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遺伝子組換え作物の栽培試験に関わる実施条件検討会開催(札幌)


第4回検討会が11月17日KKRホテル札幌で開かれました。
この会議は6月1日から開催されており、7月には道内7箇所で条例骨子に対する意見交換会が開かれました。
今回は消費者を代表する委員3名から、今までの検討会での議論の内容が、今回、提示された実施条件案に反映されていないとする発言が何度もあり、本検討会に対する不信が述べられました。
厳しいスケジュールであったため、最終的には条例案の全項目が具体的に検討されないまま、「食の安全安心条例(仮称)」と「遺伝子組換え作物の栽培などに関する条例(仮称)」という条例ができること、慎重・推進両派の意見を沿えて道議会にあげることが決まりました。現在、全国の自治体で遺伝子組換え農作物を規制する動きがありますが、大体がガイドラインで、条例ができるのは初めてということで、この検討会は注目度の高い会議でした。北海道は日本では貴重な生産の地です。私たちの食や自給率について、この意見募集を通じてよく考えなくてはならないと思います。
「遺伝子組換え作物の栽培などに関する条例(仮称)」への意見募集は、12月25日まで行われています(北海道外からの意見も受け付けるそうです)。

http://www.pref.hokkaido.jp/nousei/ns-rtsak/shokuan/gm-douminiken.htm

第1回から第4回検討会の概要 http://www.pref.hokkaido.jp/nousei/ns-rtsak/shokuan/gm-jissijouken.htm

会議の概要は次のとおりです。

事務局より実施条件案についての説明

対象となる試験研究機関は、国公立、道内の大学と高専、民間の生産者(試験研究を業務として実施する事業者)で、試験研究施設の条件は、大卒や高専卒以上で、組換え試験研究の実務経験を有する専業研究従事者が2名以上いる。種子や収穫物の管理・保管ができる施設とする。
試験栽培計画を作成後、周辺地域への説明会を経て、知事に届出る。知事は交雑・混入防止措置について食の安全・安心委員会(専門委員会の報告を受けて)の意見を聞き調査・審議をし、事業者に対して指示を与えることができる。一般商業栽培は許可制。
開放系栽培試験を実施する際は、農林水産省の栽培実験指針に従い、知事への報告義務や事業者は知事の指示に従うことを加えた形になっている。)
組換えについて記述するボリュームが大きくなるので、食の安全・安心から基本的部分のみを残し、実施条件については単独の条例として整理してはどうか。
無届出などに対しては実効性のある担保措置を検討する。


委員による討論

(○は委員の発言、→は事務局、専門家委員からの発言)

趣旨について
○実施条件は規制をしていく方向で定めるべき。試験研究を「促進」というのはそぐわない。
→農政部としてだけでなく、道庁としての態度は研究の積極促進。市民の不安があるので、促進を前提として、一定の規制を行うという姿勢は前から変わっていない。(道庁)
○バイオ技術のひとつが遺伝子組換え技術。北海道でこの研究をすることは道民の望みであるはず。遺伝子組換え技術の促進は世界、国の流れで産業活性化として大事であることを理解してもらいたい。
○試験栽培では、食品の安全性審査が済んでいないものも含まれるから検討するという考え方であったはず。実際に、交雑や混入に被害がアメリカやカナダで起こっているので、道民は不安を感じている。
○遺伝子組換え技術が大事であることは3月に決まったガイドラインでも定めてある。
○市民の安全・安心に配慮した上でバイオ技術を確立していくべき。実施条件で交雑や混入が防止できればいい。

実施条件について
○ガラス温室は必要措置(花粉や水の管理)をすれば、第2種扱いとなり、この条例の対象にならないので、そういう内容を含んでほしい。
○交雑・混入の可能性は、この実施条件で、防止できるのか
→適用範囲に実施条件で農水省のガイドラインを遵守すれば、十分であると思う
→混入防止の方が重要。実務経験がある研究員2名以上ならば、管理は可能。届出制、説明会によって規制が働くと考える。
○実施条件3(開放系栽培試験に関わる実施条件:栽培試験の届け、食の安全・安心委員会や専門委員会の設置など関すること)の決め方に問題があると思っている。実施条件3を受けての実施条件2(実施条件の適用範囲:試験研究機関、事業者、研究員の資格などに関すること)であるので、必要な履修課程、2年以上の実務経験とはどんなものか。
→必要な課程は卒業に必要という意味。2年間という期間を想定。
○農家が研究者を雇って手を挙げれば、周りに普通の農家がある中で、非常に危険なナタネ、コーンを栽培できることになる。モニタリング内容にも疑問。交雑の危険を防げられるのか、不安に思っている。

審査の期間、説明会開催、知事の指示について
○届出は開始何ヶ月前までに行うのか。委員会の審査結果は何ヶ月後に伝えられるのか
→60日前までに届けることを想定している。そして、60日以内に回答する。
○周知のための説明会は説明するだけで、同意を得る必要はなくなり、これでは住民の意見反映の仕組みがない。住民意見を聞かないならば、説明会開催の意味がない。
→住民同意は考えていない。届出には説明会の概要を添付することになっている。道民の同意で決まるならば、食の安心・安全委員会が機能しないことになる。
○知事の指示とはどんなものか。
→知事の指示の内容、改善、指導、中止など

専門委員会について
○交雑・混入について専門委員会に問うのでなく、消費者、環境関係専門家、生産者を入れたメンバーで検討はしないのか。
→専門委員会には遺伝子組換え関係ばかりでなく、植物生態学、育種学などの先生も入るはず。
○安全・安心委員会を組換えに関する専門委員会と位置づけてほしい、研究者は研究の中で判断してしまう。道民の同意はこの専門委員会と安全・安心委員会のしくみからは得られない。
○食の安全・安心委員会は専門家の意見を科学的見地から聞く。専門家委員会の意見は食の安全・安心委員会で尊重すると考えてよいか。
○専門委員会も安全・安心委員会も交雑・混入防止について答申するのは同じ内容になってしまうので、後者は安全・安心委員会オリジナルの意見をつけて答申するのでないと親委員会の役割が十分に果たせないと思う。
○安全・安心委員会は第3回検討会までは研究者、生産者、消費者が入っていたはず。この委員会では、組換えについてどこまで深い検討ができるのか疑問。
○利害関係のない立場の人が委員になるようにしてもらいたい。
○幅広い対話は安全・安心委員会の役割であると理解している。
○専門委員会が交雑・混入の心配なしと判断したときに誰が科学的に反論できるのか。
○対話の必要性がある。専門委員会は安全・安心委員会に文書のみで答えるのか、出向いて、説明、質疑応答という対話はできるのか
→専門委員会から委員が安全・安心委員会に赴き、説明し、対話しつつ運営する予定。

届出制について
○「無届など」への担保措置とあるが、「など」は何を示すのか。今回は届出制といいつつ中止まであるのだから、実質的には許可制と同じだと捉えている。
→「など」は知事の指示に従わない場合を意味しており、改善命令、中止命令などの措置を行う。

条例が二本立てになったことについて
○食の安全・安心条例の中に組換えの試験栽培、一般栽培を入れてほしい。いつから栽培条例が別立てになったのか。
→安全・安心条例は基本条例なので、その中には組換えの野外栽培は別条例に述べるという形で入れるように考えている。

そのほか
○ここの議論で終わりではなく、この先は道議会に任せる。道は組換えについての情報提供や啓蒙をやってほしい。
○条例の見直し期限は3年にしてほしい。




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