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第1回個人遺伝情報保護小委員会参加レポート

6月25日経済産業省本館第2会議室で産業構造審議会化学・バイオ部会第1回個人遺伝情報保護小委員会が開かれました。
産業構造審議会は、経済及び産業の発展に関する重要事項を調査審議することを目的としていますが、今回、その中で遺伝情報を利用する産業における個人遺伝情報の取扱いを審議するために、個人遺伝情報保護小委員会が新たに設置されました。
今回は第1回目で、全体的な説明の後いくつかの意見が出されました。これらの意見の内容などが今後検討されていくようです。くらしとバイオプラザ21のスタッフ佐々義子が委員として出席しましたので、報告します。今回はとても緊張して自己紹介をするのがやっとでしたが、今後、様子をお知らせしていきたいと思います。みなさんのご意見や感想をお送りいただけますと嬉しく思います。

小委員会の開かれた背景

昨年5月個人情報保護法が作られたことはくらしとバイオニュースでお知らせしました。
この法律が来年4月に全面施行となるまでに、具体的に必要な配慮や仕組み作りに関わるガイドラインの検討することがこの法律ができたときの条件になっていました。
けれど、私達にはインターネットで集められた個人情報がきちんと管理されずに流出したというような、気持ちの悪いニュースが聞えてきたりしています。

小委員会の開催目的

この会議では、個人情報の中でも特に、その人の遺伝情報の扱いについて検討します。個人の遺伝情報を調べたり、それらの結果を集めて整理すると、遺伝に関係がある病気の治療法の開発や医薬品づくり(テーラーメイド医療)に役立つことが期待され、そのような研究が進められています。しかし、それには情報を扱うときに守るべきルールについての議論が必要です。

小委員会の進め方

始めに委員会の進め方の説明がありました。1)小委員会終了後数日以内に概要を、1−2ヶ月以内に議事録(発言者名が入る)をウェブサイトに掲載すること、2)配布資料もウェブサイトで公開すること、3)会議は原則として公開なので事前登録制で傍聴できること、などです。
経済産業省審議会・研究会

個人遺伝情報保護は厚生労働省、文部科学省も関係するので将来は合同で検討し、年内に5−6回開催予定。

会議の始まり

委員全員、委員会の事務局である経済産業省の担当者の紹介の後、ユネスコの活動やいわゆる3省指針(厚生労働省、文部科学省、経済産業省)策定、OECD(欧州経済協力機構)ワークショップに関わってこられた位田先生が委員長に選出されました。委員会のメンバーは医学の専門家、法律の専門家、ジャーナリストなどで構成されています。
検討するにあたり、1)個人情報保護法について、2)ガイドラインについて、3)海外の動きについて説明がありました。
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(3省指針)

1)個人情報保護法について

本法律は個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益を保護することを目的とする。「個人情報とは個人を識別できる情報」のことで、これを「5000件を超えて収集し扱っている事業者を個人情報取扱事業者」と定義し、これらの事業者が規制の対象となる。国及び地方公共団体の責務等(第2章)、個人情報の保護に関する施策等(第3章)、個人情報取扱事業者の義務等(第4章)などが定められている。

2)「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」について

個人情報保護法の全面施行(平成17年4月1日)に向けて、個人情報保護法第7条に基づき内閣府が事務局となって作成した「個人情報の保護に関する基本方針」が閣議決定(4月2日)された。この方針の性格は、事業者が具体的にどのような対応を行えばよいかについては、十分に対応したものになっていない。このため、経済産業省では、事業者等が対応を行う際の参考となるような「個人情報保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を策定。このガイドラインは、例示を入れるなど、具体的な対応の仕方が分かるように工夫して作られているが、このような取組やシステム設計は、企業においても初めてのことなので、実際に行ってみて初めて起きてくる事項等に備え毎年見直しを行うよう努める。寄せられたパブリックコメント(6月15日から7月14日の1ヶ月間募集)の結果についても、今後の改訂作業において反映するように取り扱う。
http://www.meti.go.jp/feedback/data/i40615gj.html

3)海外の状況

2003年10月「ヒト遺伝情報に関する国際宣言」がユネスコ総会において採択された。本宣言ではヒト遺伝情報が本人の将来に関わる病気や体質を予見できたり、家族にも影響を及ぼすなど個人情報の中でも特別の意味を持つことから、人の尊厳の尊重や人権及び基本的自由の保護を確保することを目的とした上で、具体的な内容、手続きなどに関することが法的拘束力のない宣言の形でまとめてある。ヒト個人遺伝情報の扱いを収集、処理、使用、保管の4段階において整理している。

4)個人遺伝情報の取扱いに関する企業へのアンケート中間報告

(財団法人バイオインダストリー協会実施)
個人遺伝情報を扱っている企業30社、今後扱う可能性がある企業42社について調査。企業におけるこれらの情報の取扱いの現状把握を行うために実施されている。


委員会のメンバー

位田隆一 京都大学大学院法学研究科教授
江口至洋 三井情報開発鰹務取締役
小幡純子 上智大学法学部教授
勝又義直 名古屋大学大学院医学系研究科教授
具嶋 弘 潟oイオフロンティアパートナーズ常勤顧問
佐々義子 NPO法人くらしとバイオプラザ21主任研究員
高芝利仁 弁護士
辻 省次 東京大学大学院医学系研究科教授
南条俊二 読売新聞論説副委員長
福嶋義光 信州大学大学院医学研究科教授
福原静雄 筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
吉倉 廣 国立感染症研究所名誉所員

委員による議論

情報の種類について
○遺伝情報は保護すべきといっても、ABO式血液型情報のような遺伝情報が、重篤な病気かどうかという情報よりも取扱に注意すべきとは言えないので、問題になる情報がどのようなものか考える必要があるのではないか。

個人遺伝情報取扱事業者について
○5000件以下の個人情報を扱うところも規制の対象にしなくていいのか。
○5000件を超えるデータをきちんと管理している機関を国で認定するなど、よい管理を奨励することも必要ではないか。

個人遺伝情報の利用目的について
○利用目的の特定は悩ましい。健康サービス産業促進のために個人情報を同意をとって集めて、目的の範囲を広くとって有効に研究を進めて行きたい。従って、目的を絞りすぎると研究が難しくなる。例示をしてもらえるとわかりやすくなる。

そのほか
○個人遺伝情報は医療、創薬、親子鑑定など広く利用されていくものである一方、個人の保護も必要なので、そのバランスをとることが重要。研究をどのようにして、適切な形で進めていくのがよいのか。
○個人遺伝情報保護に関わる人材育成も視野に入れるべきではないか。





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