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バイオカフェ(船岡)「私たちの健康を支える腸内細菌」レポート |
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7月21日(金)船岡生涯学習センターにおいてバイオカフェを開きました。お話は、東北生活文化大学、西野徳三さんの「私たちの健康を支える腸内細菌」でした。
始まりは、柴山祗雅子さんによるバイオリン演奏。2曲目の無休動(ボーグ作曲)は、休みなく弓の動くテンポの早い曲で、柴山さんにとって「絶え間ない微生物の活動、バイオのイメージ」なのだそうです。
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高橋館長の開会のご挨拶 |
西野先生のお話 |
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柴山さんのバイオリン演奏 |
「魔笛〜とりさしの歌」では ピッコロの代わりに人の声で |
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西野さんのお話の主な内容 |
生活習慣病の予防は、食生活を改善し、発酵食品も利用し腸内細菌にも気を配ること。腸内細菌が生まれたての赤ちゃんに近いと、その人も若く健康でいられるようだ。
動物と植物の違いは、動物は体内に消化器官を持っているが、植物は消化器官を持っていないこと。しかし、根の周りの微生物が分解したものを植物は吸収しているので、土壌細菌は植物の消化器官といえるかもしれない。植物をよい土壌で栽培することは意味がある。
参考サイト: topics142.html
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質疑応答 |
は参加者の発言、→はスピーカー
- EM菌を使った生ゴミで栽培したら、サトイモ、ナスで効果があった。よくできすぎて持てなくて腰を痛めたくらいだった→有機性肥料を入れると菌が増える。腸内細菌が増えるような状況が、土壌で起こったのでしょう。
- 「太陽の土」はかびたような白い土で、これと化学肥料をつかったら、太陽の土のトウモロコシがおいしくなった。耕したときに甘いにおいがした→昔の下肥にはミネラルがいろいろ含んでいたが、現在の化学肥料だと、リン、窒素、カリウムが単品で入っているために、プラスアルファが足りないのかもしれない。
- 野菜の乳酸菌はいつから、いわれるようになったのか→1〜2年くらいまえから。
- 乳酸菌の多い野菜は何か→野菜の種類とは関係なく、ぬかづけで食べればいい。
- 味噌漬け、しょうゆ漬けではそうか→味噌、醤油でも微生物が働くが、醤油は加熱されているので、菌は生きていない。テンペ菌(東南アジアの納豆)を調べたら、キムチの菌に近かった。
- EM菌を入れた土は確かにやわらかいと思う。
- 硬い粘土質で雑草も生えなかった場所に腐葉土を入れたら、雑草がしげってこまるくらいになった。土は手を掛けただけよくなると思った→化学肥料だけだと土が固くなり、さらに化学肥料を加えて硬くなり、と悪循環で保水性が落ちる。固まりがあると空気が入る、団粒構造がなくなり、ミミズが住めなくなり、微生物がすめなくなり、生態系が破壊され、土が死んでしまう。アメリカには集約農業で化学肥料を使って10年で土の炭素分がなくなってしまった地域がある。イギリスの土は100年もつといわれ、日本はそれ以上といわれているが、日本も昔の農業で豊かにした土が減りつつある。
- コンポストを使うときに注意などは→私の関与した生ゴミ処理機で使っている菌は仙台で見つけたもので、センダイエンシスと名づけた。これは、酸性の土で働くので「アシドロ」とした。東北大学生協では機材交換なしで、5年使い続けている。
- コンポストにはたんぱく質の多いもの、ニンニクはいれてはいけないと聞いたが、生協から出る生ごみにはそういうものが入っているのではないか→私たちが食べるものはみんな分解できないと、生ゴミ処理機といえないのではないか。家庭で出るものはすべて土に還るはず。分解しやすい易分解性、しにくい難分解性の生ゴミがある。ホテルニューオータニでリサイクルしている肥料は3ヶ月かけて作っており、土と同じ状態。コンポストは易分解性のものが発酵した一次発酵の段階だと、畑に入れたとき二次発酵が起こってぐーーっと菌がふえる。
