くらしとバイオプラザ21ロゴ
  • くらしとバイオニュース
  • 食品添加物表示制度に関する検討終了~パブコメ募集中

    2020年3月31日、消費者庁は「食品添加物表示制度に関する検討会(以下 検討会)」報告書を公開しました。現在は、「食品表示基準等の一部改正案に関する意見募集」(募集期間 2020年4月17日から5月16日まで)が行われています。報告書の概要と募集中のパブリックコメントについてご紹介します。

    食品添加物表示制度に関する検討会報告書


    食品表示基準等の一部改正案に関する意見募集

    1.報告書の概要

    経緯

    2013年、新しい食品表示法ができてから、栄養成分表示、原料原産地表示、遺伝子組換え食品などの検討が行われてきました。2019年4月から2020年2月には、9回の食品添加物表示制度に関する検討会が開かれ検討が行われ、このたび報告書が公開されました。

    基本的考え方

    食品添加物の表示は、消費者の自主的、合理的な食品選択のために行われるもので、表示制度は事業者にとって実行しやすく、消費者にとっては商品選択に役立つものでなくてはなりません。現在、表示が義務付けられていない事項については優先順位をつけて検討し、食品添加物の目的・安全性に対する消費者の理解を進めるための啓発・普及活動も同時に進めます。

    食品添加物表示制度をめぐる情勢

    • 食品添加物の表示に関する国際的な状況
      日本の表示制度とコーデックス規格では、表示方法などに違いがあり、日本の食品添加物の目的は8つだが、コーデックス規格では25の用途があります。日本だけにあるもの、コーデックスだけにあるものがあります。
    • 消費者の意識
      「添加物不使用」「無添加」に関するアンケート結果から、消費者の5割がこのような表示を参考として食品を選択し、そのうちの7割がより安全で健康によいことを商品選択の理由としていたことがわかりました。
    • WEBの活用
      消費者委員会食品表示部会で作成した「食品表示の全体像に関する報告書」には、表示事項の優先順位を検討すること、WEBによる食品表示と容器包装上の表示を組み合わせた利用について検討することが述べられています。

    食品添加物表示制度の方向性

    一括名・簡略名・用途表示の在り方について、いろいろな団体へのヒヤリングから、用途名表示については誤認の可能性がある、物質名表示を求める、コーデックスとの違いがあるなど、様々な意見がでました。しかし、検討の末、現行の表示のやり方を続けることになりました。

    「無添加」「不使用」表示ついて

    • 「糖類を添加していない」「ナトリウム塩を添加していない」において誤認させる文字、絵、写真などに対して、表示禁止事項を規定。糖類やナトリウム塩の無添加を表示できるのは、いかなる糖類もいかなるナトリウム塩も添加されておらず、代わる原材料を添加していないときのみ。
    • 食品添加物は天然と化学合成品に差を設けず、原則として全て表示することになっている(次長通知)が、食品添加物については「天然」またはこれに類する表現の使用を認められていません。
    • 「食品添加物無添加」という表示は、どんな食品添加物もいっさい加えていないかが不明確な場合、そもそも食品添加物が不要な場合には行ってはいけません。

    整理の方向性

    食品表示基準第9条で誤認させるような文字などを禁止していますが、禁止している内容が曖昧であることから、「無添加」表示に対して方策を講じることが委員の総意となりました。消費者を誤認させる表示や表示と内容物の矛盾を禁止するようなガイドラインを作成し、消費者の添加物に対する意識を向上させることも重要であると述べられています。
    「人工」「合成」と表示された食品を避ける消費者の存在もわかり、消費者の誤認防止の観点から「人工」「合成」を削除することが委員の総意と書かれています。
    栄養強化目的で使用される食品添加物には表示義務のあるものとないものがあり、わかりにくいという問題が指摘されました。
    また、消費者意向調査(2019年実施)より、食品添加物の表示に対する消費者の理解が進んでいないことが明らかになりました。食品添加物は食品衛生法で認められて安全性が確保されて利用されているので、普及・啓発には各関係者がそれぞれの強みを活かし、対象に応じたアプローチを行い、食品表示への理解を深めることが求められています。
    同時に、小規模食品関連事業者への影響についても配慮する必要があります。

    まとめ

    食品添加物は目的があり、安全性が確認され、適正に用いられ、私たちの食生活を安全に豊かにしていますが、誤認している消費者も少なくありません。報告書では、普及・啓発がとても重要であると結ばれています。

    2.パブリックコメントの募集

    消費者庁の「食品表示基準等の一部改正案に関する意見募集」において、意見が求められているのは、次の3点です。

    • 「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」を踏まえ、消費者の誤認防止の観点から、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)にある「合成保存料」、「人工甘味料」等に用いられる「人工」及び「合成」の文言を削除する必要があること。
    • 食品衛生法の変更に伴う、有毒部位の除去という処理により人の健康を損なうおそれがないと認められるふぐの種類の変更、塩を使ったふぐ加工品の表示事項について誤認を生じないようにする改正。
    • 有機畜産物の定義を、有機畜産物の日本農林規格(平成17年10月27日農林水産省告示第1608号)にあわせること。

    食品添加物に関しては、人工甘味料、合成着色料などにおける「人工」「天然」は削除されることに対する意見が求められています。本稿では食品添加物についてのみ取り上げましたが、食品添加物だけでなく、それ以外の項目について、意見を送りましょう。

    © 2002 Life & Bio plaza 21