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第4回バイオカフェ開催報告「微生物の力〜食生活と腸内環境の強い味方〜」 |
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5月20日(金)東北生活大学教授 西野徳三さんをお迎えして4回目のバイオカフェを開きました。会場は今までの最高で25名のお客様が来られ、お店は満員!
おなじみ音楽演奏は3月18日に演奏してくださった高橋節子さんと娘さんのはるかさんのデュエット。聞きなれたメロディーが、ふたつのバイオリンの音色でさらに深まり、パッフェルベルのカノンでは軽やかな音の追いかけっこ。参加者はみんなうっとりと聞き入りました。
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いつもニコニコしながらお話になる西野徳三先生 |
母子の競演にみんなうっとり |
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西野先生のお話 |
- 私たちの周りは微生物だらけ
ヒトの皮膚には常在菌がいっぱい住んでいて、表皮の状態を整えている。一方、事務所の机の上にはトイレの便座より多くの菌がいるという報告もある。
- 微生物は小さい!!!
大きい数字をあらわす漢字、百、千、万。。。はなじみがあるが小さい数量を示す漢字もある。分は1/10、厘は1/100、微は100万分の1で微生物とはそういう大きさの生き物だということになる。さらにその1,000分の1は塵、10のー(マイナス)21乗は「清浄」というそうだ。
- 腸内細菌の力を示すエピソード
O157による感染が大きかったのは、米国、英国、オーストラリア、カナダ、イタリアなどの先進国。発展途上国の人は体内にO157を持っていても発病しなかった。彼らの持っている微生物が、新参者微生物であるO157を負かしてしまったことを示している。
日本の動物園にコアラが初めてやってきたときに、衛生環境を整え、抗生物質を使ったり手厚く世話をしたのに、コアラが死んでしまうという事件がおきた。コアラはユーカリという木の葉を食べるために、腸内には難分解性の植物繊維などの消化を助ける微生物が多く住んでおり、これを殺菌してしまったことが皮肉にも原因のひとつだった。
ヒトでは加齢により、よい働きをする腸内細菌の乳酸菌やビフィズス菌が減ることがわかっている。海外旅行では、食あたりになる前に、乳酸菌の錠剤などを摂取することを勧めている海外旅行関連NPOもある。
- 日本の伝統食品である発酵食品
日本は高温多湿で微生物の繁殖を助ける環境に恵まれており、味噌、醤油などの豆類を用いた発酵食品を摂取して、体によい微生物を体内に取り入れてきた。これは欧州の長寿国の人たちがヨーグルトなどの牛乳を使った発酵食品を食べていることと、よく似ている。
乳酸菌と繊維質をいっしょに摂取できる糠漬けを、日本のヨーグルトと表現する人もいる。
- 植物におきかえて考えると
私たちの健康を腸内細菌が支えてくれていることを、植物におきかえて考えると、土壌微生物が土中の環境を整え、植物の健康を支えていると考えることができる。私たちの消化器官は植物にとっては根の周りの微生物に対応する。
私たちは健康つくりに発酵食品を摂取して腸内環境を整えるが、これはちょうど植物には堆肥などを施し微生物を増やし、より丈夫に育つようにするのと対比して考えられる。
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満員御礼の会場 |
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質疑応答 |
*は参加者の発言 →は西野先生
*O157が発展途上国で流行らなかったのは、その人たちは丈夫だということですか→腸内には多種多様な菌が住んでいて、いい環境だと新しい菌の入る余地を与えません。院内感染もブドウ球菌と緑膿菌のバランスが壊れ、もともと耐性を持っていた緑膿菌が急増したことによります。
*お酒で腸内細菌は死んでしまうのですか→胃で吸収されたり、薄まるので、腸内までは関係ないでしょう。(安心しました)
*糠漬けは体によいといっても塩分が気になります→塩分が多くても、大量に食べるものでないし、塩分の心配より乳酸菌のプラスの効果や植物繊維で排泄する力が強いので大丈夫。よく排泄すると、便の体内での滞留時間が短くなり、好ましくない発酵が起こらなくなる。肌にいいといわれる所以。
*腸管の微生物フローラ(叢)は年齢によって変化しますか→人は産声を上げたとたん、空気中の菌を吸い込み、体内に住む菌が急激に増え、その人の人生の間、菌との付き合いが始まり、健康を支えてくれることも多いです。フローラが変化するより、よい菌が多ければ、悪い菌(ウェルシュ菌など)が増える余地がなくなると考える方があっていると思います。
無菌マウスは無菌室にいる限り、非常に長寿をまっとうできますが、菌のあるところでは生きられません。無菌室内のみで長生きしたいと思う人はいないでしょう。
*海外旅行では食後に正露丸を服用するとよいと思っていましたが、先に乳酸菌をとるのはどうしてですか→食中毒のようなものに後から対処する考え方と、腸内環境を強化しておく考え方の違いだと思います。
*抗菌グッズはどのくらい有効ですか→ブームは下火になっているように思われますね。
*お風呂に入ってあまり身体を洗うと、皮膚を守っている微生物がいなくなるのでしょうか→菌を無くすことのほうが困難なほどです。数時間でもどるといわれています。
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