2004年10月15日(金)、シェーンバッハサボー(砂防会館別館)において、日本人類遺伝学会主催で標記の講座が開催されました。市民公開講座の内容は次の3題でした。
- 劇団「Genetopia」による公演
- 「“ヒトの遺伝”を教育の場に:高校生は“ヒトの遺伝”について学べないのか」(東京都立葛西南高校 降幡高志先生)
- 「マスメディアから見た遺伝学教育」(毎日新聞 論説室(兼 科学環境部)青野由利氏)
遺伝学日本人類遺伝学会が本市民講座は、遺伝子情報を一般の方への理解活動の一つとしては時宜を得た内容であるの、参加者が少なくて残念でした。主な内容は以下の通りです。
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劇団「Genetopia」による演劇公演 |
川目 裕(長野県立こども病院・総合周産期母子医療センター 遺伝科)
劇団「Genetopia」
信州大学付属病院遺伝子診療部のグループは、2001年から、遺伝医療の啓発を目的に、遺伝ドラマという形で、演劇公演を行なっています。
本市民講座では出生前診断をテーマにした「選択」及び「あなたのそばで」の各一場面が上演されました。公演という手段により、遺伝医療の展開、臨床遺伝、遺伝カウンセリングなどに関する情報、問題点などが、言葉で、表情で具体的に伝わり、リアルに表現され、臨場感があり、論文とか解説書と違った点で心に迫り、理解を進める上での一手段と思いました。解説者、公演後に企画した人、演じた人、観劇した人の全員参加による討論が大切だと説明されていました。討論により、より深く理解できると同時に周辺の情報も得られ、非常に意義があると思いました。
また、ドラマに解説を加えたビデオやDVDも作成されており、医療関係の先生方に教材の題材としても利用されているそうです。
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公演の一場面 |
信州大学医学部付属病院遺伝子診療部 http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp
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「“ヒトの遺伝”を教育の場に:高校生は“ヒトの遺伝”について学べないのか」 |
(東京都立葛西南高校 降幡高志先生)
降幡先生は、高校の生物の教科書には、ヒトに関することはあまり出てこないので、生物での授業を工夫することによって、「ヒトの遺伝病」について1時間の時間を生み出し教えてこられました。「遺伝病についての知識は大切だ」というだけではなく、「学校の勉強が社会の中で生きていくのに重要だと感じた」という感想が生徒から聞かれたり、年間の授業の中で最も印象に残る内容として多くの生徒が遺伝病の講義を挙げられたりするそうです。教科書の内容は学習指導要領に基づいていますが、それだけではなく必要と考える内容を取り入れられていることに、共感された会場の参加者も多かったようです。
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