くらしとバイオプラザ21

くらしとバイオニュース

HOME
What's New

くらしとバイオニュース

バイオイベント情報

やさしいバイオ

リンク集

バイオカフェ

くらしとバイオプラザ21とは

シンポジウム「遺伝子組換え植物の
正しい理解のために何ができるのか」開催される

開催趣旨を説明する佐藤先生
開催趣旨を説明する佐藤先生

 日本植物生理学会の2004年度年会が東京都立大学において3月27日(土)〜29日(月)まで開催されました。1700名をこえる参加者があり、同学会史上最高規模となりました。第2日目には講堂において本部企画シンポジウム「植物科学研究者は社会の期待に答えているか?遺伝子組換え植物の正しい理解のために何ができるのか」が開かれました。
 研究者が学会の場でこのようなタイトルで科学と社会の関わりを論じたのは初めての試みで、参加者は500名余り。立ち見がでるほどでの活気を帯び、質疑応答では幅広い議論が繰り広げられました。また、シンポジウム終了後には非公開で研究者とマスメディアの懇談会も開催するなど、同学会の熱意が伝わってくる企画でした。なお懇談会には学会員である研究者の他に、研究施設の広報担当官、一般紙や農業や食品関係の記者、生協関係者も参加しました。

 冒頭、佐藤文彦先生(京都大学)から全国の自治体における遺伝子組換え農作物栽培規制の動きに対応して本シンポジウムが企画されたという経緯についてご説明がありました。シンポジウムの概要は以下の通りです。

パネリストプレゼンテーション1
日経BP 宮田満氏

 研究者は教育、研究、説明という3つの責任をまっとうしていただきたい。説明責任については遅すぎるともいわれているが、本取り組みは貴重。食品安全委員会の関連したアンケートが紹介され、市民の中では遺伝子組換え食品に対する懸念の強いことが示された。

パネリストプレゼンテーション2
コープこうべ 伊藤潤子氏

 コープこうべの遺伝子組換え食品に対する取り組みの歴史。現在の表示の状況。市民の不安項目の整理をして説明していくこと、それをわかりやすく説明するテクニックを育成することが必要。

パネリストプレゼンテーション3
くらしとバイオプラザ21 佐々義子

 談話会、発酵を学ぶ実験教室、学生フォーラムなどバイオテクノロジーに対する市民の本当の気持ちを探る取り組みを紹介。それらの手作りの活動からコミュニケーションの重要さと難しさを学んでいる。

3人のパネリスト
3人のパネリスト

植物生理学会広報委員会の考え方
奈良先端技術大 小泉望先生

 研究者が出来る範囲で積極的に説明責任を果たすことが第一であり、そのためには、行動を起さなければならない。まず、家族に、マスコミに、行政に対して、そして教育の場はもちろんアフターファイブも。

質疑応答および意見など
  • Q:植物科学者の果たす責任は組換え食品の推進か?
    A:研究者の責任は組換え食品を食べようではなく、組換え技術に関する議論を市民の中に起こすことだと考える。


  • 忌憚のない話し合いの場を持って行きたい。


  • 今後の規制の動きには慎重に考えるように働きかけたい。


広報委員として語る小泉先生 会場風景
広報委員として語る小泉先生 会場風景


 同学会では、「私たちの生活を支える植物科学の発展に向けて−植物科学政策へのアピール−」を2003年3月28日付けで発表しています。

提言の主な内容

 米国では2001年よりシロイヌナズナの全遺伝子の機能解明が10年計画で始まっており、欧州では2002年植物ゲノムヨーロッパ会議において欧州の研究者が植物遺伝子機能研究に取り組むことの重要性が確認され、中国、韓国では応用を目指した植物遺伝子機能解析が国家方針として強力に推し進められている。
 日本はイネゲノム解読など植物ゲノム解読では世界で中心的な働きをしながら、その結果を活かした戦略や研究・開発支援体制が余り整っていないので、次の提言を政府に対して行い、本学会としては、植物科学の研究成果の公開、教育活動への積極的参画を決意する。

  1. 植物科学の発展のために中長期計画を策定し、速やかに実施する必要がある。
  2. 計画策定においては基盤的研究を支援し、研究の重点化をはかり、透明性のある評価体制を築き、若手研究者を支援することに配慮する。
  3. 研究を進めるには社会の理解と支持が欠かせないので正確な情報を積極的に公開する。
 私たちの生活を支える植物科学の発展に向けて
  −植物科学政策へのアピール− (日本植物生理学会)








ご意見・お問合せ メール bio@life-bio.or.jp

Copyright (c) 2002 Life & Bio plaza 21 All rights reserved.