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イネゲノム解読宣言
 日本が中心となり、国際協力で進めてきたイネゲノムの塩基配列解読(重要部分)の終了に伴い、解読記念式典が12月18日、東京都港区の三田共用会議所で10カ国の代表が参加して開催されました。

 イネゲノムとはイネの(種として)形質を決める(遺伝情報のセット)のことをいい、この情報はDNAと呼ばれる物質に暗号文のように書き込まれています。
 小泉首相によって行われた解読宣言は、日本、米国、中国、台湾、フランス、インド、韓国、タイ、ブラジル、イギリスにより結成された国際コンソーシアム「国際イネゲノム塩基配列解析プロジェクト(IRGSP)」がイネの形質を決める暗号文の解読作業の終了を宣言するものでした。

イネゲノム解析の意義

 対象になったのは「日本晴」という品種のイネで、99.99%の高精度の解析を目指して、解読作業が進められてきました。我が国では、1991年に世界に先駆けて本格的に取り組み、農業生物資源研究所と農林水産先端技術研究所が共同で国際コンソーシアムの活動に参画し、全体の60%近くを解読することにより、世界の基礎科学研究へ大きく貢献しました。
 IRGSPではこの間、民間2社(シンジェンタ社と北京グループ)から提供された概略配列に関する情報なども取り入れて用いました。

 イネは、コムギやトウモロコシと祖先が同じなので、イネゲノム塩基配列解読の成果は穀類全体の研究に利用されることが期待されます。すなわち、この情報は、今後予想される人口増加や栽培環境の悪化などによる食糧不足問題への切り札のひとつとして、また、イネを中心とした植物生命科学の急速な進展に役立ち、人類全体で共有できる科学上の財産となるであろうといわれています。

今後の取り組み

 また、(独)農業生物資源研究所は12月17日、イネゲノム解読結果を土台に80億人を養うキーテクノロジーとして新たな「緑の革命」を目指し、国際イネ研究所と農業生物資源研究所が研究協力を開始すると発表しています。

商品化の道が閉ざされた遺伝子組換えイネ

 愛知県農業総合試験場では、平成9年度からイネ直播き栽培によるコスト低減を目的に特定の除草剤の影響を受けないイネを遺伝子組換えの手法を用いて作出する研究が進められ、平成12年度には、農林水産省のガイドラインに基づき組換えイネの環境に対する安全性評価試験が行われ、環境安全性が確認されました。しかし、12月6日、6年間の研究の結果、除草剤抵抗性遺伝子を導入した有望な系統を作出できる見通しがたったので、平成15年3月末日をもってモンサント社との共同研究を終了し、作出された遺伝子組換えイネについては、消費者等に不安感があるので商品化に必要な厚生労働省への安全性審査の申請は行わないという発表をしました。

 日本が主導的な立場をとってイネゲノムの解読に大きな成果をあげ、今後もこの成果を活かして研究が進められることと、実用化に向けて行われてきた6年間の研究成果が市民の生活において目に見える形にならなかったことを、私たちは将来をしっかりと見据えた上で、受け止めなければならないと思います。




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