サイエンスカフェ「くらしに身近な先端医療」開催レポート

12月13日（火）、くにびきメッセ601会議室（松江）において、島根大学―健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト主催、ＮＰＯ法人くらしとバイオプラザ21共催により、標記イベントが行われました。
例年にない大雪にもかかわらず、松江市外の安来市、出雲市からも、高校の先生、ダンベル体操教室受講生、一般市民などの21名の方が集まりました。地元の読売新聞、ＮＨＫでも取り上げられ、高い関心を持つ方々が参加され、双方向の話し合いが行われました。 開催に当たり医工農連携プロジェクトリーダー生物資源科学部教授板村裕之さんから医工農連携プロジェクトとくらしとバイオプラザ21の紹介、並びにバイオカフェ（サイエンスカフェ）の主旨の説明、ふたりのスピカーの紹介があり、コーヒー、紅茶を飲みながらサイエンスカフェが始まりました。

板村先生の開会のご挨拶	くすりは正しくのむこと！
内尾先生のお話

お話の概要

骨は身体を支えるだけでなくＣａの貯蔵庫である。カルシウム（Ca）は生命の炎で大切な役割を担っている。60Ｋｇの人でＣａは1Ｋｇある。造骨細胞と破骨細胞があり、Ｃａを身体に放出するのは破骨細胞である。他の組織ではないが、骨には再生能力と自己矯正能力がある。 スポーツをしている子供に骨折が多い。若木骨折（ひびが入る）、剥離骨折（骨がもぎ取られる）がある。緊急処置はＲＩＣＥである。Ｒ：Rest（安静）Ｉ：Ice（冷却）C：Compression（圧迫）E:：Elevation（挙上）。圧迫はしっかり包帯をして固定、挙上は心臓より上に挙げることを意味する。
骨が剥がれると、金属または吸収性素材のスクリュー（ねじ）を埋め込むのが今までの治療である。吸収性といっても吸収されないことがあり、金属は取り除く手術が必要である。自分の5ｍｍの骨でスクリューを医工農連携プロジェクトでつくり、埋め込む方法を開発した。材料費はタダ、免疫拒絶反応は起きない。

質疑応答

（・は参加者、→はスピーカー）

・ 骨は食事などと大変に関係がある。お話ではそこが抜けていると思う。→おっしゃる通りで、今日は述べなかったが、治療法全体を考えると重要なことと思います。現在は動物試験の段階で、臨床試験を行いながら確立する。
・ 5ｍｍ位の骨をとりスクリューをつくるのと埋め込むための手術で2回することになるが。→1回でよい。くっ付ける場所の近くから5ｍｍの骨を取り出し、手術室で10分でスクリューをつくり埋め込む。
・ 知的財産権はどうですか→学会でも賞をもらっていますが、スクリューをつくる機械の開発が連携プロジェクトだから出来た。特許は既に出してある。
・ 何才位まで出来るか。→いま考えているのは比較的若い人である。材料費がタダであり経済的にも優れている。

お話の概要：

こちらをご覧下さい。

質疑応答

（・は参加者、→はスピーカー）

・ 私は体重が少なく子供と同じ。それでも成人の量でよいのか。→確かに、体重の多いアメリカ人と日本人では2倍ぐらい投与量の差がある。承認された投与量は体重の少ない成人も含めて決めている。処方する医師は裁量権があり投与量を調節できる。従って医師と相談されるとよい。
・ 抗生物質を飲んでいるが晩酌してよいか。→酒を飲んで問題があるのは注射の抗生物質の中に心臓がドキドキして気持悪くなる製剤がある。経口剤では問題はないでしょう。
・ 父が内科で3剤処方されている。酒を飲んでもよいと先生は言う。精神安定剤がそのなかにある。→酒は精神安定剤の作用を強めるので注意すべきである。医師とよくコミュニケーションをとり相談すべきである。
・ くすりの有効性は何％位あるのか→治療対象の病気によって違う。例えば抗がん剤では20％位の有効性があるとくすりになる。それだけ重篤、治療の難しい病気であるから。
一方、抗生物質は90％以上の有効性がある。しかも既存のくすりと比較して優れていなければだめである。
・くすりを長期に飲む場合があるが、副作用は大丈夫か。→長期服用が認められているくすりは問題ない。長期投与の試験がされデータがある。そうでないくすりを自分勝手に長く飲むのはよくない。