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バイオカフェレポート「知っていますか甘味って」 |
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2008年6月8日(日)、千葉県立現代産業科学館1階ウェーブにおいてバイオカフェを同館との共催で開きました。お話は東洋大学下村講一郎さんによる「知っていますか甘味って」でした。初めに清水美保さんによるバイオリン演奏があり、アメージンググレイスなど親しみのある小品が数曲演奏されました。
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清水美保さんの演奏 |
下村講一郎先生 |
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千葉県立現代産業科学館 渡邉智子さん(右) の始まりの挨拶 |
会場風景 |
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下村先生のお話の主な内容 |
甘味料の種類と甘味度の決め方
甘味料には低甘味度甘味料と高甘味度甘味料がある。
低甘味度甘味料には、糖類(甘さの基本になる砂糖)、オリゴ糖、糖アルコール(アルコール基OHがついている)がある。低甘味度は量と甘さは砂糖に準じているもので、高甘味度甘味料とは、微量で砂糖の1万倍なんてものもある。砂糖の他にも、サッカリン(初め甘く苦味がある、砂糖の300倍)、アスパルテーム(フェニルアラニン誘導体、砂糖の200倍の甘さ)、キシリトール(ガムなどに良く使われている)、アリテーム(砂糖の2000倍)、アセスルファンK(砂糖の200倍)などがある。
甘味度の決め方には2種類ある。
- 砂糖水を薄めていいきながら、かすかにアマミを感じたときの濃さを基本にして、それと同じ甘みを感じたときの濃度を調べる方法
- 7%のジュースの甘さと同じだと感じたときの濃度の比をとる方法
甘味料の安全性
甘味料の安全性試験は行われている。製品に添加された甘味料も食品添加物で、食品添加物は天然からの抽出物も使用されているが、天然でないといって嫌われてることもある。しかし、食品添加物として使用される化合物に対する一日摂取量が厳しく決められており、安全性には問題はない。
食品添加物は、製造時、保存、見た目がよい、味がよくなるなどの目的で加えられる。
甘み体験
スクラロース 砂糖の300倍
蔗糖の3箇所のOH基を塩素に置き換える研究でできた合成物
ロンドンのクイーンエリザベス大学において蔗糖の科学習書食に関する実験 同大学と Tate&Lyle社の共同研究で発見された。糖尿病の人には天然に近い構造。
商品名はスプレンダー。
味覚
甘いものを食べると楽しくなるのは脳内にベータエンドルフィン(モルヒネのような作用を持つもの)が分泌されドーパミンが出て胃を緩めてくれる分泌物が出てくる。これで甘いものは「別腹」を作ることになる。
味覚には五味(甘、酸、塩、苦、旨)味あり、唐辛子のカプサイシンのような辛味は舌の痛点で感じ、生理学的には痛みに分類される。
舌には味蕾があり、そこに溶け込んできた溶液で味を感じて脳にシグナルがいき、脳で甘味を感じる。舌には味を感じる部位があり、先端部で甘味、両脇で塩味、中ごろの両端が酸味、苦味は奥の中央。
苦味は最後に感じて、毒は一般に苦いので、吐き出しやすくしているという説がある。
唐辛子の辛味は痛点で感じるが、わさびは揮発性成分なので、嗅覚で感じる。
このように味覚は複雑で、味わうときには、食感、味、香りの3要素を総合的に判断している。
また若いときには1万個の味蕾があるが、加齢により6000個に減る。
味覚の測定
1000万円の味の認識装置を買い、コマツナ、コメの試験をしている。味蕾を模倣した膜で電位の差で調べる。人間は砂糖以外の甘味を感じることができても、残念ながらまだ甘味センサーは砂糖以外を正確に認識できない。現在、機械では10種類の味を認識できる。しかし、1検体を測るのに10分。洗浄などの操作時間も入れると1検体に1時間弱かかる。人間の味覚センサーは早くて性能がいい。
甘味の原理
甘味物質の分子構造をみると、水素供与基と水素受容基の距離が約3オームストロングの時に甘味を感じる、それが味蕾に入る大きさで甘いと感じるらしいということがわかってきている。
改めて、1万の味蕾で細かく味覚を分析できる人間はすごい。
サトウキビとテンサイ
日本でつくる砂糖は88万トン。一人が消費する砂糖は1年で17Kg(2005年調べ)
異性化糖はトウモロコシなどのでんぷんから作られる。
植物から得られるものには、糖質甘味料(サトウキビ、テンサイ(ビート)、サトウカエデ)と非糖質甘味料(カンゾウ(甘草;グリチルリチン)、ステビア(ステビオシイド)、甘茶、リピア(砂糖の1000倍)、シビレクズウコン(ソーマチン))がある。
低カロリー、整腸作用を持つという意味では甘味料による健康増進は大事だが、脳の活性化にはグルコースが必要。子供には特に大事。
サトウキビ 品種が多く、適材適所で栽培されている。一般に温暖地で栽培
テンサイ ホウレンソウと同じアカザ科。世界の寒冷地で栽培され、2年草(一冬越さないとだめ)
甘味の歴史
