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親子バイオ入門実験教室開催報告 |
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2007年6月24日(日)に竹橋にある科学技術館(18名参加)、9月1日(土)には千葉県立現代産業科学館(20名参加)で(独)科学技術振興機構の支援の下で開催しました。親子バイオ入門実験教室を2004年度から開始して今年で4年目。各実験台には、実験を補佐・説明をするTAをおき、わかりやすく楽しい実験教室を心がけて行いました。
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科学技術館での開催内容 |
1.細胞、核、酵素のお話 13:00-13:20 (安西弘行先生、外山博視さん)
安西先生(茨城大学遺伝子実験施設)から、動物の細胞と植物の細胞の違い、生き物の最小単位は細胞からなる、細胞の中には核があり、その中に遺伝物質であるDNAがあること、生物の生死には細胞が生きているか死ぬかによってきまること、酵素はたんぱく質であり、遺伝情報に従って、細胞内で作られることなどのお話がありました。
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安西先生のお話風景 |
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外山さんから材料に使うタマネギについて、苗から収獲までの栽培状況について写真(パワーポイント)を使っての説明がありました。
2.細胞の中にある核を見よう 13:20-14:10 (外山さん)
最初に、光学顕微鏡の正しい使い方のポイントの説明がありました。@ピント合わせは、対物レンズを載せ台に近いところまでもっていった後、載せ台から遠ざけるように操作し行う。A低倍率で見た後、高倍率にするには、対物レンズを持たずにレボルバを廻して行う。そのときピントはほぼ合っているので微動調整でよい。
タマネギの薄皮をカッターで切り取り、酢酸カーミンもしくは酢酸オルセインで核を染色、又、口腔粘膜の細胞は唾液をマドラーにとった後、ホオの裏側の細胞を取り、同様に色素で核を染めて顕微鏡観察しました。
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タマネギの薄皮を切り取る |
核の染色 |
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顕微鏡観察(1) |
顕微鏡観察(2) |
3.酵素を使ってバイオの世界を見よう 14:20-16:10 (安西先生)
- ホタルの発光;部屋を暗くし、親子一組毎が、ルシフェリンとATPの溶液とルシフェラーゼの溶液を混ぜると光ることを実感しました。安西先生によるミニ実験では、光っている溶液を、加熱したり、食酢を加えたりする(酸性にする)と酵素が活性を失い光が消え、氷漬けにすると光が弱まり、室温に戻すと光が強くなることを見るなどして、酵素の性質を学びました。
- 酵素で酸素の泡:カタラーゼに関する実験
オキシフルは傷口を消毒するときに使うが、カタラーゼの働きで酸素の泡を出す。野菜や微生物や動物組織にカタラーゼがあります。試験管にレバー、乾燥酵母、二酸化マンガン、短冊切りにしたダイコン、ジャガイモにオキシドールを加えると泡が出ることを確認したり、音を立てて泡が出ていることを確認しました。火をつけた蚊取り線香を近づけると強く光る(燃え出す)ことを観察し、酸素が出ていることを説明しました。反応液中の温度をはかり、温度が高くなるのを確認しました。
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カタラーゼ実験(1) |
カタラーゼ実験(2) |
4.ワークシートとアンケート 16:10-16:20
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千葉県立現代産業科学館での開催内容 |
1.細胞、核、酵素のお話 13:00-13:20 (佐々義子さん、外山さん)
佐々さんから@動物の細胞と植物の細胞の違いについて、A生き物の最小単位は細胞からなること、B細胞の中には核があり、その中に遺伝物質であるDNAがあります。C生き死には細胞が生きているか死ぬかによってきまります。DヒトのDNAは30億対、60兆個の細胞からなることを説明し、外山さんからは、材料に使うタマネギやブロッコリーが畑でどのように栽培されているか、収穫の時期、楽しさなど、写真(パワーポイント資料)を使って説明しました。実験に先立ち、使用する材料を口にしたり、不安全なことをしないように注意しました。
2.細胞の中にある核を見よう 13:20-14:05 (外山さん)
上記の通り。
3.ブロッコリーからのDNAの抽出 14:10-15:05(外山さん)
ブロッコリー花芽の細胞は小さくて細胞数が多いので材料として適していることを説明した後にDNA抽出実験を開始しました。ブロッコリーの花芽をすり鉢にいれ、すりこぎですりつぶし、細胞を破壊する。これに食塩と洗剤からなるDNA抽出液を加え、DNAを細胞から溶離、抽出する。ダシフィルターでろ過後、ろ液に3倍量の消毒用エタノールを静かに加え、境界面にDNAを浮かび上がらせた。
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ブロッコリーの花芽を切り取る |
すりこぎで細胞を壊す |
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ブロッコリーからのDNA観察 |
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4.ワークシートとアンケート記入 15:05-15:15
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まとめ |
全体を通して、この実験教室も満足度が非常に高いこと(楽しかった、とてもわかりやすかった)や自然科学・技術について更に興味を持った(保護者・子供)ことがわかりました。DNAの二重らせん構造を見たいという声には、DNAの電子顕微鏡写真を用意するなどで対応していきたい。
参加者からは、「興味深い内容で有難うございました。小4の息子には完全には理解できませんが何かの扉をたたいたように思えます。(40代主婦)」、「先生方もそれぞれのグループについていただきとてもわかりやすく楽しい実験でした。子供も興味を持ち大変よかった。(40代主婦)」などの感想がありました。
お母さんと子供からお父さんとこどもというペアが多くなってきました。おじいさんとお孫さんの組もありました。実験をしている親子の熱心さ、親と子が会話を交わし実験している姿は、主催者にとっても嬉しい光景でした。バイオ関係の実験教室が少ないことから、今後、別メニューを取り込んだ実験講座も考え、更に充実した実験教室を計画していく予定です。
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科学技術館の参加者 |
千葉県立現代産業科学館の参加者 |
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