6月17日(金)茅場町リリーにおいて第5回バイオカフェが開かれました。
スピーカーは毎日新聞の小島正美氏。タイトルは「何が危ないかを見抜くリスク眼力」でした。
始まりは早稲田大学交響楽団の冬木さんと馬渡さんによるフルート演奏。バイオリンでおなじみのエルガーの「愛の挨拶」に続いて、先輩が編曲して下さったというディズニーの「星に願いを」、「眠れる森の美女のワルツ」が演奏されました。
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新聞の拡大コピーを見せて説明する小島さん |
初めての管楽器の登場に会場は大喜び |
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小島氏のお話の概要 |
- 気をつけて新聞を読む:同じ内容も記者によって扱いが異なるので、最後は読者が各自が取材先に尋ねるしかない。新聞を読み比べたり、注意して読むことを勧めたい。
- リスクの考え方:BSEの全頭検査などでは、その科学的な意味を考える必要があり、現実問題にその解決や対策が有効かどうかの議論が必要。科学的に正確でも、実現性がある討論が大事ではないか。
- 残留農薬:残留農薬が問題になることがあるが、その基準値の決められた背景を知る必要がある。非常に低い基準値が設定されているときには、それが微量で影響がある場合と、その農薬が日本で使わないためにデータがなく、最小値である0.01ppmに設定している場合がある。例えば、ほうれん草のクロルピリホスの残留農薬が0.01ppmだといって問題になったことがあったが、オレンジは0.3ppm、大根は3ppmと定められている。
- 遺伝子組換え作物について:遺伝子組換え作物の耕作は、やり方が指示されているので、誰でもやってみることができ、マニュアル化社会のひとつの象徴的な現われだと思う。
- 情報の出し方:ここ1ヶ月に変だと思ったことの勉強会を読者雑談会という形で開き、どういう形で情報を出すのがいいのか、皆さんに聞きたいと思っている。どんな情報の出し方、情報の加工の仕方が読者に役立つのか一緒に考えていきたい。こういう会が定着すると、風評被害の対策にもなるのではないか。
- リスク報道のあり方:記事を書くときには立場の異なる人の意見を参考にする、時間の許す限り取材者に記事を確認してもらい、第三者のチェックを受ける、以上のことを心がけている。社会部はその日のうちに記事にするので、科学部や家庭部に比べて時間に追われている。読者は、この記事はおかしいと思ったら電話をするのがいいと思う。ある意味では、新聞社内の異動もよりよい記事づくりにつながるかもしれない。
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質疑応答 |
記事の正確さについて
- 記事の記述が間違いかどうかの判断は誰がするのですか。→判断することは難しいこと。社内に適切なチェック制度があるといい。外国はオンブズマン制度をとっているところもある。
- 記者の間の話あいをして、記事に書き方について調整することあるのですか→デスク間の交渉になることが多い。
- 大学のゼミで中国について学んでおり、データが多くても使えるかどうか、の判断が難しいことを感じています。専門家による確実なデータがほしいと思うようになりました。
- 記事はどこかを強調して書く傾向があると思いますが→情報は書いた人の作品になってしまうことは否定できない。
記者に意見を書いてもらいたいときには
- マスコミは読者の声を聞く姿勢を示してほしいと思います。読者室はあってもどうせ、聞いてもらえないと思ってしまいます→関係部長に意見をいうのが有効だと思う。
- インタビューの一部が強調されることがので、取材を受けた人も強調したいポイントを確認すべきではないでしょうか。メモを渡すなど。
- 原稿を寄稿する形もあります。
- 公的機関の議事録は公開されていても、一般の人はきちんと全部を見ないので、メディアに正確に書いてもらいたいと思います。
BSEについて
- BSEや水銀は研究成果を活かしてリスク管理をしてほしいと思います→私達の食生活では特定の物を偏って食べなければ大丈夫ではないかと考えている。
- BSEでは飼料管理が大事だと思います→専門家がBSEのリスクを強調しすぎるのはいかがなものか
その他
- テレビで年末に報道の仕方について振り返りを行っていたのを見たことがあります。新聞社では振り返りは行わないのでしょうか。
- 私は、客観的に事実というものはあるだろうか、という視点で考えるようにしています。
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