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スギ花粉症緩和米の田植え・市民参加型展示ほ場の播種が行われました |
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2008年6月10日(火)、(独)農業生物資源研究所において、花粉症緩和米の田植えが行われました。今年は、スギ花粉ペプチドを生産する遺伝子を導入した日本晴と組み換えてない日本晴の2種類のイネが2アールずつ、手で植えられました。第一種使用というのは野外で行われる栽培実験のことで、今回の栽培は、農林水産大臣と環境大臣から、隔離ほ場で栽培する認可を得、さらに以下の指針に従って栽培試験が行われます。
第一種使用規程承認組換え作物栽培実験指針(pdf)
翌日の11日(水)には市民参加型展示ほ場での種まきが行われ、害虫抵抗性と除草剤耐性をあわせ持つトウモロコシや除草剤耐性ダイズの栽培が始まりました。これらの栽培については5月17日(土)に説明会が行われています。
スギ花粉ペプチド含有イネ栽培実験計画書(pdf)
除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシの展示栽培計画書(pdf)
市民参加型展示ほ場では、家畜飼料や食用油やコーンスターチの原料として日本でも広く利用されている、遺伝子組換え技術を応用したトウモロコシやダイズについて、作物の実物を見てもらい雑草防除、害虫抵抗性の効果を確かめてもらうという目的で作られました。7月19日(土)には、一般市民と研究者が一緒に除草を行い、DNA抽出などの実験などを行うイベントが計画されています。
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栽培実験の説明をする田部井室長 |
田植えの見学に集まった人たち |
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向かって右が遺伝子を組み換えた日本晴の苗
(白いラベル) |
田植えが始まりました |
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1.スギ花粉症緩和米について |
スギ花粉症緩和米の正式な名前はスギ花粉ペプチド含有イネ(7Crp-#242-95-7)です。これは、スギ花粉に含まれるタンパク質の中で、日本人のスギ花粉症の主な原因になっている7種類の短いアミノ酸配列の断片(ペプチド)をつなげて、米の中で合成されるように、遺伝子を組み換えられたイネです。
アレルギーの原因となるたんぱく質が全体として含まれていないことから、副作用も少なく、症状を緩和できるものと期待されています。現在、厚生労働省の認可を得るために動物による安全性試験を行っています。
昨年も本系統の栽培試験を行いましたが、栽培認可が遅れて7月下旬から栽培せざるを得なくなりましたが、今年は、6月に田植えを行うことで、平均的なイネの栽培に生育させて、栽培中の形状、環境への影響などを評価することが実験栽培の目的です。
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畦道では、苗を小分けにする作業 |
水田の中では苗をリレーする |
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2.市民参加型展示ほ場について |
6月11日は同ほ場に、トウモロコシとダイズの種まきが行われました。今年栽培されるのは、害虫抵抗性と除草剤耐性を併せ持つ「スタック系統」といわれるスイートコーンの品種と除草剤耐性を持つダイズです。スイートコーンは人が食べておいしい品種で、害虫抵抗性・除草剤耐性を持つもの(遺伝子組換え作物)と持たないものが植えられました。耐性を持たない品種には、去年に比べてより大きな被害が出ることが予想されています。
7月19日のイベントでは、研究者と一緒に除草したり、雑草について調べたり、DNA抽出実験が計画されています。「夏休みの宿題にも最適ですし、ジーンバンクの見学、DNA抽出実験などの準備もしているので、参加をお待ちしています」(推進室 石川達夫氏談)とのこと。
申込はこちらのサイトより
くらしとバイオプラザ21は昨年もこのイベントに参加し、いろいろな方たちと作業したり話し合うなど充実した体験をいたしました。topics278
2007年度の終わりには、全参加者に対して、除草した雑草の重さと、担当した区域から収穫されたダイズの重さを基に、この値が米国や日本の農家の平均収量とどのくらい違うのかが計算されて報告されました。
当HP担当者の雑草の重さは2日間で13Kg、収量は10aに換算すると75Kgで、ともに今回の参加者の平均を下回りました。最も多く除草した参加者は27Kg(農業試験場の職員)、10aに換算して最も多く収穫したと推定されたのは190Kg(大学生)でした。しかし、日本の農家の平均177.2Kg、米国は343.4Kgです。23名の参加者の中で日本の農家の平均収量を少しでも上回ることができた人はたった2名で、食料や飼料に利用するダイズの収量を上げるのを、雑草がいかに妨げているかが実感されました。
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