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バイオ&薬用植物観察会開催される!
 10月19日(土)9時20分、曇り空に心配しながら、総勢25名(申し込み29名、欠席4名)を乗せたバスは筑波薬用植物栽培試験場に向けて出発しました。私たちの活動紹介などをしながら1時間もかからずに到着。
 まず試験場での研究活動を紹介したビデオを見せていただき、講演会になりました 。


講演会

お話1: 「おせんべいとおかきとバイオ」
くらしとバイオプラザ21代表 太田隆久 参考資料

 おせんべいとおかき(もちをかいて揚げるのでこの名前がついた。)の違いは、うるち米、もち米という原料の違いによります。それは含まれるでんぷんの構造の違いと関係し、これがもちもちとした食感を生んでいます。同じ稲でも、このようにでんぷんの構造が異なっているのは、それぞれの稲の持つ遺伝子の違いによっているのです。
(参照:バイオ一口話)

 話を変えて、お酒に強い人と弱い人がいますが、これも遺伝子から考えることができます。飲んだアルコールはアセトアルデヒド(毒性がある)から酢酸へと順番にヒトの体内で分解されていくわけですが、第一段階のアセトアルデヒドに分解する酵素や第2段階のそれを酢酸に分解する酵素の量が人によって異なることとお酒の強さは関係があります。毒性のあるアセトアルデヒドを分解する酵素の少ないヒトは、お酒を飲むとすぐに気持ちが悪くなってしまいます。この酵素を持つか持たないかはヒトの持つ遺伝子によっており、一般に西洋人の方が分解酵素を多く持ち、お酒にも強いといわれています。
(バイオ一口話に掲載予定)


お話2: 「薬用植物から漢方まで―バイオテクノロジーを含めて―」
国立医薬品食品研究所
筑波薬用植物栽培試験場長 関田節子
参考資料

 中国製ダイエット用健康食品による健康被害が出たというニュースで気になったことは「漢方薬だから飲んでも大丈夫だと思ったのに」という漢方薬を過信した声でした。
(厚生労働省「中国製ダイエット用健康食品等関連情報」)

 世界各地で長く用いられてきた漢方薬も現在では医学的に効果が認められており、これらをWHO(世界保健機構)などで科学的に評価していこうとする動きがあります。1994年にドイツでまとめられた「コミッションE」は380種類の生薬製品に関する報告書で、イチョウ、ニンニク、エキナケアなども再評価されています。長い間人類を苦しめてきたガンに対しても、イチイ(肺ガン、子宮ガン)やカンレンボク(消化器系ガン)の薬効が開発されています。
 また発展途上国のように合成薬が行きわたらない国の医療に貢献するために、遺伝子組み換え技術を用いて植物体が薬の原料を生産する試みもなされています。日本ではタバコやササゲを使ったAIDSワクチンが生産されています。

写真1.太田代表の講演 写真2.熱心に聞き入る参加者 写真3.関田先生の講演
太田代表の講演 熱心に聞き入る参加者 関田先生の講演

薬用植物観察会

写真4.毒で有名なトリカブトはすっぽりと兜をかぶったような珍しい花の形から名前がついています。
毒で有名なトリカブトは、
すっぽりと兜をかぶったような
珍しい花の形から名前がついています。
 ふたつのグループに分かれて東京理科大学の和田浩志先生と中村輝子先生のご指導のもと、広い植物園を互いに反対周りに回ることになりました。美しい実のできたもの、花を咲かせるもの、すでに枯れてしまったものなど、見切れないほどの多くの薬用植物がきれいに除草された畑に栽培されていました。

 きちんと整列して鮮やかな紫の花をつけたトリカブトはなかなか迫力があるものでした。
写真5.春先に黄色い花が咲くサンシュユが赤い大きめのビ−ズのような実をつけていました。 写真6.ミシマサイコはサイシンという漢方薬の原料になります。花が集合して咲くのは、せり科の植物の特色です。
春先に黄色い花が咲くサンシュユが
赤い大きめのビ−ズのような
実をつけていました。
ミシマサイコはサイシンという
漢方薬の原料になります。
花が集合して咲くのは、
せり科の植物の特色です。
写真7.せり科の植物の特徴にヨモギのように葉の刻みが深いことや、茎に「葉鞘(ようしょう)」という幅の広い部分があることもあげられます。葉鞘を食しているのがセロリです。 写真8.秋になるといきなり地面から顔をだすイヌサフラン。冬の間、青々とした葉を伸ばして光合成をし、栄養を球根に蓄え、夏の間は地中で暮らします。ユリ科の植物の特徴は6本のおしべです。
せり科の植物の特徴に
ヨモギのように葉の刻みが深いことや、
茎に「葉鞘(ようしょう)」という
幅の広い部分があることもあげられます。
葉鞘を食しているのがセロリです。
秋になるといきなり
地面から顔をだすイヌサフラン。
冬の間、青々とした葉を伸ばして
光合成をし、栄養を球根に蓄え、
夏の間は地中で暮らします。
ユリ科の植物の特徴は
6本のおしべです。
写真9.マーケットで見るのとは余りに姿の異なるゴボウ。ゴボウは「牛蒡子」といって実が漢方薬になります。 写真10.エキナケアは今、アメリカで免疫増加の作用を持つ薬用植物として注目されています。
マーケットで見るのとは
余りに姿の異なるゴボウ。
ゴボウは「牛蒡子」といって実が
漢方薬になります。
エキナケアは今、アメリカで
免疫増加の作用を持つ
薬用植物として
注目されています。
写真11.カレーの香料のひとつであるターメリック(ウコン)はこの根からとれます。花が茎に包まれるように出てくるのが特長です。 写真12.遠足気分で広い庭にシートを敷いて皆でお弁当
カレーの香料のひとつである
ターメリック(ウコン)は
この根からとれます。
花が茎に包まれるように
出てくるのが特長です。
遠足気分で広い庭
にシートを敷いて皆でお弁当


 参加者の方々と「バイオ」を通じて和やかに過ごせた一日でした。アンケートの結果、面白かった、また参加したい、といってくださった方がほとんどでしたので、来年の春の花の時期にはまたこのような企画をする方向で準備をしていくことになりました。




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