないという内訳でした。
    パネリストらから「知識の中で不安を感じても購買行動には反映していない人が4割と考えられるのではないか」「無添加を選んでいる私に満足したい」人もいるかもしれない」「情報発信をするときには、危険情報に敏感な人の特性を見込んだ対応が必要」「安全であると100回繰り返すより不安の理由を聴きとるべきではないか」という意見が出ました。また、加工食品は添加物なしには作れないことが知られていないことがわかりました。
    第1部の最後に二村さんから「生協連では、無添加表示をしない」ことが自主基準で定められていることが紹介されました。

    第2部

    登壇者は、小木曽 健さん 情報リテラシー専門家、中村 育子さん 管理栄養士・在宅訪問管理栄養士、斉藤 俊二さん(株)セブン-イレブン・ジャパン QC・物流管理本部に、唐木さん、西井さんが加わりました。
    第一部の話し合いからは、食品添加物の機能が伝わっておらず、「無添加と回答した方が無難」というような曖昧な認識が根強く広がっている状況が示唆されました。安全情報を拒否する背景として、SNSには多様な情報が氾濫しており、正確な情報を見分けるのは難しい状況があげられました。

    食品添加物不使用について

    中村さんはそのような中で「国の審査は信頼性、妥当性があることを伝え、減塩食を調味料で補い、糖尿の人は人工甘味料で満足感を増すことができ、コロナで買い物にでられないとき保存料なしで食中毒になる」と訪問看護では説明しているそうです。
    斉藤さんは「コンビニ弁当は食品添加物漬けとメディアに強くたたかれ、保存料、着色料不使用を掲げてきたが、実際には不使用表を示していない添加物は使っている。おにぎりやサンドイッチでは最低限の添加物の使用に努めている。保存料を使わないために、工場の衛生管理をより厳しくしたり、いい原料を選び、製造工程を改善したりしてきた。具体的には常温で販売していた牛丼を冷蔵で売り、冷蔵下でご飯がまずくならないように酵素を使っている。適正に添加物を使いながら、代替法も考えている」と現場の工夫について紹介しました。西井さんは斉藤さんの考え方に同意し、食品添加物は適正に使うことが大事だと発言。 
    家庭でつくるときは無添加でできるが、届ける方法やプロセスで添加物の使い方が変わるもの。「無添加」とだけ表示するのは優良誤認ではないかという意見もでました。

    下村さんはこのような話し合いをもとに、反添加物の考え方とその対応について以下のように分類しました。

    • 不安を煽って利益につなげるタイプ→眼力をもって見極める
    • 根拠をもって反対する科学タイプ→データの突き合せが必要
    • 思想・主義タイプ→考えを尊重して共存を図る

    結び

    第一部と二部の登壇者の結びの言葉が述べました。

    • 健康、食事、育児に関するフェイクnewsが多い。誰がどんな目的で、誰が得するニュースなのかを見極めることが大事。
    • 食品添加物のなぜ、どのように認可されいるかの説明が必要。
    • 食添は危険だと強く思っている人の声が大きい中で、攻めの広報も有効ではないか。
    • コンビニでは、使うものは使い、減らせるものは減らし、いい材料を衛生的な環境で使っていきたい。
    • 病院、介護施設では無添加を支持する考えが受け継がれている。昆布から出しをとらなくてはならないが、予算は少ない。おいしくない給食で残食が多くなり、低栄養状態を栄養剤で補完することもある。どのように、うま味調味料を使っておいしくし、減塩でき、予算内で賄えるようになるかを伝える。
    • 添加物は一生食べて大丈夫な物しか認められていない。実験動物に多量に与えた実験結果に固執しているのだと思う。文部省の衛生管理基準「危険な食品添加物を使わない」という文言も変えなければならないだろう。
    • 「情報リテラシー」とは、自分が幸せになるために情報を選ぶことです。
    • ドイツの人は毎日ソーセージを食べており、毎日食べて大丈夫なことがわかり、よかったです。
    • 「ソ・・・即断しない、ウ・・・うのみにしない、カ…隠れているものはないか、ナ…中だけ見ない」に注意する。
    • 「豊かな食生活、豊かな情報交換、本当に意見は往復しているか」に心掛けていきたい。
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