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バイオカフェレポート
「食糧の安定生産とバイオエタノールの量産化への挑戦
〜沖縄県伊江島での取り組み」

2008年9月12日(金)、くらしとバイオプラザ21事務局会議室においてバイオカフェを開きました。お話はアサヒビール株式会社豊かさ創造研究所石田哲也さんによる「バイオエタノールは本当にいいものなのか?〜食糧問題とバイオエタノール」でした。初めに高橋春香さんによるバイオリン演奏がありました。

高橋さんのバイオリン演奏 石田さんのお話


お話の主な内容

はじめに
「バイオエタノールは本当にいいものなのか?〜食糧問題とバイオエタノール」というタイトルで講演依頼をいただいたが、バイオエタノールにもいろいろあり、原料や産地、製造されるときに使われるエネルギー等、様々な要素があるため、一概に良し悪しを判断できるものではない。ただ、我々(アサヒビール梶A(独)九州沖縄農業研究センター)の取り組みは、「食糧競合」ではなく、むしろ食糧を「安定生産」しながらバイオエタノールを生産できる数少ないモデルと自負している。そこで本日の演題をとした。

背景として地球規模で課題になっていること
1)地球規模で問題になっていること
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、地球温暖化の主な原因は、人間が生活の中で排出している「温室効果ガス」だといわれている。京都議定書では、先進国に対し、1990年を基準にして6種類の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フッ素化合物(3種類))に対する削減目標を定めている。日本は2012年までに6%の削減が義務付けられているが、実際は7%以上のプラスになっている。温室効果ガスの中でも排出量が最も多いのは二酸化炭素。家庭部門からの排出される二酸化炭素の約3分の1は自動車が使う化石燃料が原因とされており、ここを減らすことで、温室効果ガスの排出量削減に寄与できると考える。
2)バイオエタノールとは
バイオマスとは、地球上の「資源として再生可能な生物資源」のことで、バイオマスエネルギーとは、バイオマスを利用しやすいエネルギーにしたもの。石油も元をたどれば生物資源が由来だが、地中で百万年以上の時間や熱、圧力により変化したものであり、短期の再生はできないため、バイオマスエネルギーとは呼ばない。バイオマスの特徴は、そのまま燃やしてもエネルギーとして使える事だが、用途が制限されるので、液体や気体に変換する試みがなされている。その一つであるバイオエタノールは、植物から作ったアルコール燃料で、現在のインフラをそのまま使い、ガソリンと混ぜて自動車燃料用にすることができる。
バイオエタノール先進国のブラジルは、アルコールのみ、E85(85%がアルコール)、E25を消費者が選択できるようなシステムが出来ている。米国ではE10が普及している。一方、日本は2002年、バイオマスニッポン総合戦略が始まり、2003年にE3ガソリンが認可された。2006年、バイオマスニッポン総合戦略見直し。バイオエタノールはいまだに普及しているとはいえない。その理由は、実施している事業体のほとんどがまだ実証試験段階であること、入手できる原料に限りがあるため大規模生産が困難であること、製造コストが高いなどがあげられる。
我々アサヒビール鰍ヘ、アルコール会社として、「アルコールを提供する会社から、アルコールで社会に貢献する会社に!」という思いで2001年からバイオエタノールの研究を開始した。そのバックグランドには「近い将来、日本でも、必ず石油代替エネルギーとしてバイオエタノールが普及する」という読みもあった。

高バイオマス量サトウキビを原料としたバイオエタノールの生産
1)研究にあたって
我々の目標は「サトウキビを原料にして、砂糖の生産量を維持したまま、エタノールを安価かつ大量に生産するプロセスを開発する」というもの。またコンセプトは以下の5つをあげた。
(1)食糧競合しない(砂糖の生産量を減らさない)
(2)経済性を充たす(30円/L程度)
(3)バイオ燃料製造のために石油燃料を使わない
(4)地域環境・経済と調和する
(5)日本で実現可能なモデルを開発し、世界に展開する。

