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茅場町バイオカフェレポート 「おいしいお茶にはサイエンスが詰まっている」 |
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2007年3月2日(金)、茅場町サン茶房でバイオカフェを開きました。お話は日本茶インストラクター渡辺裕子さんによる「おいしいお茶にはサイエンスが詰まっている」でした。始まりは北政扶美子さんによるハープの演奏、「美しき青きドナウ」などおなじみのメロディー。
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渡辺さんの優しい語り口 |
華やかなハープの音色 |
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お話の概要 |
普通は熱湯でいれて色がついたらお茶と思っておられると思いますが、今日は異なる温度でいれるとアジが違うことを体験してもらって、もっとおいしいいれかたを工夫していただけると嬉しいと思います。今日は90度1分、60度まで覚まして2分、室温で20分の3つを飲み比べていただきます。3つのお茶を飲み比べながらお話をうかがいました。
「室温で抽出したお茶がおいしい」
「甘味や旨みがあって別のお茶の葉をつかったのかと思った」
「90度の渋いお茶にはブランデーを加えるとおいしい気がする」
など、参加者から口々に感想や驚きの声が聞かれました。
お話の主な内容 https://www.life-bio.or.jp/topics/topics246.html
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話し合い |
は参加者、→はスピーカーの発言
- お茶は酸化しやすいということですが、買い置きしないほうがいいのでしょうか→早く飲みきって下さい。お茶は乾物だけど賞味期限は短い。抹茶の賞味期限は3ヶ月。冷蔵庫や冷凍庫に入れると長持ちする。抹茶入りお茶は短い。煎茶は6ヶ月。
- 酸化したお茶はおいしくないのですか→香りが悪くなると味もおいしくなくなる。きれいなフライパンでいって焙茶にしておいしく飲む方法もある。
- 紅茶のつくりかたは→紅茶は茶の生の葉をそのまま茶由来の酵素で反応させて作る。
- 私は子供ときにお茶が好きでなかったのですが、渡辺さんは子供のときからお茶はおいしいと思っていましたか→10年前にこの仕事についてから、おいしいと思うようになりました。
- 年をとるとお茶と演歌が好きになると親にいわれたが、お茶を美味しく思うきっかけは→仕事になってから。きちんといれたお茶はこどももおいしいという。京都はゆとりの時間に地元でできたお茶のいれかたを習い、おいしいと思うようになる。渋いお茶はお相手がないとおいしくないかも。最近はノンカロリードリンクとして飲まれたり、食べ物の味の邪魔をしないという視点で飲まれているようだ。
- 煎茶は低温でいれると美味しかったが、低温でいれた紅茶は→紅茶は発酵して重合させて渋みが感じにくくなっているので、高温で入れたから渋みが出るということはない。逆に低温で淹れると、渋みが少なくなりすぎてバランスが悪くなる。今日いれたお茶は中級クラスのお茶でカテキンも含んでいるが、下級のお茶はカテキンがあまりないので熱湯でいれても渋くない。
- お茶の等級はどのように決めるのか→正式なクラス分けはない。カテキンよりうまみの多いお茶がおいしく、今日、試飲しているのは1000円くらい。1000円くらいのお茶はカテキンが多くさわやかな煎茶といわれている。一般に同じ重さならば容量が大きい方が等級の低いお茶。やわらかいお茶の葉をしっかりよって細くしてあるものがいいお茶。
- よいお茶かどうかはお茶の木の種類か→葉を摘み取る時期で異なる。一番茶は八十八夜につみとるやわらかいお茶。今日、会場でサンプルを回して見ていただいたお茶の葉は柔らかかったと思う。これは温室栽培だから、今の時期でも葉が柔らかい新芽が取れた。普通は3月には新芽はない。
- 人類とお茶の出会いは→神農本草経(シンノウホンゾウキョウ)という中国の文献にお茶の記載があり、これは3000年前のもの。薬として分類されている。薬に上、中、下の等級分けがあり、お茶は上薬に属している。
- 子供の読み物の「忍者の秘密」に玉露から毒をつくると読んだが→お茶の成分に毒はないはず・・・・・
- 玉露は高いから毒だといって、沢山飲ませなかったのではないか。
- 身分の高い人は玉露を飲む機会があり、そこに毒をもられたのではないか
- 一般に玉露はどのくらいのまれているか→一般の人はもらいもので玉露を飲むくらいで、余り自分で購入する方はないと思う。玉露はむしろ黄色っぽいので、緑色のきれいなお茶というわけでない。そもそもお茶は高級品で終戦後、普通の人も煎茶をのめるようになった。それまではお番茶を飲んでいた。それも自家製番茶で、畑の脇の茶の木の葉を乾かした。これが明治まで続いた。今の煎茶のようなおいしいお茶を庶民が飲めるようになったのは昭和以降。
