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遺伝子組換え作物展示ほ場の市民参加イベントに参加しました

7月14日(土)、8月4日(土)、農林水産省のプロジェクトの一環として、農業生物資源研究所の展示ほ場(つくば市)にて市民参加型のイベントが行われました。20数名の親子、教師、研究者、学生、ジャーナリスト、生産者らが参加し、除草体験をしたり、実験をしたり、研究者を囲んだ意見交換などを行いました。主催者を含めて参加者は2日間の作業で、すっかり仲良くなり、充実した学びの体験を持つことができました。

http://www.nias.affrc.go.jp/press/20070611/

第1日目(7月14日)

遺伝子組換え作物はどんな性質を持つのか、世界ではどのくらい作られているのか、日本へ遺伝子組換え農作物がどのくらい輸入されているのかなど、遺伝子組換え農作物全般のお話を田部井先生にうかがってから、除草作業に入りました。

除草作業
台風の余波をうけ、雨の中で約40分の除草作業を行いました。参加者には、雨合羽、長靴、軍手、鎌が用意され、ひとり5平米(1メートル×5メートル)の畑(非組換えダイズが2例に植えられている)の除草を担当しました。自分が担当した場所には名札が立てられ、取り除いた雑草の重さも測定されました。重さは多い人で22Kg、少ない人で6Kg。主な雑草はメシバ、スベリヒユ、シロバ、ザクロソウ、カタバミなどで、その草丈はダイズより低いものでした。雑草は根こそぎ取り除くのがいいのですが、ダイズの根を痛めてはいけないので、鎌を使ったり、細かく抜いたり、注意して行いました。
家庭菜園などで経験をつんでいるベテランは、鎌を土に入れて根を切って除草したので、作業も早く、真っ黒い土と緑のダイズのコントラストの鮮やかな畑になりました。筆者をはじめ除草作業に慣れない人たちは、ドロだらけになって頑張ったのに、雑草の破片が散らばりどこを除草したのかわからないような状態になってしまいました。


1回目の除草前 雨の中の除草作業(affrc提供)
とった雑草を集める(affrc提供) よく除草された畑とそうでない畑(向かって左)(affrc提供)
看板 ブロッコリーからのDNA抽出方法の説明

DNA抽出実験と話し合い
昼食後、ブロッコリーからDNAを抽出する実験の仕方を習い、希望者は体験し夏休みの理科の宿題にした人もおりました。最後に除草は大変だったか、遺伝子組換え食品に対してどう思っているかなどを話し合いました。


第2日目(8月4日)

この夏一番の暑さの中、30分間、除草作業を行いました。前回、上手に根から雑草を取り除いた畑には余り雑草がありませんでした。筆者は前回、健闘したつもりでしたが、ダイズと大体同じ高さの雑草が生えてしまっており苦労しました。筆者のとった雑草の重さは第1日目が9.2Kg、2日目が3.2Kg で、平均より少なめでした。2日間の1区画(5平米)の除草作業時間は70分となります。
一方、遺伝子組換えダイズは草を抜く必要がなく、除草剤を散布するだけでOKです。除草剤のタンクを背負った技術者が組換えダイズ栽培区(8m×12m)に除草剤を散布した時間は約3 0分でした。

暑い暑い草取り1(affrc提供) 暑い暑い草取り2(affrc提供)
雑草を集めて袋につめる(affrc提供) 雑草の重さを量る
遺伝子組換え大豆に除草剤を散布する