現在、一部のバイオエタノールは「食糧競合」の原因とされており、トウモロコシ等穀物を直接エタノール原料にしない方式が注目されているが、本当の「食糧競合」とは何だろうか?我々は「食糧競合」について次のように定義づけ、これを回避してこそ、「食糧と競合しないバイオエタノール」であると考える。
(1)食糧をエタノール原料にすること
(2)人の食糧でなくとも、「飼料」となっている規格外品や食品残渣をエタノール原料にすること
(3)食糧が生産できる土地で、食糧とならない資源作物を栽培すること

2)なぜサトウキビを原料に選んだか
サトウキビは、その他の植物(トウモロコシ、米、テンサイ等)に比べ、単位面積あたりのエタノール生産量が最も多い。また糖(グルコース、フルクトース、スクロース)を直接蓄積するため、搾汁に酵母を加えればすぐにアルコール発酵が始まる。トウモロコシや米では糖化工程が必要となる。また、サトウキビを搾った後に残る「バガス」も貴重なバイオマスであり、製糖工場ではバガスを燃焼させたエネルギーを使い、製糖に必要なエネルギーを調達している。
植物としてのサトウキビに目を向けると、糖の蓄積の他に、不良環境での生育性が優れているのが特長。南西諸島の農地のほとんどが、隆起した珊瑚礁の上に、僅かな有機物が堆積しただけの土地であり、また年間降水量も2000mm以上あるものの、降雨の時期が偏っているため、夏期には干ばつも発生するような農耕不適地である。このような南西諸島でもサトウキビは栽培することができ、島を支える機関産業になっている。

3)国産のサトウキビから食糧競合せずに経済性満たすエタノールは作れるか?
サトウキビからエタノールを作る方法には、大きく分けて以下の2つの方法がある。

(1)サトウキビの搾汁を直接発酵させる方式
サトウキビの大規模栽培が行われているブラジルでよく見られる方式で、収穫からエタノール製造までが機械化されており、高効率でエタノールを生産することができる。この方式は大規模栽培が可能で、サトウキビ単価が低い(2,000円/t)地域でこそ成り立つ方法で、サトウキビ単価が高い(20,000円/t)日本に当てはめることはできない。1tのサトウキビから得られるエタノールは約90Lだが、日本のサトウキビを原料にした場合、製造原価に占める原料費が200円/L以上になるため、経済性を満たすとは言い難い。

(2)三番蜜を発酵させる方式
日本の製糖工場では、サトウキビから徹底的に砂糖を回収することを目的に、3回の結晶化を行うが、その後に残った糖蜜(三番蜜)がエタノール原料に用いられる場合がある。この方法であれば食糧競合せずにエタノールを生産できるのだが、三番蜜の中に残っている糖は僅か(サトウキビに元々含まれていた糖を100とすると5)であるため、発酵後に得られるエタノールも多くは望めない。我々の試算では1tのサトウキビから30kgの三番蜜が得られるが、ここから得られるエタノールは約10Lである。三番蜜自体は非常に安価(約2,000円/t)であり、エタノールに占める原料費は約6円だが、先述した通り、得られるエタノールが少ないため、工程費(約100円/L)が上乗せされ、こちらも経済性を満たすとは言い難い。バガスも製糖工程で9割以上使用してしまっているため、エタノールの製造に必要なエネルギーに化石燃料を使わざるを得ない。
また三番蜜中には、相対的に増加したミネラルが多量に存在するため発酵阻害が起こるほか、3回の砂糖回収で繰り返し加熱されているため黒色化しており、発酵終了後の廃液にも問題が発生する。
また原料確保の面でも問題がある。サトウキビ栽培においても労働者の高年齢化は避けられず、将来的に現状と同等以上のサトウキビが確保できる保証はない。従って仮に糖蜜(三番蜜)から効率的にエタノールを製造する技術が進歩しても、原料(サトウキビ)の安定的な入手に課題が残る。
結論として、日本の従来の常識では国産のサトウキビからエタノールは作れない。

4)アサヒビールと九州沖縄農業研究センターの取り組み(新規プロセス)

