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第4回草の根バイオカフェレポート「長さのスケールで見る“ビッグバンからDNAまで”」

2010年2月12日(金)、イタリアンレストラン「モダンタイムス」(三鷹市)で、第4回草の根バイオカフェを開きました。
お話は、ホットスター代表取締役唐崎健嗣さんとくらしとバイオプラザ21佐々義子の「長さのスケールで見る“ビッグバンからDNAまで”」でした。三鷹市は国立天文台があり、天文ファンの多い土地柄です。一方、地球は生命の星とよくいわれるのに、天文とバイオを融合したイベントが余り行われていないことから、この企画を思い立ちました。
初めは楽しいランチ。デザートタイムには、今村恭子さん、桑原さやかさん、寺井庸裕さんによるピアノトリオで、フォーレの作品が演奏されました。今村さんが、DNAのらせん構造から、バイオリン、チェロ、ピアノの旋律が絡み合いながら進むこの曲をイメージされての選曲でした。

フォーレのピアノトリオの演奏 会場は大入り満員
「まずはDNAから始めましょう」 「今度は地球を外から見てみましょう」

お話の主な内容

「長さのスケールで見る“ビッグバンからDNAまで”」
東京国際科学フェスティバルのご縁から、天文とバイオを内容においても、参加者の間でもつなげたいという思いから、「Powers of Ten」という映像にヒントを得て、㈱ホットスター唐崎健嗣さんとNPO法人くらしとバイオプラザ21佐々義子で、今回のお話を合作しました。

時間のスケール
137億年前の宇宙の誕生から今日までを1とすると、霊長類が誕生した5000万年前は0.37%。さらにホモサピエンスが誕生した10万年前までは、さらにその約500分の1の期間ということがいえます。中でも、初めての生命が誕生したのが35-38億年前。そのときは、たったひとつの細胞で生きる生命体であったと考えられ、私たちが分化して合計60兆個の細胞から成る生物に進化するのに要した時間は、長い宇宙の歴史の5分の1にあたります。そして、私たちはその長い歴史の中の瞬きのような時間に生きています。

長さのスケール
宇宙の大きさは137億光年といわれていますが、これは、そこまでは観測できたという距離。
私たちの身の回りにあるものの「大きい長さ」を考えると、地球の半径は6370キロメートル。それに比べて、生物の大きさはせいぜい何十メートルの大きさ。最大の動物はアルゼンチノサウルスという恐竜で体長35-45メートルあったそうです。植物だと高さ85メートルのセコイヤがあり、メートルの単位。
私たちの体の組織(臓器の大きさ、指の長さ)は何十ミリメートルだから、メートルの1000分の1の単位。
組織を構成する細胞は20-40マイクロメートルでさらに1000分の1。細胞の中には核があって、その中に格納されているDNAの幅は2ナノメートル。さらに1000分の1。こう考えてくると、生物の体の大きさ(メートル)から、生命の設計図であるDNA(ナノメートル)の大きさは、1000分の1を3回掛けた小ささ(10のマイナス9乗)。

1000分の1を体験しよう
三鷹駅からジブリ美術館は約1キロメートル。私の身長が1キロメートルあって、ジブリ美術館まで、横たわっていたら、細胞は数センチメートルの角砂糖くらい、核はもっと小さい。その中に絹糸の100分の1くらいの細さの糸が入っていることになります。
それなのに不思議なのは、それぞれの細胞の核に格納されているDNAはつなげると、全長2メートルにもなるということです。なぜ、そんなに長いのかといえば、30億個もの塩基の対がつながっているからで、その並び方が生命の設計図の暗号になっています。

地球を丸く見てみよう
グーグル・マップを使うと私たちのいるこの店を上空から見ることができます。地球の外(人工衛星)から見ると、日本全体、日本の周囲の国も見えます。夜の画像には、海岸線に沿って町があかることがわかります。朝鮮半島は南半分だけ明るく見えるのは世界情勢が正に見えている証拠です。今度は宇宙シミュレーションソフト・Mitaka(ミタカ)を使って、もっと地球から離れてみましょう。

私たちの宇宙
子供の頃に覚えた、水・金・地・火・木・土・天・海。これらは惑星と呼ばれる8つの天体です。冥王星は分類上、惑星ではなくなりました。地球からどんどん遠ざかり、光が1年かかって進む距離を1光年と呼び、1光年は約9兆キロメートル(9の後にゼロが15個付いたメートル)になります。光の速さで10万年くらいのスケールが、地球からは天の川として見える銀河系の直径になります。そして137億年かかって光が進む距離まで行くと、私たちが現在観測できる宇宙の果てがあります。メートルであらわすとゼロが23個も付くほど大きな数になります。

今日はDNAから宇宙までを長さの単位で追ってみました。


おいしいイタリア料理 「パスタを作るイタリアの小麦粉!」と唐崎さん
手打ちパスタ 演奏してくださった寺井さん、今村さん、桑原さん