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ふぉとんバイオカフェ
「美味しいお茶にはサイエンスが詰まっている〜カテキンって何」

平成18年11月25日(土)きっづ光科学館ふぉとん(京都)多目的ホールにて、同館とくらしとバイオプラザ21の共催でバイオカフェを開きました(協力:京都男山エジソン協会、福寿園CHA研究センター)。お話は福寿園CHA研究センター渡辺祐子さんによる「美味しいお茶にはサイエンスが詰まっている」でした。 初めに、京都男山エジソン協会代表小嶋信さんが、エジソンの蓄音機を使って、蝋管といわれる円筒型レコードの音楽を聞かせてくださいました。今、エジソンは最も人々に貢献した発明した人として注目され、研究も進んでいるそうです。

小嶋さんの説明 渡辺さんのお話
蓄音機の中(向かって左の円筒のものは蝋管) 自然に発酵した茶葉


お話の主な内容

1本のお茶の木
お茶はカメリアシナンシス〔Camellia sinensis O.Kuntze〕というツバキ科常緑潅木のひとつの木から作られる。お茶の木の種類は中国小葉種、中国大葉種、シャン種、アッサム種などがある。日本ではヤブキタという品種が有名。お茶の木の寿命は150−200年だが、20-30年で植え替えられている。お茶は摘む時期によって、一番茶、二番茶、三番茶、秋番茶と呼び名が変わる。

お茶の種類
お茶は、作るときに茶葉を発酵されるかどうかで、不発酵茶(蒸し製・日本式;煎茶、玉露、番茶、碾茶(てんちゃ)などがある)、半発酵茶(ウーロン茶など)、発酵茶(紅茶)がある。
緑茶(不発酵茶)は摘採(葉を摘む)した後、蒸してお茶が持つ酵素の働きをとめて、揉んで行く(粗揉、揉揉、中揉、精揉)。蒸して、お茶由来の酵素をとめると、青さが残り、香りも新緑の香りになる。
ウーロン茶(半発酵茶)は萎凋(いちょう)といってそのままに放置して、お茶の酵素で発酵させ、揺青(葉をゆすりながら攪拌する)し、殺青(さっせい)釜などで炒る。この熱で酵素の働きを止める。
紅茶(発酵茶)は摘採、萎凋、揉捻(葉を揉んで細胞を壊す)、発酵(20-26度、湿度90%以上)、乾燥させる。
〜会場では萎凋させた、お茶の葉を回覧。青臭いにおいの中に甘い香りがたってきている。少し発酵した状態。これが紅茶やウーロン茶の香りのもとになる。

萎調はお茶だけでなく、ヨモギをつぶして香りをたたせたりするのと同じ。これもヨモギの細胞が壊れて香りの成分が出てきているから。
お茶は酸化すると赤い色に変わる。熱をかけても緑色は変色して赤みをおびる。高温でいれたお茶は赤味を帯びやすいし、いれた後のお茶をおいておくと、翌日には酸化されて赤くなる。

日本のお茶の種類
おいしいお茶とは、アミノ酸がでていて甘味がある。お茶の木は太陽光線から体を守るためにカテキン(渋み)を体内につくるが、このカテキンの原料にアミノ酸が使われる。だから、木を余り日にあてないほうが渋みが少ない。玉露は若芽が出てくる前に布をかけて日をさえぎるので、葉緑素が多く、青くて、アミノ酸が多くなる。
玄米をいって加えて香ばしくするのが玄米茶、お茶の葉を煎って香ばしい香りを出るのがほうじ茶。
日光をあびて育つ煎茶には少し渋みがあるので、おやつの時間にあう

お茶の成分
いれるときのお湯の温度によって出てくるお茶の成分が異なる。温度が高く、抽出時間が長いほど、成分は出やすくなる。
うまみはアミノ酸。グルタミン酸、アスパラギン酸、テアニン等の遊離のアミノ酸。アミノ酸は60度、2分での抽出で70%がでる。95度、2分だと80%以上が出てしまう。水出しでも時間をかければ出てくる。
苦味はカフェイン。カフェインは目を覚ます効果がある。80度2分で90%が出る。逆に40度だと6分入れても30%くらいしか出ない。
渋みを出すのはカテキン。高い温度で出やすい。80度、2分で50%が出る。90度6分で90%。
〜会場では、水出しで、1時間半、60度で2分半、90度で2分でいれたお茶の飲み比べをしました
ごくごく喉がが渇いたときに飲むのは水出しがいい。60度だと一番甘味が出て飲みやすい。90度だとカテキンは抽出されるが、苦いので飲みにくいかもしれない。

自分の目的にあったお茶のいれ方
おいしいお茶は湯冷まししたお湯を使う。60度で2分半、70度で2分。90度はお茶の葉が開いたらすぐに出す。目的にあったいれ方をすればよい。例えば、カテキンがとりたい人は90度、3分がいい。お茶そのものを楽しむときは、60度で2分半。たくさんさっぱり飲みたいときは、冷蔵庫で水出し1時間。

お茶って体にいいの?
お茶には抗酸化物質の、カロテン、ベーターカロテン、カテキンがある。これらは活性酸素をおさえる働きがあり、血管を詰まりやすくするLDLコレステロールを減少させ、老化を防いだり、花粉症のような体の過剰防衛(活性酸素が多い)を抑えたりする。