無除草区と除草区のダイズの発育と雑草
除草作業の後、環境研究所の松尾先生から、畑から抜いてきた雑草を使って、雑草やダイズの発育についてのお話がありました。
雑草は畑でダイズと太陽の光(日照)と栄養を奪い合って育ちます。草丈の短い草はダイズと栄養をとりあい、草丈の高い草はダイズと日照を取り合うことになります。畑から持ち帰った雑草を草丈の短い順に並べると、ナズナ、カタバミ、ザクロソウ、スカシダゴボウ、スベリヒユ、カヤツリグサの仲間、メヒシバ、「ダイズ」、ハルタデ、シロザ、イヌビエの仲間となりました。草丈の短い草でも早く種をつけてしまえば、日照をダイズに遮られる前に子孫を残すことができます。草丈の高い草は背が伸びてから花がさいて種ができるまでに日数がかかりますが、日照をダイズにとられることがないので、それから子孫を残しても間に合います。
無除草区のダイズと除草区のダイズを比較したところ、茎の直径は7ミリと9ミリで、無除草区では節間が長くなり、ひょろひょろしたダイズになっていました。


雑草とダイズを草丈の順に並べて観察しました 松尾先生、大島先生がノギスでダイズの
茎の太さを測りました
参加者からカヤツリグサを使った「カヤ作り」
の遊び方が披露されました
温室のグアバ、ミカン、バナナを使って
DNA抽出も行いました


DNA抽出実験と話し合い
  • は参加者、→はスピーカーの発言
    • 温室の熟しきっていない(熟しきっていない方が細胞の数が多いので)グアバ、ミカン、バナナを使ってDNAの抽出を行いました。 その後、山口先生(国際基督教大学)を囲んで、このイベントやコミュニケーションについての話し合いをしました。主な発言は次の通りです。
      • 私は除草剤が嫌いなので、散布のときにハンカチで鼻を覆ったが、ほとんどの参加者が平気だったので驚いた。農薬などに抵抗のある人は余り来ていなかったのだろうか。
      • ボランティアの食生活改善推進委員(健康増進のための献立つくりと実践)として行う親子クッキングのとき、遺伝子組換えが気になっていたので参加した。食の安全の情報を主婦や子育て中のお母さん達に伝えたいし、途中段階の情報でも伝えてほしい。
      • 家庭科や社会科の先生は情報がない中で教えなくてはならない状況。正しい情報を教科書に反映させるのが大事だと思う。マスメディアへの働きかけだけでは不十分ではないか(教師)
      • 青い花を科学館で見て興味を持って参加した。資料集に遺伝子組換え技術の情報はあるが、教科書にはなくテストに出ないのでみんな知らないし、曖昧なことしか書いていない。先生をはじめ遺伝子組換え技術にアレルギーを持っている人が多い(高校生)
      • 除草剤の研究をしている。遺伝子組換え技術にメディアの与える影響が大きい。(大学院生)
      • 遺伝子組換えと品種改良は何が違うのか、組換え不使用がいいのかもわからない。参加して、農家の方は1年中、生き物を育ててくださりありがたいと思った(主婦)
      • 遺伝子組換え食品に関して一般消費者とのコミュニケーションの研究をしているが、現場を知らないので参加した。雑草の種類が多いこと、作業が暑いこと、農薬散布の様子がわかった。(教員)
      • 中一の息子が組換え不使用という表示を見て、「組換えは体に悪いんだよね」といったことがきっかけになり親子で参加。自分で調べないと正しい情報には行き着かない。
      • 体験しておくことは教師の責任だと思って参加した。(教師)
      • 小学校で子供たちとダイズの勉強をしている。日照、害虫で子供たちが栽培で苦労したときに今日の体験を活かしたい。(教師)



      ジーンバンク見学
      新野室長のご案内により希望者はジーンバンクを見学しました。
      ジーンバンクには195,000種類の植物が保管されています。種で保管されているもの、細胞で冷凍されているもの、果樹は木として栽培されているものなど、種類によって保存の仕方も異なります。ジーンバンクの中では132,000種類の種が-1度で保管されていて、教育・研究目的の場合、無料で譲渡していただけるようになっています。


      ロボットがバーコード管理された種の
      瓶を選び出してきます
      種は瓶に入って保管され、10年ごと
      発芽試験をして品質管理をしている

      〜掲載した写真の一部を農業生物資源研究所(affrc)よりご提供頂きました〜



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