「映画監督と一緒に動画でサイエンス・コミュニケーションに挑戦!」開かれる
学生動画コンテスト発表・審査会「映画監督と一緒に動画でサイエンス・コミュニケーションに挑戦!」が2019年1月17日、ベルサール八重洲で開かれました(主催 日本モンサント)。審査会にお邪魔したので、報告します。
3チームの学生と審査員の集合写真
エントリーした3チームの大学生(院生)はみんな理系ですが、2018年7月からバイオテクノロジーの基礎を学んだうえで、映画監督 太田龍馬氏の指導を受け、植物バイオテクノロジー(遺伝子組換え技術・作物)をテーマとした作品をつくりました。ストーリーや演出といった企画から撮影、編集まで全て学生が行いました。そして、学生の気持ちを尊重する太田氏によって、3チームは個性豊かな伸びやかな作品を披露しました。
エントリーNo.1:神奈川工科大学 工学部 「TRANSFORMER」
遺伝子組換え飼料を与えられた牛からとった牛乳とそうでない飼料を与えられた牛からとった牛乳を手にして遺伝子組み換え技術・作物に疑問を持つ学生の前に「オシエルンジャー」が登場しました。
製作者のことば:興味のない人、否定的な人に知ってもらうために正義のヒーローを使って楽しく、とっつきやすいアプローチにした。動画を作ることで、伝えるということや反対する人の立場を考えることができた。
「TRANSFORMER」より
牛乳パックをみて語り合う学生たち
「TRANSFORMER」より
オシエルンジャー登場
エントリーNo.2:横浜国立大学 環境情報学府 「YNU Nazunaers」
野菜(遺伝子組換えと遺伝子組換えでない)に扮した学生たちが、ふとしたことから自分たちの中には遺伝子組換え作物と遺伝子組換えでない作物がいることを知り、戸惑いを覚えながら、話し合い、互いを知ろうとする姿が描かれています。
制作者のことば:「『良い』の押し付けにならないように工夫した。遺伝子組換え作物だけでなく、今社会にある様々な偏見にも目を向けてほしいという思いもあり、当事者の気持ちを語る意味で擬人化した。動画を作るという経験は初めてだったが、周囲に助けられチームみんなでがんばれた。長編作品も作ってみたい。
「YNU Nazunaers」より
野菜の学校の学生
「YNU Nazunaers」より
自分のことを一生懸命に語る遺伝子組換え大豆
エントリーNo.3:東京農工大学・早稲田大学のジョイントチーム 「CRISPR」
稲の研究をする女性科学者とベトナムの少女の姿をしたイネが、コミュニケーションをしながら品種改良され、新しい品種として巣立っていくプロセスが優しいアニメーションと実写で描かれています。
制作者のことば:遺伝子組換えは自然の力と人間の力が融合したもの。今の世界の多くは人工的なものと自然とがコミュニケーションして改善しながら成り立っている、という考え方をどのように作品に落としこむかを一番悩んだ。最後まで諦めずに工夫して仕上げたという努力が結果につながり、とても嬉しい。ありがとうございます。
「CRISPR」より
稲の研究をする研究者の姿
「CRISPR」より
研究者の熱い思いが伝わるアニメーション
審査員と会場参加者の投票の結果、「品種改良は植物とのコミュニケーション」というコンセプトで作品を創った「CRISPR」が最優秀作品「GRAND VINE AWARD」を受賞しました。しかし、どの作品も新鮮な視点から、真摯にバイオテクノロジーを見つめたもので、会場からはバイオテクノロジーを学ぶ学生・院生たちに惜しみない拍手が送られました。
写真提供:日本モンサント(株)
2018年度作品一覧
最優秀作品「GRAND VINE AWARD」:
東京農工大学・早稲田大学のジョイントチーム「CRISPR」
優秀作品「PREMIER VINE AWARD」:
神奈川工科大学 工学部 「TRANSFORMER」
優秀作品「PREMIER VINE AWARD」:
横浜国立大学 環境情報学府 「YNU Nazunaers」
(参考)
2017年度第1回学生動画コンテスト作品一覧
最優秀作品「GRAND VINE AWARD」:千葉大学「サウザンド・リーブズ (Thousand Leaves)」
優秀作品「PREMIER VINE AWARD」:筑波大学「バイオeカフェ」
優秀作品「PREMIER VINE AWARD」:筑波大学「育種研」