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「食品企業の商品情報の開示のあり方検討会」開かれる

 2010年3月26日(金)、南青山会館において標記検討会が開かれました。農林水産省表示規格課は、2009年6月より本検討会(座長 中村靖彦さん)を立ち上げ、通信販売やカタログ販売などの販売様式の多様化も含めて、食品の表示のあり方について、議論を重ね、今回、報告書の取りまとめに至りました。本会議では、事務局よりパブリックコメントの報告とあわせて報告書の修正案が紹介され、報告書案とパブリックコメントを突き合わせながら、検討が行われました。パブリックコメントは、2010年1月15日より2月16日まで募集し、15通が集まりました。
会議の終了にあたり小川課長より6ヶ月間の検討委員の協力への感謝と、透明性を第一に尊重して進めてきたというご報告がありました。
「CODEXに長く関わってきたことから、規格策定開始、データ収集、規格策定のプロセスに透明性を持たせるようにしたいと思っていた。本会議では、①開催のリリースを3週間前に行う、②パブリックコメントを求めるときは報告書案だけでなく議事概要も公開する、③会議資料を1週間前に作って委員に送ることの3点を心がけ、①と②は実行できたが、③はできなかった。これは今後の宿題だと思う。
これからは検討のプロセスを公開するだけでなく、参加し、発言ができるようにしたい。
日本ではパブリックコメントでしか意見がいえず、決まったことが官報に告示されるまでに1年近くかかることもある。着手からすべて公開して、みんなが参加できるようにしたい」
報告書の項目ごとに行われた検討は以下の通りです。

会議資料:http://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/kentokai/zyoho_kaizi_mar.html


タイトルと報告書「はじめに」について

現行の表示制度への検討、省庁横断での検討を求めるパブリックコメントがあった。本報告書の趣旨は食品事業者が消費者ニーズに対応した情報提供、信頼関係構築のための方策について提言するものであることを確認し、以下のような話し合いが行われた。

委員による話し合い
・タイトルは、消費者への食品企業による食品の情報の提供という、本検討会の趣旨を反映したものにしたい。
・食品企業と食品事業者は同じ意味か→「食品事業者」を定義して用いた(事務局)。
・「開示」は表現が硬すぎる。「情報提供のあり方」の方がよい。
・食品に関する情報とするより、食品事業者の商品情報ということばの方が意味が正確になる。
・タイトルに食品事業者という主語を入れるべき。
・タイトルが長いことより、誤解されないタイトルにすべき。
政府やメディアの情報提供にも触れているが、このタイトルでいいか。内容が決まってからタイトルを再考するという提案が事務局より行われ、タイトルは保留することになった。


総論I 商品情報の提供のあり方について

I.1. 商品情報の提供の意義
次の3つの内容のパブリックコメントが届いたが、文章中にすでに記載されていると解釈し、報告書案の修正はしない。
・消費者基本法の消費者の権利を明記する。
・無農薬、無添加などの根拠が乏しい表示は優良誤認を招く。
・食品企業の積極的な情報提供を求める。

委員による話し合い
・国産にこだわる消費者が多い。原料調達のグローバル化に、生産拠点のグローバル化を加えるべき。

I.2. 消費者の求める商品情報
寄せられたパブリックコメントは次のとおり。報告書案に修正は加えない。
・アレルギーなど安全性に関わる表示を見やすく、わかりやすくする。
・消費者ニーズにあわせた情報は重要度により整理する。
・製造工程が複雑な食品とそうでない食品の情報提供のあり方を検討してほしい。

I. 3. 商品情報の提供手段
業界団体主導による情報提供ホームページを構築することを求めるパブリックコメントが届いたが、報告書案に修正は加えない。

I.4. 情報の正確性の確保
次のパブリックコメントについて、報告書案に修正は加えない。
・監視、制裁などによる情報提供の適正化
・業務形態によって提供する情報の正確性の確保が異なることを示す。
次の意見については報告書案を修正した。
・情報のデータベース化などにより情報提供の効率を高め、コスト増加につながらないようにする。
・メディアも健康に関する情報提供では正確性の確保に努める。