紀元前4世紀、アレキサンダー大王の時代の文献に「蜂の力を借りずに葦(多分サトウキビのこと)からとれる蜜がある」というような記述がある。
11世紀、砂糖を入れてコーヒーを飲む習慣が拡がる。
日本には8世紀、遣唐使の鑑真が薬用として黒砂糖を10キロくらい持ち込んだ。
第二次大戦時、人工甘味料が登場した。
いろいろな甘味料
メープルシロップ:2-3月にサトウカエデの傷をつけてとった樹液を40分の1位まで煮詰める。樹液そのものは甘さが薄く、ヒトはさほど甘さを感じない。
アマチャ:ユキノシタ科のガクアジサイに似た植物。甘味成分はフィロズルシン。潅仏会(お釈迦様の誕生日)にアマチャをかける風習がある。
カンゾウ(甘草):甘味成分はグリチルリチン。歯磨き、醤油、味噌などに使われている。
ユーラシア大陸でとれる。地下茎に砂糖の50倍の成分があり、紀元前3世紀から使われている。
羅漢果:甘味成分はモグロシドで、カンゾウの甘味成分の構造に似ている。ウリ科。
テンチャ:バラ科。甘味成分はルブソシド。アレルギーに効くといわれている。
ステビア:パラグアイ原産のキク科の植物の葉に、ステビアサイドとレバウデイオサイドの2種類の甘味成分がある。
リピアヅルチス:メキシコ原産。花にある甘味成分はヘルナンドルシン。熱に弱いのでアイスクリームなら利用できるのではないか。インディアンは堕胎に使っていた。
ソーマチン:西アフリカの熱帯雨林のウコンのような形の植物。円錐状の赤い実に甘味成分がある。砂糖の6000倍の甘さ。
まとめ
甘味料は人間だけでなく、ソーマチンなどはフレーバー添加剤として飼料に加えると動物が良く食べるようになるという使い方もある。キシリトールのように吸熱を利用し、運動選手はユニホームの繊維にしみこませて体が涼しくなるようにする利用法もある。香りと相乗的に働くフレーバーエンハンス効果もある。
甘味は植物からの贈り物です。贈り物を大事にしましょう。
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甘味の体験 |
デンマークでサイエンスカフェを運営されている クリスチャン・ニールセンさん |
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話し合い |
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は参加者、→はスピーカーの発言 |
- ミラクルフルーツは甘味料か→甘味料でない。ミラクルフルーツのミラクリンは味の感じ方を変えているだけで、ミラクルフルーツをかんだ後だとレモンを甘く感じる。
- ラカンカが実だと思わなかった
- 甘味料を味見して甘味が長く残ったのが印象に残っている。
- 薬くさい甘味料もあった。
- 血中の糖濃度があがって尿に出るのが糖尿病で、糖尿病患者は砂糖を余りとれないので、砂糖以外の甘味料は重要。砂糖も適度に使う必要がある。しかし、運動も大事。
- 天然はいい合成はまずいと感じているが→天然はいいという発想はおかしい。例えば、カンゾウをとりすぎ、とるのを中止したらムーンフェイスになった例がある。これは天然でも取りすぎは危ないという例。ゼロカロリーの甘さを追及し過ぎれば、バランスをくずして当然では。
- 天然は大丈夫という考えはだめだということがわかった。またどんなものでも取りすぎはだめだと思った。
- 初めて味見した中でソーマチンがよいと思った。私たちも買えますか→ソーマチンは1グラムで6キロの砂糖と同じ甘みが作れる計算であるが、業務用以外では入手しにくい。
- 電子レンジで糖化させるとトウモロコシなど、茹でるより甘くなる。ニンジンも同じ→自然の甘みを出すには、酵素を働かせてジワーと加熱するのがいい。焼き芋を作るとき70-80度にしてアミラーゼで糖化するといい。塩水を塗ってコンロでじっくり焼くと甘くなる。カボチャ、新ジャガイモにも応用できる
- 砂糖を取りすぎると骨が弱くなるのはウソですね→はい。よく言われている、食品の酸性・アルカリ性は信じなくていい。
- 砂糖は酸性でカルシウムを溶かすので骨が弱くなるというのウソですか→骨というものは壊したり、合成したりを繰り返していてこそ健康なんです
- コーラの飲みすぎで骨が溶けるといわれたことがあるが→コーラはPH2.3―2.5で酸性が強いので、歯には飲み過ぎは良くないでしょう。
- 炭酸飲料を飲むと体が硬くなり、病気になりやすいと聞いた→それもうそです。ビールを飲んでいる人は体が硬いということになってしまいますね
- 砂糖不使用、ノンカロリーという食品をとって、砂糖取りすぎを防ぎならが甘味をとることができる。バニラの香りは満腹感を増すので、バニラを使ったスウイーツを食べると食事量が少なくても満足する。
- 砂糖の甘さを知っているのでノンカロリー甘味料でだまされているということですね。→そうです。しかし、脳にはグルコースが必要なので、ノンカロリー甘味料で満足しても脳のグルコース不足は解消できない。よく知って食べないと、逆に体を悪くする人もいるでしょう。だたし、10歳未満でも食生活、運動を考えないと生活習慣病が出ることもあるでしょう。
- 脳に必要なのは炭水化物や糖ですね→瞬発力出すには糖が大事。運動選手が試合前にパスタ、バナナなど澱粉質のものを食べるなど。
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