くらしとバイオプラザ21

くらしとバイオニュース

ホーム
What's New

くらしとバイオニュース

バイオイベント情報

やさしいバイオ

リンク集

バイオカフェ

くらしとバイオプラザ21とは


生産者と消費者の交流・農村体験
“スローフード・スローライフ”参加レポート

8月28日(月)〜29日(火)、ネーブルパーク(茨城県古河市)にて、女性農業士会坂東支部主催で、標記イベントが開かれました。これは、学校給食、親子農業体験など、食育を進める活動を行ってきた女性農業士会メンバーが、生産者と消費者の直接の交流をはかりたいと企画したもの。
11時にネーブルパークに集合して、1時から参加者(市民、大学生)がいくつかの農家に分かれて農村体験。夕方からは新鮮食材でバーベキューを囲みながら、日ごろ、感じていることや疑問について話し合いもする、欲張りな1泊2日のイベントでした。
「農家のお嫁さんってお休みがないのですか」、「町の消費者をわがままだと思いますか」という質問が参加者から出れば、「虫のついた野菜、嫌いですか」、「曲がったきゅうりでも買いますか」と逆の疑問が投げかけられ、気持ちのよい汗とおいしい新鮮食材、笑顔の中にも、しっかり本音トークの交流会でした。

荻野会長の挨拶 坂東でとれたお米で作られた大きなおにぎりで昼食
 
日差しが優しい森の中  

特に印象に残っているのは、「農業の実態を知らずにわがままばかりいう消費者」、「農薬を使って利益追求が先になる生産者」という印象が誤っていることに、互いが気づき始めており、それをこのような交流会で伝え合おうという動きになってきていることを実感できたことでした。こうして、「日本の農業」や「食育」をともに語り、考える機会が増えると、きっと何かが変わってくるはず・・・、そういう期待が持てました。


農村体験

今回は、参加者が3軒の農家に分かれて、お役に立てたかどうかは別として、農作業をしました。行ったのは、ネギの収穫と皮むき、きゅうりの芽欠き(わきに伸びた芽を摘むこと。芽かきをして、余分な枯葉を取り除いて、一番太い枝である主枝に光を当てたり、風通しをよくしてことで病気や害虫がつかない丈夫な木に育てる)、ナスの調整・レタスの播種の3つの作業のお手伝いでした。一口に農作業といっても、作物ごとに作業内容が全く異なるので、農家同士でも作るものが違えば、わからないノウハウがあるそうです。

ねぎは機械が掘りおこし、ベルトに
はさまれて収穫機に上ってくる
赤い光線の当たった場所から、ねぎの
根をきれいに切り落とす
ねぎの皮むきは音が大きく、埃が飛ぶ
のでゴーグルと耳あてをして
土をもりあげて、ネギの白い部分が
できる
紫色のカリフラワーの苗、カラフルな
献立のイメージが膨らむ・・・・・
アフリカキャベツの苗の栽培、どんな
新しい食材になるのでしょう?
レタスの播種。腰痛もちにはキツイ! 発芽したレタス
少し成長したレタス きゅうりの芽かき


女性農業士

女性農業士とは、県知事に任命され、地域の農家の女性をリードする立場にある方たち。農家の仕事のほかに、海外研修に参加して勉強したり、食・農教育に関する交流会や農業体験の実施、学校給食への地場農産物導入の推進、出前講座の実施し、道の駅への出店、庭先産地直売など、積極的に活躍中。



坂東地域の農業

坂東地域は合併した古河市、境町、合併した坂東市、五霞町からなり、東京という大きな市場から50km圏内という地の利を生かして、野菜・米などの農産物を生産しています。茨城県には市場が多いことから、各農家は生産物を、農協出荷はもちろん生協、市場、産直(直売)、契約栽培などに、自由意志で出荷しています。今まではすべて農協に納めてしまうところが多かったそうですが、近年は消費者と交流し、そのニーズを知り、消費活動まで積極的に関わろうとする動きが出てきているそうです。

普及センター(画像や文章の無断転用はお断りしています)

