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今日の講師はくらしとバイオプラザ21の佐々です。 |
12月14日(日)、千葉県立現代産業科学館において『発酵を学ぶ実験教室』を開催しました。くらしとバイオプラザ21始まって以来、初めてのオリジナル実験イベントです。企画立案から準備まで、スタッフ一同ハラハラドキドキの連続でした。そして、緊張もピークの中で迎えた当日です。
私たちが日頃食べているパンは、イースト菌が発酵することによってふわふわのやわらかいパンになります。今回は実際に自分の手でパンを作ることを通して、イースト菌の働きや小麦粉の種類について勉強しました。
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卵白の泡立て。電気の力であっという間です。 |
北風にも負けずお集まりいただいたのは5歳から62歳までの総勢21人。子供たちの元気な声が実験室に響きます。それぞれエプロンをつけ、手を洗って身支度を整えます。最初に佐々先生が取り出したのはカップケーキ。包丁で切ると断面からはたくさんの気泡を見ることができます。この泡によってケーキはやわらかく膨らむのです。ベーキングパウダーにお湯を加えたり、卵白を泡立て器でかき混ぜたりして、泡作りを体験していただきました。そして今日の主役はパンです。パンの中に泡構造を作ってくれるのはイースト菌。彼ら、イースト菌は、どうやって泡を作ってくれるのでしょうか?
いよいよ、お待ちかねのパン作りが始まりました。まず、バターと牛乳を温めてよく溶かした後、イースト菌と砂糖と塩を加え、さらに強力粉を2回に分けて混ぜ込みます。この混ぜ方がパンがうまく膨らむかどうかの分かれ道です。舞い散る粉に悪戦苦闘しながらも、混ぜすぎないように箸で混ぜて一つにまとめます。今回は発酵時間の短縮のため、料理研究家・村上祥子さんの電子レンジパンのレシピを用いました。パン種を電子レンジ弱で加熱し、一次発酵を始めます。12等分して丸くまるめて10分間。
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牛乳にバターを溶かします。 |
イースト菌と砂糖と塩を加えます。 |
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パン種を12等分。 なかなか難しいなあ。 |
まんまるにまるめて並べます。 |
続いて、一次発酵でふんわり膨らんだパン種の形を整えます。みんな思い思いにあんこを包んだり、ソーセージを巻いたり。色とりどりのチェリーやアンゼリカで飾りつけると、まるでクリスマスツリーの様な華やかさです。再び、電子レンジ弱の刺激を加えて二次発酵を開始します。早く大きくな〜れ。
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一番楽しい飾りつけ。 |
次はどんな形にしようかな。 |
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溶き卵を塗って照りを出します。 |
待っている間にイースト菌についてのお話を聞きました。イースト菌はたった一つの細胞でできている小さな小さなまんまる卵型の生き物です。私たちと同じように食べ物を食べたり、呼吸をしたりして生きています。但し、私たちは酸素がないと死んでしまいますが、イースト菌はへっちゃらです。呼吸の代わりに『発酵』によってエネルギーを作ることができるからです。実際に『発酵』を目で見ていただくためにイースト菌の発泡実験を行いました。イースト菌に砂糖を加えて、ぬるいお風呂くらいの温度で温めると、ぶくぶく泡が出てきます。砂糖を食べたイースト菌が発酵によって炭酸ガスを出しているからです。同じように、パン種の中のイースト菌も発酵を行って炭酸ガスを出しています。この炭酸ガスの泡がパンのやわらかさのもとになるのですね。
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イースト菌の発酵実験。 泡がブクブク、あーら不思議。 |
焼き上りを待つ間、くらしとバイオ スタッフ・中村手作りの紙芝居。 来年1月末に絵本として刊行予定です。 |
そろそろ二次発酵も終了です。発酵によって炭酸ガスと共に生じたアルコールの甘い匂いが辺りに漂います。パン種は随分大きく膨らみました。これらを200℃のオーブンで焼き上げます。待ち遠しい気持ちを抑えてもうひと勉強です。小麦粉の種類やパン以外の発酵食品について佐々先生のお話は続きます。そうして、やっと焼き上がり。オーブンを開けるとおいしそうな匂いと共にきつね色に色付いた焼きたてパンが出てきました。試食タイムはみんなの顔に笑顔があふれ、アツアツのパンをほおばりました。自分で作ったパンの味は格別です。
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もうしばらくお勉強。 |
焼きたてパンはおいしいな。 |
あっという間の2時間。帰り際にみなさんから「楽しかった」「面白かった」との言葉をいただき、今までの苦労も吹き飛びました。次はもっと楽しいイベント考えますので、皆さん奮ってご参加下さい。一緒に楽しくバイオの勉強をしましょう。
この実験教室は千葉県立現代産業科学館と共催、科学技術振興機構理科大好きコーディネーター支援をいただき、実施いたしました。
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みんな揃って、はいチーズ。 |