- アシドロを使って以来、西野先生の「おっかけ」をしている。2年半使い続けているが、有機肥料が簡単にでき、生ごみを市町村に出したことがない→韓国は法律でマンションに生ゴミ処理機を入れることになったが、実際には違約金を払って入れていないのがほとんどだそうだ。四国のある町では生ゴミを出せない条例を作ったともきいている。ゴミも有料化の傾向。焼却場不足。ゴミをもやすために重油を燃やしているのはもったいない。しかし、生ゴミは市が無料でもっていってくれると思っている人が多い。私たちが料金を払わなくても、処理に資源は使われている。
- 私はレトルト食品や冷凍食品を食べるとおなかをこわすので、こどもにも食べさせない。レトルトや冷凍食品が腸内細菌に影響を及ぼすのだろうか→冷凍やレトルト食品が腸内細菌に影響しているとは考えにくいが、アメリカのハンバーガーの油の含有率は30%と決められていると聞いた。油の多いものはおいしく感ずるという研究はあるが、油のとりすぎが米国で問題になり、日本もその傾向がでてきている。大腸がんの増加、乳がんの増加と油のとりすぎと関係があるという説もある。
- 日本は飽食だと思う→平均すると日本人が摂取しているカロリーは2000キロカロリーだが、日本で作った食料と輸入した食料を全部、カロリーに換算して人口でわると、ひとりあたり2600キロカロリー。600は賞味期限切れなどですてられている。
- 冷蔵庫の中で賞味期限が切れたり、新しいのを買って古い方を使わず処分したりすることがあります。
- 納豆を食べているが、これにも微生物が入っているのか→納豆菌が納豆を作っており、ダイズだけ摂取するより、栄養も増えるし微生物も摂取することができる。
- 納豆を冷凍していいか→納豆菌が冷凍で死んでも、ダイズタンパクの分解はすんでいるので、効果がないわけではない。乳酸菌は生きたままとるのがいいが、実際には胃液で死んでしまっているので大腸までとどくのが少ない。ご飯と一緒にとると胃液が薄まり、乳酸菌を腸に送りこみやすい。
- 食後すぐに乳酸菌をとるのがいいのか→乳酸菌の死んだものでも免疫機構には役立つ。乳酸菌は生きたままとれなくてもいい。難消化性のヤーコンなどは腸内細菌のえさになる。
- 肥料で作った野菜は窒素、リン、カリウム以外のミネラルが取り込まれていて、これが腸内細菌に影響するのか→普通の食事でも十分な腸内細菌のえさはあるはず。沖縄の長寿は、さんご礁からミネラルをとった野菜を多く食べているからだというが、ミネラルが健康に直接、役立つかどうかはわかっていない。
- 遺伝子組換え食品に抵抗があるが、どのように対応したらいいのか→アメリカの組換え第一号の「フレーバーセーバートマト」が出るまで、情報を出し続け、隠していることは何もない状態を10年かかって作った。味がよくなくて広まらなかったそうだが、情報を理解し、判断できるのが大事だと思う。遺伝子組換えの反対運動が日本では広まっているが、日本は自給率が4割なのに、飽食。フランスは140%だから、組換えに反対してもやっていける。なんとなく不安に思われている方が多い。発信するほうも一所懸命にやっているが、情報がちゃんと届いていない。反対の意見があると、そればかりがメディアに取り上げられる気がする。
→中国の2.5億人の中産階級の経済が豊かになり、中国は食料エネルギー輸入国になった。中国の人口は13億。日本には食料は回ってこなくなる可能性はある。遺伝子組換えは品種改良のひとつとして、利用していくことも必要かもしれない。
→これについて不安ならば、それを知ればいいかもしれないが。漠然とした不安というのが扱いにくい。ゴールデンライスはカロチンのとれないヒトの国には福音になるはず。食べるワクチンの研究もある。発展途上国には1−2歳前に死ぬ子供がいまだに多い。ワクチンを寄付されても、薬を保存する冷蔵庫がない、注射をする医者がいないという国もあるので、食べるワクチンの研究が行われている。食料不足になったときにちゃんと選べるように今のうちに勉強しておくのがいいのではないか。
- ワクチンの実用化は→実用化はまだ。かなりすすんでいるはず。
- 遺伝子組換え作物には除草剤耐性、害虫抵抗性で変えている遺伝子はほんの一部。遺伝子を組み換えた内容をもっと報道した方がいい。害虫抵抗性はそれまでも殺虫剤として安全に使っていたもの。ヒトと害虫では体内での消化の仕組みが異なり、害虫だけに毒になる。こういう情報を広めて、それから話し合えるといいと思っている。よいものを選んで使えばいい。
- 納豆には遺伝子組換えでないと表示されているものばかりなので、よくないものだと思ってしまう→そう書いた方が売れるという商売の手法で、表示されている。非組換えダイズと豆腐に表示している会社の社長さんは「組換え反対でないが、今はこうした方が売れるんです」とはっきりいわれていた。
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会場風景1 |
会場風景2 |
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