古河市:旧古河市(農家の数が少ない。キュウリ・ホウレンソウなどがメイン)、三和町(水稲、レタス、キャベツ、ナスなど多品目を栽培)、総和町(キャベツ、総和カボチャが有名)が合併
坂東市:岩井市(レタス、ネギがメイン)と猿島町(レタス、トマトなどがメイン)が合併
境町:レタス、ネギ、カリフラワー、ナスなど多品目を栽培
五霞町:水稲がメイン、道の駅がある
全域:水稲・野菜の他にも、タバコやお茶、養豚や養鶏・酪農などの畜産を経営する農家もあります。



バーベキュー 夜の交流会の始まり
坂東の野菜からおいしい漬物の数々 全員、ひとことずついいました


交流会から

参加された女性農業士さんのお宅はみな、専業農家。子供の世代が継承するところと、しないところの割合は半々くらい。2世代で酪農経営をしているA農家では、月給制で、農作業ヘルパーも導入して家族旅行に出かけるなど休日も充実していて、封建的な農家のイメージとはかけ離れたもの。農作業も子育ても核家族とは反対で、全員で支えているようみえました。女性農業士さんは、認定を受けると全員2週間の海外研修に参加します。そのときも、一家でカバーしあいます。
若い女性農業士さんには、紫やオレンジ色のカリフラワーやアフリカキャベツなど新しい品種の栽培に挑戦し、そのレシピつくりを研究している方もいました。更に、新しい食材として、スーパーやレストランに売り込みに行くなど、とくかく前向き。可能性のある新しい食材に関心を持つ小売り業者が現れても、栽培農家が少ないので、すぐに安定供給ができないのが悩みの種。細々でも続けて、「私が導入した野菜」を育てたい!熱く語るお嫁さんたち。
息子の世代に移行中のベテラン女性農業士さんは、道の駅でそばうちをしたり、そばうちを通じて、親子対象の交流会を開いたり、講演活動に忙しい方もいます。
共通して言われていたことは、消費者と直接、交流したい!しかし、忙しい現代人にとって、農家まで休日に足を運んで体験、意見交換となると集客に苦労するとのこと。



女性農業士の意見・希望

食育について
・国産野菜は高くても、私たちが大事に作っていて安全なので、将来の健康を考えていい食材を選んでほしい。
・ 包丁とまな板を持たない一人住まいの人もいると聞くが、サプリ中心にならずに毎日の食を大事にしてほしい。

規格外の野菜
・規格があるので、買い取ってもらえないきゅうりやなすが出るのは、とても残念。そういったものでも流通できるように,消費者の方や流通業者の方に考えを変えてもらえればと思う。
・ 消費者は曲がったきゅうりが嫌いだと聞いていたが、庭先で販売したら、曲がったきゅうりや熟したトマトを毎日買いに来てくれる人がいた。消費者を気持ちをわかっていなかったと思った。

農薬のこと
・農薬も決められた使い方に従っているので、ネギの青いところはすべて農薬をかぶっているといって捨てずに、ぎりぎりのところまで食べてもらいたい。(坂東(岩井)のネギは白いところが25センチ以上になるように盛り土をして栽培されています)
・農家は商品用には農薬をかけて栽培し、自宅用は農薬をかけず手をかけていると誤解している人がいるのが悲しい。
・自宅用も出荷用と同じように作っている。ただ、自分たちの分なので手はかけられないし、多少は虫くいでもよいので管理は手を抜いている。それが、誤解を生むのだろうか。
・消費者の方に安全な野菜を食べて欲しい(自分たちの体にも悪いし,経費もかかることもある)ので,農薬は常に必要最低限にしたいと思っているし,努力はしている。ただ、虫食いの野菜を売るわけにはいかない。生産者としてのジレンマがある。
・ 虫がついていると、虫は毒であるようなクレームが届くことがある。虫はないほうがよいのは当然だが、虫自身は毒ではなく、虫がつくこと自体自然に起こりうることなので,多少は理解して欲しい。

毎日の農作業について
・我々は消費者の方々においしい農産物を食べてもらいたいと思いながら毎日前向きに農作業をしている。そういう人達が農産物をつくり、皆さんのもとに届けていることを意識してもらいたい。



copyright © 2006 Life Bio Plaza 21 all rights reserved.
アンケート投票 ご意見・お問い合せ