- なぜ、日本人はウーロン茶や紅茶のように発酵したお茶を飲まないのだろうか→ウーロン茶は中国の高級茶で発酵させてつくる。中国は硬水なので香りが感じにくい。だから、中国は発酵させてウーロン茶、ジャスミンの香りをつけるのではないか。日本は軟水なので、微妙な味や香りがでる。
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会場風景 |
向かって左から90度、60度、室温で抽出したお茶 |
- イギリスは香水の文化がある国なので、紅茶の香りが好きなのではないか
- お茶のおいしさに水の関係が深いということは、おいしい緑茶は軟水が飲める日本で飲めということになるのか→カルシウムは渋みを抑えるので、香りは悪いが、渋くなくなる
- 日本人は繊細だから、煎茶の文化がうまれたのではないか
- 日本人は軟水の食文化の中で生きてきて、味や香りに敏感になったともいえないか
- だから日本の水を大事にしようということになると、お茶から環境問題まで考えられますね
- 常温の水では色や味がでない気がしていた。→20分で今日はいれた。冷蔵庫にお茶をいれ水をいれておとくと美味しいお茶ができる。
- 冷茶、水出し茶の違いは→同じ葉を使う。冷茶用の葉は、雑菌の検査をして販売しているところが多いと思う。
- 世界のお茶とコーヒーの文化圏はどんなですか→コーヒー文化は硬水の地域という考え方もできるが、コーヒー文化は「しゃっきっとする」という視点で広がっているようだ。ビジネス街はコーヒー文化になりつつある。日本でも会社ではコーヒーが出る。
- 会社ではコーヒーの方がおもてなしの気分が出るような気がする。
- カフェインはコーヒーより紅茶の方が高いから、その方がしゃきっとするのではないか→ピぺリジンというコーヒーの化合物が人間をしゃきっとさせる。コーヒーには苦味があるので、これもしゃきっとするのに役立ち、ビジネス街ではコーヒーが強い。イギリスのような紅茶の国でもビジネス街ではコーヒー。
- 確かにコーヒーはインパクトが強いですよね
- 抹茶は苦いので、お菓子がないといただけない→抹茶自身はお茶としては甘いもの
- 基本的に甘いものも苦いものもぜいたく品で、社交の文化の産物だと思う
- なぜ、日本人は砂糖を入れないお茶を長く飲んできたのだろう→砂糖が高級品だったからではないか
- 最近の若い人は砂糖嫌いで、うちの子供はすき焼きも嫌がる
- 若い人は水やお茶を持ち歩いているが、漢方では水が足りないこと自身が病気だと考えている。水もいつもとればいいというものではない
- 「砂糖は太る」というのも間違った情報の広まり。砂糖は脳にいく大事な栄養。虫歯、太るというイメージを払拭しないといけないと思う→ポカリスエットは80キロカロリーなので、一日にとれるのが2000カロリーだとすれば・・・。
- 何でも取りすぎは太る。砂糖は4キロカロリー/グラムだから、そばもうどんも同じ。
- 若い人には、炭水化物は太るという強迫観念があるようだ。
- テレビのアンケートで東大の学生はきちんと3食食べている人が多く、そういう食べ方が体によいのだと思った。
- ペットボトルには、いろいろなお茶の種類がある。コーヒーや紅茶も専門店があり種類があるのに、日本に多種類の日本茶を飲ませる店があってもいいのではないか→東京は「お茶カフェ」があると思う。京都の福寿園には、見学施設がある。
- 私は塩鮭のお茶漬けがすきだが、お茶漬けのお茶は何がいいのか→香りがあって茶色いほうじ茶か、渋くない番茶がいいと思う。
- 京都のぶぶ漬けは何をいれるのですか→お湯。お茶は高価だったので、京都でも庶民は白湯(さゆ)か、自分の庭の茶の葉を乾かして煎って飲んでいた(京番茶)。
- 昔話で病気の親にお茶を飲ませたいという孝行息子の話があったように思う
- 三国志でリュウビゲントクが親のお茶を買いに言った孝行の話がある
- タンポポコーヒーみたいに雑草でお茶ができるものは→乾かして煎って飲んでしまっては何でもお茶。例えば、麦茶は煎茶と同じ意味ではお茶とはいえない。
- ウーロン茶は水でいれられますか→もともと熱湯で出すもの。管理によって茶葉の雑菌が増えていると不安かもしれない。
- ウーロン茶は製茶技術レベルが低いので、一煎めを捨る。これは上のゴミを捨てるため。
- 今日いただいたお菓子は珍しい→福寿園のお菓子で、東京大丸に販売店がある。
- ペットボトルはサントリーと福寿園の技術を活かして作っていることがわかったので、これからはペットボトルのお茶も自覚を持って飲みたいと思いました。
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