1月5日(水)エルプラザ調理実習室(札幌)において、実験教室「たんぱく質の不思議〜プルプルサイエンス」が開かれました。くらしとバイオプラザ21は、親子バイオ教室実行委員会の一員として、企画、実施に関わりました。
参加者は2倍以上の抽選に勝ち抜いた小学生の親子19組(40名)。たんぱく質の性質について実験や勉強をしながら、プルプル食感を持つ二種類の食物であるプリンと抹茶ゼリーの調理実習を行い、西村弘行先生(東海大学教授)から、バイオのお話をうかがいました。
年末までは暖かかったという札幌も前日からは大雪で、当日の最高気温は−4度。冬休みの終わり、理科の宿題もかねてデジカメ片手の熱心なお母さん(お父さんも頑張りました)も交え、にぎやかに楽しいひと時でした。
くらしとバイオプラザ21では昨年、今年と合計9回6箇所で、「発酵を学ぶ実験教室」を開催してきました。今回の「たんぱく質の不思議〜プルプルサイエンス」は、私たちにとって身近な食べ物を利用した“オリジナル実験教室”第2弾となります。
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今日の助手は栄養学を学ぶ大学生
の お姉さんたち |
朝の打ち合わせの向こうは吹雪 |
調理室は元気なこどもで一杯 |
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調理実習 |
調理・試食をしたのは豚の骨や皮から作られたゼラチンというたんぱく質を使って、冷蔵庫で冷やして固める抹茶ゼリーと卵のたんぱく質を蒸して固めるプリン。
プリンはたんぱく質が熱によって凝固する性質を利用して作られる「プルプル食感の食物」です。熱で凝固したたんぱく質は変性(性質が変わってしまうこと)しているので、冷やしても元に戻ることはありません(このように元に戻ることができない反応を不可逆反応といいます)。これに対して、ゼラチンは約40度で溶けるので、固まったゼリーを暖めて溶かしても、再び冷やすとまた固めることができます。これは可逆反応です。
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どんなことも見逃さない! |
師範台に集まって |
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上手にあわ立つかな |
卵液をこして、なめらかプリン |
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酵素の実験 |
酵素にはたんぱく質を分解して、変性させる働きがあります。
オレンジゼリーを3つ作り、ひとつにはキウイフルーツを一切れ加え、もうひとつにはカプセルから出した消化剤の粉末を加え、3つめは何もせず、3つ一緒に冷蔵庫で冷やしました。同じように、既に冷やし固めておいた3つのオレンジゼリーにキウイフルーツ一切れ、消化剤の粉末を乗せ、何も乗せないものと3つを室温で放置。
両方の1時間後の変化を観察。キウイフルーツ、消化剤でゼラチンが固まらなくなったり、溶けてしまうことを確認しました。キウイフルーツようなトロピカルフルーツには、たんぱく質を分解する酵素が含まれているからです。
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いつ溶けるのか気になって、
気になって |
消化剤をいれたゼリーは固まり
ませんでした | 西村先生のお話 |
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西村先生のお話 |
「たんぱく質は私たちの体の血や肉となる栄養素として知られていますが、これらは体内で消化されアミノ酸に分解されると、生命活動に必要なたんぱく質に作り変えられます。そのたんぱく質の作り方の情報はDNAに書かれています。たんぱく質を分解する酵素は、DNAに書かれた作り方に従い私たちの体内でも作られています。」たんぱく質のお話の後に、健康によいヤーコンという珍しい食物のお話もうかがい、みんなで試食をしました。ヨーグルトとあえてフルーツサラダにして味見しました。
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参加者の感想から |
参加者からの感想は事務局にとって、次回へのエネルギーになります。一部をご紹介します。
・ 家では卵を割らせたこともありませんでした。料理上手の男の子になってもらおうと思います(母親)
・ 体のほとんどがたんぱく質でできていると知っておどろきました(小5男子)
・ 人間などの動物は子孫にいでんしをのこすことがわかった(小5男子)
・ 毎日欠かせない食物に、科学がこんなに関わっているとは普段は考えもしませんでした(母親)
・ 自分で作ったプリンとゼリーを最後まで食べられなかったけれど、とてもおいしかった(小2女子)
・ 楽しく聞けて、楽しく料理し、皆さんと一緒に食べられて満足でした(母親)
・ 「バイオ」イコール「化学」という印象がありましたが、実はどっしりと生活に根付いていたんですね(母親)
・ オレンジゼリーがキウィで溶けたので、びっくりしました(小2女子)
・ バイオテクノロジーの詳しいことがわかってよかったです。特になすに酢をつけると赤くなることがわかりました(小4女子)
・ 今日はおもしろバイオ教室にきてよかったです。もし、抽選でハズレだったら、自分の人生がどうなってたかわからないです。本当にあたって、たんぱく質が大事だってことがわかってよかったです。(小4男子)
この報告は2月下旬北海道新聞に掲載され、実験の手順は抽選にはずれた方々が家でも作れるように、インターネットでビデオが配信される予定です。(http://tv.dgic.jp/b/)
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