(1)原料そのものを見直す
実は、上記の問題は1980年代の第一次バイオマスブームでも存在していた。この時も、優れた糖化技術や発酵技術が開発されていたが、一過性のブームに終わり、現在に生かされていないのは周知の通りである。その理由は「原料」に対する抜本的な取り組みがなされなかったためと考えられる。
そこで我々は、原料であるサトウキビそのものを見直すことにした。そんな中、九州沖縄農業研究センターが、生産量の多いサトウキビ(高バイオマス量サトウキビ)を開発したとの情報を得た。従来のサトウキビは、砂糖を採ることを目的に育種されており、糖分が多く繊維分の少ない品種が好まれていた。しかし九州沖縄農業研究センターでは、サトウキビの多段階利用と、農耕不適地での栽培を目的にした品種開発を行っており、その中に高バイオマス量サトウキビが含まれていた。これをバイオエタノールの原料とすべく、2002年に我々と九州沖縄農業研究センターは共同研究を開始し、2006年からは沖縄県伊江島での実証試験を行っている。高バイオマス量サトウキビの育種と栽培特性の調査は九州沖縄農業開発センターが、高バイオマス量サトウキビの利用(砂糖とエタノールの同時生産)と物質収支の調査はアサヒビールが主に担当している。

(2)高バイオマス量サトウキビ
サトウキビは野生種と掛け合わせたり、近縁種(ソルガムなど)と掛け合わせることで様々な特徴を持たせることができる。高バイオマス量サトウキビをして開発された幾つかの系統には、根の発達が旺盛なものが多い。根の発達は、土壌深部の水分の利用につながるため旱魃に対する耐性が向上するほか、台風などによる倒伏を軽減する効果もある。また、夏植えの場合であれば、台風シーズン前に台風に耐えられる位に植物体が成長しているほど生育が旺盛である。南西諸島においては、サトウキビは夏植えした後、一冬越した翌年の冬(1年半後)に収穫される事が多いが、高バイオマス量サトウキビでは毎年の収穫を目指している。また収穫後の株出し(残った根から新たな芽が出て、翌年には再度収穫できる方式)も製糖用の経済種が1〜2回しかできないのに対し、4〜5回できる系統もある。植え付け作業の軽減等、生産者へのメリットは大きい。
砂糖とエタノールの同時生産に適した系統もいくつか得られており、製糖用の経済種に対し、単位面積の収量が2倍、蔗糖含量は1.5倍、繊維含量が3倍になる系統もある。

(3)新規プロセス
このように、我々は原料そのものを高バイオマス量サトウキビに変える試みをしている。従来の製糖工場では、3回の結晶化で徹底的に砂糖を回収していたが、新規プロセスでは結晶化は1回しか行わない。原料の蔗糖含量が従来の1.5倍あるので、1回の結晶化でも従来の製糖用経済種の搾汁を3回結晶化したのとほぼ同量の砂糖を回収することができる。1回の結晶化で残った糖蜜(一番蜜)には、まだ砂糖の原料にできる糖が十分残っているが、我々は敢えて一番蜜をエタノール原料とすることにした。一番蜜を原料にすることでエタノール生産量を多くすることができる(我々の試算では従来プロセスの約8倍)。一番蜜には発酵阻害物質となるミネラル濃度が低く、熱のかかる結晶化工程が1回のみであるため、三番蜜に比べ外観色も明らかに薄い。また高バイオマス量サトウキビは繊維(バガス)を多く含むため、製糖工程に必要なエネルギーに加え、エタノール生産工程に必要なエネルギーをもバガスでまかなう事ができる。

(4)伊江島での試み
2006年より沖縄県の伊江島で、高バイオマス量サトウキビを原料にした、砂糖とエタノール同時生産の実証試験を行っている。プラントは1回の稼動で約1tのサトウキビを加工し、約60kgの砂糖と35Lのエタノールが製造できる仕様となっており、年間に製造できるエタノールの最大量は約1kLの見込みである。年間1kLと言うと「たったそれだけ・・・」と思う方もおられるだろうが、我々の目的は「量産すること」ではなく「砂糖とエタノールがきちんと作れるためのデータを集めること」である。本年は4年計画の3年目であるが、今後の事業化を見据えたデータが揃い始めており、実証試験は予定通り進捗している。

