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  • JASTJ4月月例会「新型コロナウイルスの感染拡大はいつまで続くのか」

    2020年4月8日、オンラインで日本科学技術ジャーナリスト会議4月月例会「新型コロナウイルスの感染拡大はいつまで続くのか」が開かれました。講師の 武藤香織教授(東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター)は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に委員として参加されており、本月例会では専門家会議のこと、日本国内でのアンケート調査結果、私たちのくらしのレベルでの対応について、真摯にお話しくださいました。

    はじめに

    武藤さんは2007年、東京大学医科学研究所に「未来のサイエンスと今日、明日を必死に生きる人をつなぐ研究をする」ことを掲げ、これまで同研究所で、医療を中心とした社会学、家族の社会学の研究の他に、研究者と患者さんがともに考える、啓発ツールを作る、市民への発信などの活動を行っている。今年の2月3日、突然、厚労省から、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に委員として招聘され、超多忙な日々の中、感染拡大対策の中で安全の脅かされる人がいないかと目を光らせながら、超多忙な毎日を過ごしている。

    新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

    専門家会議は助言組織で、未知の疾患に向い合いながら、本当にいろいろな問題が発生する中で、運営されている。同会議では議論を重ねるうちに、全員一致で「国民に直接、発信しよう」となり、「今が瀬戸際であるので、重症者や死亡者を出さない努力、ひとりひとりの行動変容が重要!」という見解をだした。それが2月24日。
    3月1日の2回目の見解では、クラスター対策、北海道の状況、若者に向けた注意喚起が伝えられた。後から考えると、このような世代分断につながりやすい表現はよくなかったのかもしれないと武藤さんは客観的にふり返った。このように、初めての問題が次々に起る中で、対策が出され、その結果が出て、議論が進められていく。専門家会議は定期的に新型コロナウイルス感染症対策本部と調整しながら見解をだしている。
    3月19日の報告書は内容が多岐にわたり、取り上げたメディアによって厳格にも、緩和方向にも受け取れたように思う。発表の後の三連休には大イベントもいくつか行われ、専門家会議メンバーは2週間後の結果を思って辛い思いで過ごしていた。
    一方、武藤さんは外出自粛のために居場所を失う人へのケアも政府に訴え続けており、医療以外の配慮の必要性はだんだん理解されてきているのではないかという。

    新型コロナウイルス感染症はどのように受け止められているか

    同時に、コロナをめぐるELSI(倫理的、法的、社会的な課題)の研究、解決、実践をすぐに行える環境整備の必要性も政府に訴えているが、なかなか通じない。社会科学の研究者として、行動変容につながるような啓発の在り方を探る研究が必要だと考えるが、そのための競争的資金はなく、たとえあっても申請、審査をしていては間に合わない。武藤さんは研究室の運営交付金を使って、3月26-28日にWEBアンケートをマクロミル社のパネルを利用して実施し11,000サンプルを得、logit解析を行い5人の共著で投稿した。
    アンケートの結果をみると、何らかの対策をしている人は75%に上った。対策をしていない人が多いのは、20代男性、飲酒する男性、喫煙する女性、外交的な性格などの「人物像」が浮かび上がった。北海道では知事の呼びかけで対策を開始した人が5割おり、東京に比べると準備が1か月早くできていたことになる。また、各人の行動変容に有効なのは、知事などの身近な人の呼びかけであることもわかった。

    今してほしいこと

    武藤さんは、最後に次のように呼びかけた。
    「もし、新型コロナウイルス感染症にかかったかもしれないと思ったとき、(1)これまで14日間の行動履歴をいえるようにしておく、(2)悪化したらどのように行動するかを考えておく、(3)医療機関に行く手段を考えておくことをお願いしたい。
    未知のことが多く、新型コロナウイルス感染症対策本部、専門家委員会、厚労省や地域の行政は、とても苦労しながら、状況把握、対策、対応にすべて走りながらあたっている。医療現場が崩壊しないようにしなければならない。その中で医療従事者や家族への差別や偏見は決してあってはあらない。自分の苦情の長電話が業務を妨げるかもしれないというように、広い視点から考えて行動していただきたい」

    迅速な情報発信

    武藤さんもメンバーであるコロナ専門家有志の会では、「全世代のみなさまに、いま、拡散してほしいこと」というサイトを、UUUM(ウーム)株式会社やnoteの協力を得て、数日でつくりあげた。ハッシュタグで動く人たちに伝えたい。「うちで過ごそう」「戦う相手は人でなくウイルス」など簡潔でわかりやすいメッセージを、頻繁に出している。

    https://note.stopcovid19.jp/

    https://twitter.com/senmonka21

    これからは、「行動範囲の広い20-50代」、「狭い地域で濃厚接触しやすい60代」、「夜の街」へのアプローチを考えていくという武藤さんに、多くの視聴者から激励のメッセージが寄せられて月例会は終了した。

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