委員による話し合い
・マスメディアの情報提供について言及することに違和感がある(同意2名)
事務局:メディアの正確な情報提供努力は重要だが、マスコミの報道のあり方はこの検討会で議論すべきことか。この内容を報告書に記載するに足りるだけの議論がつくされたか。
・メディアやテレビ娯楽番組での情報提供に関する指摘は重要。全削除は惜しいので場所を変えても残すべき(同意2名)。
・マスメディアの問題は重要なので、この場所に無理に小さくおさめるべきでない。
事務局:報告書内に適切な記述場所がなければ、パブリックコメントの回答に重要なコメントとして示す方法がある。
・本報告書にはそぐわない内容なので、今後、別な議論が必要であるとしてはどうか。
事務局:なお書きにし、「メディアに提供する情報の正確性の確保が求められる」とする。

I.5. 商品情報の理解する能力の向上
次のパブリックコメントに対し、報告書案は修正しない。
この能力向上は食品事業者だけの問題でなく、みんなで取り組むべき。
・消費者教育の充実。
・次の意見に対して、報告書に加筆。
・食品事業者もリスコミに参加すべき

委員による話し合い
・生産者と食品事業者を分けた理由は→各委員へのヒヤリングにおいて、生産者からの情報提供が重要とする指摘があって加えた。
・政府は地方自治体を含むのか。今後、地方自治体のリスコミが重要になると考えられるが→地方自治体を含むという意味で、「行政」ということばに置き換える(事務局)。


II 容器包装への義務表示以外の方法による多様な商品情報の提供のあり方

幅広い消費者からの情報収集の必要性、消費者の誤認を招かない表示が重要という2通りの意見があったが、報告書案は修正しない。
報告書案では、義務表示で定められた表示以外の情報提供の手段である二次元コード、WEBサイト、POP(店頭広告など)、お客さま窓口、見学会、出前講座などの、多様な方法に関する長所、短所が整理された。

委員による話し合い
・JAS法と食品衛生法とあるが、健康増進法などは入らないのか→義務表示を求めているのはJAS法と食品衛生法だけ(事務局)。
・広告を出す側にWEBサイトを持たないという短所は削除していい→削除(事務局)



III 商品購入時に容器包装の義務表示をみることができない販売方法における基本的な情報の提供のあり方

次の意見が寄せられたが、報告書案は修正しない。
・自動販売機も表示が見られないケースに加えるべき→自動販売機は今回、議論していないので、報告書では取り上げない(事務局)
・カタログ販売、インターネット販売、ネットスーパー、テレビ通販など、多様な販売形態があるので、業務形態に応じた情報提供の方法を検討し、消費者に必要な情報を行い、消費者の誤認を招かないようにすること。
・通信販売では一括表示事項を記載すべき。
・消費者が求めたときに情報が入手できる方法がいい。
・通信販売事業者は表示期限や内容表示の情報提供を工夫・努力してほしい。
以下の意見にそって報告書案を修正した。
・お客様相談室などでなく、販売時に情報提供すべき。
・テレビ通信販売やインターネットで販売するモールサイトのケースを追加。



IV まとめ

次のパブリックコメントにより報告書案を修正
・食品事業者や関係者の意見を広く聞き、自主的な情報提供を促す仕組みをつくる。
・多様な事業者が実行できるようにする。
・商品情報の提供のための基準または指針を策定する。

委員による話し合い
・「標準となる基準」とした意味は→「参考指標」という意味でいいと思う。日本語では、基準にスタンダードとレギュレーションの区別がないので。

報告書のタイトルについて
報告書では、「消費者の誤認を招かないような情報提供のあり方に対する食品事業者の自主性を発揮できるように、法律をかんがみ、基準を策定する」方向で進めることとし、もう一度、タイトルについての話し合いが行われた。

委員による話し合い
・行政やメディアも一部入れたが、食品事業者ということばを入れるべき
・消費者への食品情報の提供のあり方だと事業者以外を含むことになるが、内容は食品事業者対応なので、事業者をいれるべき
・内容は限定しているので食品事業者の提供でしょう。開示は、求められてするものでおかしい 
などの意見を踏まえ、「食品事業者の商品情報の提供のあり方」とすることになった。