茶葉から発酵の甘い香りが 会場風景
 
水、60度、90度で抽出したお茶  


話し合い
  • は参加者の発言、→はスピーカーの発言
    • 私は、90度で出したお茶もおいしいと思った→そのまま上がれる方はカテキンが多く、その方が健康にはよい。渋みが苦になる方は、90度でいれて氷で冷やすと飲みやすくなる。60度で40%のカテキンを抽出した後、熱湯でカテキン類を抽出する淹れ方もある。一煎めは、おいしくお茶を楽しむ、二煎めはお菓子と苦いお茶と一緒にという飲み方もあります。
    • 苦いお茶は胃腸の弱い人にはよくないのではないか→カテキンはタンパク質を収斂させるので、きついかもしれない。
    • 日本茶には紅茶やコーヒーと負けないくらいカフェインが多いそうだが→日本茶と紅茶はもともと同じ植物なので理論的には カフェインはほぼ同じ。しかし、お茶を育てるときに、土壌の窒素をうまみ作りに使うか、カフェインに使うかという問題がある。日本ではカフェインができずにアミノ酸ができるように肥培管理する。窒素が少ないやせた土地で栽培するとカフェインが多くなるといわれている。
    • 茶道の家元が、お茶を飲んでいるのでガンにならないというのを聞いたことがあるが、本当か→ガンは体内の活性酸素が遺伝子を傷つけてできる。活性酸素そのものは悪いものでなく、炎症を抑えるなどの働きをするが、ありすぎるとガンになりやすくなるなどのトラブルを起こす。カテキン(お茶や野菜に含まれる)はスカベンジャーといって抗酸化物質を捕らえる働きがある。活性酸素が多い最近の食生活には、活性酸素をおさえるカテキンがあるとよい。
    • カテキンがダイエットによいというのは本当ですか→カテキンそのものでやせるのでなく、吸収を抑える。糖の場合、砂糖がブドウ糖と果糖に分解されて吸収されるのをおさえる。脂肪の場合、油と水が混ざって吸収しやすくなるのを妨げる。また、カテキンは体の脂肪をよく燃やす働きがある。
    • 私はカリガネを飲んでいる。低い温度でゆっくりいれると甘味がでる。我が家では孫もそのお茶が大好き→カリガネはお茶の軸の部分のこと。関東では茎茶という。カテキンは葉に多いが、茎はアミノ酸が動くところなのでうまみがある。
    • 京都では、玉露カリガネ、煎茶カリガネとそれぞれの軸のお茶を売っている
    • カリガネ茶は茎と葉を、「お茶よりさん」といわれる人がより分けてつくる。葉は軸より高いが、軸の方が高い。玉露のカリガネ茶は値段も高いが、おいしい。
    • 今日、いただいている紅茶は、とてもおいしいですね→ウバというスリランカのお茶を3分で抽出した。紅茶の発酵は、お茶の葉の中の酵素によっておこさせ、温度をかけてとめる。
    • 手もみの意味は→現在は手もみだけでなく機械でも揉みます。揉むのは細胞をつぶす意味がある。抹茶は粉にするので、細胞がこわれてしまうから、手もみで細胞をつぶしたりしない。
    • お茶の木の品種の種類と、お茶の種類の区別が難しいのですが→玉露、煎茶、碾茶(テンチャ)などはお茶の種類でお茶の木の品種ではない。日本に多い品種はヤブキタ。
    • お茶には「○○茶」と名前があるが、福寿園はどこのお茶になるのか→お茶の名前には産地の名前をつける。福寿円は京都だから宇治茶。さらに、産地によって製法の好みがある。例えば、静岡は色が出やすいように葉を粉々にする。狭山茶は火入れした(ほうじた香り)香りがたつように作るなど。
    • 甘味のあるお茶の木を育てるのは大変。肥料をたくさんやらないと甘味のあるお茶ができない。茶葉も手摘みする。霜に弱いので、今は風車を設置するが、昔は寒くなるとタイヤを燃やして気流をかえた。
    • お茶の木の栽培は寒暖の差が大きいほうが香りがよくなる。お茶所は高原が多いようだ。
    • ペットボトルで販売されているお茶の保存はどのようにしているのか→ペットボトルのお茶は普通の緑茶、中ぐらいのグレードの茶葉を使う。ヘッドスペース(ボトルの上部)は無酸素にしてあり、分注してから殺菌するのと、殺菌してから無菌的に充填する方法がある。無菌的に充填する方法のほうがお茶の劣化が少ない。
    • 京都では、玉露の軸を使った番茶を、毒消しといって生まれたばかりの赤ちゃんに飲ませる習慣がある。今でもお年寄りのいる家では、毒消しを飲ませている。
    • お茶をたくさん飲むのは関東、それとも関西?→関東。関西は普段は番茶で、緑茶はお客さんに出す、というイメージ。昔は、緑茶を一滴、二滴と数えるほど大切にされたそうです。
    • ペットボトルの販売はお茶の需要に影響したのですか→お茶のペットボトルが売られるようになり、お茶全体の売りあげはのびた。甘くない飲み物を欲する地盤があった。
    • 中国では、甘味のないお茶をお金を出して買う人はいないらしく、売っているウーロン茶には砂糖が入っている。甘味のないお茶は家でいれるようだ。



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