(5)将来の展望
我々は日本の企業なので、まずは日本で、更に言えば南西諸島で高バイオマス量サトウキビを原料にバイオエタノール事業を展開したいと考えている。先にも述べた通り、高バイオマス量サトウキビは根が深く、土地を耕す特性がある。この事業を行う事で、南西諸島のサトウキビ産業の活性化と、土地の肥沃化に貢献するのが短期的な目標である。中長期的には、世界の不良環境にこのモデルを展開し、半乾燥地帯のサトウキビによる緑化と、事業化を目指したい。


事務所で初めてバイオカフェ 会場のみなさん


話し合い     
  • は参加者、→はスピーカーの発言
    • バイオ燃料を飛行機の燃料として使えないか?どこかの航空会社がやっていた記憶があるが・・・→もちろん燃料として使えると思う。
    • 伊江島のエネルギー収支は何でみるのか→現在は特殊な原料(高バイオマス量サトウキビ)を原料に、砂糖がきちんと回収できるか、またエタノールが製造できるかに重きを置いた試験をおこなっているため、エネルギー収支は見ていない。ただ、発生するバガスの量は把握しているので、それをボイラーで燃焼した場合にどれだけのエネルギーが発生するかを予測することはできる。
    • 従来法に比べてコストはどのくらいか→従来法では、砂糖を徹底的に取った三番蜜をエタノール原料にするが、三番蜜に含まれる糖が少ないため発生するエタノール量も少ない。三番蜜自体は安価だが、製造費が高くなってしまう。我々の試算では製造費だけで100円/Lを越える可能性が高い。一方我々のプロセスは、約3割の糖が残る1番蜜を原料とするので、発生するエタノールが多く製造費を希釈することができる。我々の試算では、製造費自体は30円/L以下になる見込みである。当然ながら1回の結晶化でも従来法で製造した場合と同量の砂糖は確保している。
    • エタノール製造における使ったエネルギーと出来たエネルギーの収支はどうか。
    • エネルギー収支についてはブラジルはプラス、米国はマイナスが現状。
    • サトウキビの生産には補助金が出されているはずだが、新プロセスは補助金システムがあることを前提としているのか→試算等は、補助金システムがあることを前提に行っている。国内のサトウキビ取引価格は国際価格の約10倍だが、その差額は砂糖の輸入関税が原資になっているため、砂糖の生産量が急に増えると原資が足らなくなる可能性がある。我々のシステムは、単位面積あたりの生産量を増やすので、従来の補助金システムには当てはまらない可能性もあるが、農家や製糖会社に納得いただけるようなシステムを提案したいと考えている。
    • サトウキビは荒地でも育つそうだが、交配で収量も高くできるなら、すべて食料に使うのがいいと思う。そうしないのはなぜか→農作物は出口がひとつだと豊作、凶作で価格が変動してしまう。サトウキビの場合、出口を砂糖とエタノールの2つを持つと、不作のときはサトウキビを砂糖原料に多く回し、豊作の時はエタノールに多く回すことができる。出口がしっかりすることで農家は安心して生産できると考える
    • エタノール原料になるのはサトウキビのどの部分か→搾汁はもちろんエタノール原料になるが、バガスもエタノール原料になりうる。バガスの組成はセルロースが約50%、ヘミセルロースが25%、リグニンが15〜20%と、最近注目されている「ソフトセルロース」としても優良な原料と言える。ソフトセルロースの多くは、安価だが広く分布しており、一箇所に集めるのに労力がいる。またほとんどの場合粉砕等の前処理が必要となる。一方、バガスは圧搾工程で粉砕される上、製糖工場で副産物としてどんどん発生する(つまり集める必要がない)。また完全に食糧競合しないのも魅力。
    • エタノールの出せる熱量は→熱量はガソリンの6割だが、カーボンニュートラルの面で地球温暖化に貢献できるエネルギーと考える。
    • バイオエタノールで炭酸ガスを減らそうとするよりも、サトウキビを使った土地の改良を大義名分にした方が世の中に認められるのでは→おっしゃる通り。高バイオマス量サトウキビは根が深く、土地を耕す効果とともに保水性を高めることができる。私達は、ビジネスより荒地を農地に変えていくという大きな目標までを視野に入れている。
