バイオカフェ「健康の入り口はお口から~歯周病予防について」
2016年11月11日 茅場町サン茶房でバイオカフェを開きました。お話は、第一三共ヘルスケア株式会社 マーケティング部H&Bグループ ブランドマネージャー(オーラル領域)西原良介さんによる「健康の入り口はお口から~歯周病予防について」でした。初めに、水野美香さんのクラリネット、内山知子さんのヴァイオリンによる「秋にちなんだ日本の景色」をイメージする曲などの演奏がありました。
水野さんのクラリネット、内山さんのヴァイオリン
西原良介さん(中央)
お話の主な内容
1.日本人の口腔環境
歯磨きの市場は拡大中。その3つの理由は次のとおり。
・歯磨き回数が増えた 50年前は1日1回、20年前は朝晩2回、今は食後3回。
・高価な歯磨きを購入する傾向がある。
・家族共用からマイ歯磨きへの移行。
歯は乳歯20本から永久歯32本(親知らずの出ない人もいるので全員が32本そろうわけではあい。
「8020運動」 80歳の時に自分の歯を20本は残そう!という運動。60歳までは20本そろっている人が多いが、その後、急に減る。80歳のアメリカ人と日本人を比べるとアメリカ人の方が歯の残存数は多い。歯が残っている状況とその人の自立をみると、歯がいい人は年をとってもアクティブに活動できることがわかっている。歯を残すことがいかに大事か!
歯抜けの原因は歯周病42%、虫歯32%で、これらが二大要因
2.虫歯の基礎知識
虫歯は齲歯(うし)といって、歯がとける現象。進行度をC1~C4で表す。
C1:表面が汚染。ここでケアすれば治療は不要。自覚症状はないことが多い。
C2:しみるなどの自覚がある。治療は必要。
C3:かなり痛む。治療して歯は残せる。
C4:根だけとなり、抜くことになる。
歯には脱灰と再石灰化がある。脱灰とは、酸性の食べ物などで、歯がとけて無防備になる状態。唾液が再石灰化をしてバランスを保っている。食後30分で再石灰化が進むので、食後30分ほどしたときに歯みがきをすることをお勧めする。歯のためには、再石灰化の状態を長く保つのがいい。唾液が少ない人、間食したり寝る直前に食べたりする人は脱灰が進みやすかったり、再石灰化が促進されにくい。逆にこれらに気をつけると虫歯になりにくい。
フッ素によるコーティングで脱灰しにくくする。フッ素で色づくというが、歯磨きに含まれる程度のフッ素は低濃度で問題はない。
まとめ
・間食・夜食を減らす
・食後30分経過後に歯磨き
・甘い飲み物は減らす。のどが渇いたときは緑茶の殺菌効果を活用
・口寂しいときはキシリトールガム(ガムは唾液が出やすくなる)
・定期的に歯医者にいく
3.歯周病について
30代での7-8割に歯周のポケットができ始める。30代から意識を持つことが大事。
歯周病とは歯垢(磨き残し)に細菌がつき、歯肉(歯ぐき)がはれて弱くなり歯がぬけていく。歯と歯肉のすき間深くに歯垢がたまると、歯ブラシも届かなくなる。一番菌が繁殖しているのは朝。主な菌はジンジバリス菌で、口臭の原因になり、全身疾患との関連性も高いと言われている。
〇歯周ポケットの深さ
1-2mm:正常
4㎜:歯周病の始まり
5㎜以上:治療が必要
3mm以内の歯周ポケットは毎日の歯磨きで改善できる。
〇歯周病の程度
1期:歯肉炎。歯垢・歯石除去で改善できる。
2期:歯肉が赤くなり、歯周ポケットで菌が繁殖。まだ手遅れではない。
3期:歯周ポケット5mm以上。歯肉がぶよぶよになる。口臭がきつい。歯がぐらぐらする。場合によっては手術が必要になる。
末期:抜歯しかない。
手術では、歯肉を切除して歯根をきれいにして縫合する。その後、ケアを続ける。
歯周病チェック(歯肉から血が出る、歯科医に定期的に通う、煙草をすうなど10項目)でひとつでも該当項目があれば黄色信号。4個以上はリスク高。
歯周病は全身疾患と関係性が高いので、本当に気を付けていただきたい。たとえば、糖尿病患者さんは歯周病になりやすく、歯周病だと糖尿病の患者さんは血糖値のコントロールが難しい。心疾患の要因になることもある。低体重児出産、早産にも関係するといわれ、妊産婦さんには、まずは歯周病ケアをお願いしたい。妊産婦さんへの啓発活動も盛んになっている。
歯周病は女性の方が多いと言われている。それは、思春期、出産時、更年期と3度の歯周病のリスクが高まる時期があるから。
まとめ
・睡眠をとり、免疫力を高めておくこと。
・食後30分で歯磨きをする。繊維質の食事は歯を汚れにくくする。
・血行を悪くするので、たばこはだめ。
・歯科検診を受ける。
4.薬剤入り歯磨きのすすめ
弊社ではクリーンデンタルという歯磨きを販売している。
1985年、藤沢薬品が開発発売。比較的歴史の長い歯磨き剤である。テレビコマーシャルを3年前から開始したばかりあおんで、まだまだ認知率は低いと思う。
赤色(トータルケア。今日のおみやげはこれです)、黄色(口臭予防)、緑色(知覚過敏の方向け。歯肉が後退するとしみるので、知覚過敏は歯周病の始まりともいえる)の3種類の製品がある。
クリーンデンタルを使えば、歯周病が治る!とはいえないが、いい歯磨きで歯医者さんのクリーニング戸に使っていただくことでよい状態が保てると私は思っています。それは10種類(緑の歯磨きは11種類)の薬用成分が含まれているから。例えば三種類の殺菌剤が入っている。IPMPはバイオフィルム(菌がつくる膜。この中で空気の嫌いな菌が潜んでいる)を壊す。CPCは口内浮遊菌を殺す。LSSは虫歯の原因菌を殺す。その結果、目覚めたときに口が粘つかず、さっぱりした気分になるはず。
ゼオライトという成分は直接、臭いを吸着する。塩味が強いが、3日使うとあれっ!となって、10日使うとやめられなくなります。きっちり殺菌できると口臭予防効果もある。
知覚過敏の方は緑のクリーンデンタルがお奨めですが、歯周病が関連している可能性があるので、きちんと歯科検診を受けてくださいね。
患者さんのアンケートで7~8割が使用感、効果感を感じている。
まとめ
・4人に3人は歯周病
・歯周病は全身疾患と関係する病気
・薬用成分のある歯磨きの利用を勧めます
会場風景
その後、歯磨きの方法、歯ブラシの選び方から、歯槽膿漏と歯周病の違いまで、参加者ほぼ全員から発言がありました。知っていると思っていたのに、実は知らなかったことが多く、みなさん、今夜からきちんと歯を磨こう!と納得して帰っていかれました。