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キッチンバイオカフェ in 札幌開催レポート

8月12日(土)、札幌エルプラザ調理実習室で、NPO法人くらしとバイオプラザ21はキッチンバイオカフェを、北海道経済産業局、有限責任中間法人北海道バイオ工業会などと共催で開きました。キッチンバイオカフェはカップケーキを焼きながら、キッチン周りの身近なサイエンスを学び、話し合うというイベントです。親子、ご夫婦、友達同士などが参加しました。

カップケーキつくり

カップケーキはベーキングパウダ(重曹)で膨らみますが、ふわふわした食べ物には、イースト菌の発酵で膨らむものや、泡立てた卵で膨らむものがあります。今回は重曹の化学反応を利用するカップケーキを焼きました

会場風景 イースト菌の発泡を観察する
星組:分担を決める 花組:材料を混ぜる
月組:バターを泡立てる 花組の作品


東北生活文化大学 西野徳三先生のお話

小麦の種類と用途
小麦粉はたんぱく質であるグルテンの含有量によって、パンを作る強力粉、うどんを作る中力粉、ケーキを作る薄力粉がある。米にはグルテンがないのでそのままではパンにできない。 、最近、米のモチモチ感を入れたパンが作られているが、実際には米にグルテンを加えてパンにしている。

メーラード反応
ケーキがいいにおいで狐色になるのはアミノ酸のメーラード反応によるものです。メーラード反応は温度によって色や香りが異なる。パンばかりでなく、佃煮、味噌、醤油も色もメーラード反応によるもの。

バイオテクノロジーが貢献するパン作り
冷凍しても活性が落ちないイースト菌ができたおかげで、私たちは焼きたてのパンが一日に何度も食べられるようになった。これもバイオテクノロジーのおかげ。白神山で見つかった天然酵母など、方々で天然酵母を使ったパンも作られている。

私たちの健康と微生物
腸内細菌も私たちの健康を支えるのに役立っている。ビフィズス菌、乳酸菌が多い方が健康にはよいが、年をとるとよい菌が減ってしまう傾向がある。
「赤ちゃんにハチミツを与えないでください」という表示があるのを知っていますか。ハチミツの中にボツリヌス菌の胞子が入っていることがあるため。大人は腸内細菌の環境が整っているので、ボツリヌス菌の胞子が来ても大丈夫。海外旅行では、健康維持、食あたりの予防のために乳酸菌やビフィズス菌の錠剤の摂取を進めている旅行ガイドブックもある。


西野先生のお話 熱心にお話を聴く
活発な話し合い 自分で焼いたケーキはおいしい


話し合い
  • は参加者、→はスピーカーの発言
  • カップケーキつくりについての感想

    • 簡単に作ることができた
    • 家でも作ってみたいと思った
    • 簡単なのに、とってもおいしい
    西野先生のお話について
    • 納豆も発酵食品ですか→納豆は枯草菌という微生物で作られた食品です。
    • 納豆はわらについている枯草菌で作っていたが、他の菌もできてくると腐ってしまうことあり、特に夏は難しかった。1918年、当時北海道帝国大学の半澤洵教授は、衛生的に、納豆をつくる納豆菌を純粋培養して販売したり、「半澤式納豆」を販売した。初代の半澤先生納豆のススメ」という納豆をネット販売している(北海道大学農学部 浅野先生)
    • http://www.a-hitbio.com/product/natto2.html#hanzawa
    • 納豆菌をダイズ以外にかけると何ができるのか→よい質問です。高校生の実験教室で、やってみたところ、ピーナッツ納豆ができたが、小豆納豆はできなかった(あずきにたんぱく質が少ない)。
    • 納豆菌の遺伝子組換えはあるのか→研究では使われている。
    • 遺伝子を組換えると栄養価は変わるのか→栄養素が変わるように遺伝子を組換えなければ、栄養価は変わらない。
    • 納豆はコレステロールがさがるのか→イソフラボンは一定量をとるとコレステロールがさがるというデータはある。ダイズ食品は蛋白源として役に立つ。
    • 遺伝子組換えダイズの方がいいのですか→安全性は組換えと非組換えは同じ。例えば除草剤耐性遺伝子組換えダイズは大量に安定にとれ、雑草の影響を受けないために品質も安定しているという利点がある。
    • 植物を食べるとコレステロールが下がったり、上がらなくなるのはなぜ→植物のステロールは腸からのコレステロールの吸収を抑制する。
    • コレステロールをイソフラボンと一緒にとると、吸収がかわるのか→食べ合わせのようなものまでは研究は行き届いていない。
    • 牛乳のカルシウムはマグネシウムと一緒なっていて吸収しやすいというのは有名。
    • 赤ちゃんは生まれたとたん、呼吸で菌を吸い込むということだが→それでは赤ちゃんは無菌で暮らせたら、長生きできると思いますか。
    • 菌とくらして、抵抗力を私たちは得るのではないか
    • 菌と共存共栄していくということですね→生まれて1週間の赤ちゃんの持っている腸内細菌を調べると、産院によって異なるそうだ。
    • 初乳には母体の持つ抗体が入っていて、無菌の赤ちゃんを助ける
    • 人間にとっていい菌と悪い菌の分かれ道は→体が弱ると悪い働きをする菌(日和見菌)もあるので、いちがいに分かれ道はきめられない。ビフィズス菌は年をとると減って、悪い菌が働くようになる。この境界は55−60歳で、これは腸の運動が悪くなるのが原因といわれている。時期でもある。また、過労などによって、腸の活動が鈍るうえに、柔らかい食料ばかりとるという悪循環になる
    • 発酵食品をとる以外に死ぬまで健康でいるのに必要なことは→がんにならないために役立つ食べ物ものはないだろうといわれている。今、これががんに効く!といわれているものは、マウスや細胞レベルなどの研究ばかり。ヒトに対して唯一効くとわかっているのは運動(東北大学の研究)だけ。
    • 腹筋運動も有効ですか→はい。運動をする、食物繊維を摂取する、ヨーグルトなどを食べること。
    • 長寿国のヒトの新鮮な便を分析した研究もある。ブルガリアヨーグルトを食べて90歳すぎても活動的。カスピ海、ブルガリアだけがいいということではない
    • 日本にはヨーグルトにあたる食品はありますか→漬物です。食物の乳酸菌。植物乳酸菌がある。



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