    • エタノールでは地産地消が実現できるのか→高バイオマス量サトウキビの栽培規模による。バイオエタノールで採算をあわせるには、我々の試算では2000ha以上栽培して採算性が出ると考えている。
    • 発酵工程での酵母濃度30%は高すぎるのでは→圧倒的な酵母量により、短時間でエタノール発酵を行った試験の一例。糖濃度25%の仕込みで、6時間後にエタノール濃度は15%に達した。また発酵終了後の酵母の生存率は95%以上であった。
    • 石連がETBEを推奨する理由は→エタノールは親水性なので、エタノールが混合されたガソリンに大量の水が混入した場合に、水層にエタノール分が移行してしまう場合がある(相分離という)。ETBEはエタノールとイソブテンの化合物で疎水性であるため相分離を完全に防ぐことができる。ただ、我々は高温多湿な沖縄でE3の製造も行っているが、相分離など1回も無く、分析値的にもE3中の水分は1000ppmを大きく下回っている。ETBEを製造できるのは限られた施設(一部の製油所)だけなので、そこまでバイオエタノールを運んでETBEにすることは地産地消とかけ離れているのではないだろうか。
    • バイオエタノールを自動車に使うと何か不都合があるか→ブラジルでもアメリカでも問題は起こっていない。米国に輸出されている日本車もE10で問題は発生していないので、日本でも今のままでE10までは大丈夫と考える。古い車には、部品の中でエタノールに弱い部位(ガスケットなど)があるものがある。
    • バイオエタノールの理想の姿は→我々は自分たちの哲学がバイオエタノールの理想と考えている。ただ、将来的にはもっと画期的な技術が生まれるかもしれない。
    • 稲わらのバイオマスとしての可能性についてどう思うか→そういう技術もきっと出来てくると思う。
    • 高バイオマスサトウキビの品種は今後、どうするのか→最良のものが出てくれば、是非品種登録したい。最短で平成21年度の見込み。
    • 高バイオマスサトウキビにデメリットはないのか→サトウキビは約70%が水分で30%が固形分。その固形分を繊維と糖で分け合っている。従来の製糖用品種は糖含率が高いので、相対的に繊維が少ないが、高バイオマス量サトウキビは繊維が多い設計にしてあるため糖含量は低い。このような低糖高繊維のサトウキビからは砂糖が採りにくかったり、たんぱく質等の不純物が多い等の特性がある。しかしそのような原料を使いこなす事こそが新たな技術になると考えている。
    • 連作は何回までできるのか→高バイオマス量サトウキビの特性の一つに、株出し(刈り取った後に、地中に残った根から新たな芽が出て、次年度にサトウキビとして栽培すること)が旺盛であるという点があげられる。ある高バイオマス系統では、種子島のデータではあるが、5回以上の株出しでも問題ないことも確認できている。環境に恵まれたブラジルでは7〜8回の株出しの例もある。一方、南西諸島の土地は痩せており、ほとんど株出しは行われていない。
    • 連作して土地がやせたらどうするのか→サトウキビも、他の作物と同様に水や肥料は必要。だた、サトウキビは4割の部分を土に返すことができる。梢頭部と呼ばれる葉は良質な畜産飼料(牛)になるので、牛に与えて糞に形を変えて土に返したり、製糖工場で発生した石灰ケーキも良質な肥料となり、循環型の農業が可能である。
    • 農薬はどのくらい利用するのか→サトウキビは苗を植えるときに芽を食べる「メイチュウ」線虫を防除するために、殺虫剤を1回だけ散布(土壌混和)する。その他にも害虫等に対する農薬は存在するが、南西諸島ではほとんど使用されていない。
    • 遺伝子組換え品種はないのか→遺伝子組換え技術で、光合成能力をアップさせるような研究は行われている。


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